〇第一話―シェアハウスHeart lead
登場人物
・乾 ガブリエル(いぬい がぶりえる):
・天咲 樹(あまさき たつき):
・榊原 悠(さかきばら ゆう):
・新坂 正行(しんさか まさゆき):
・名護 雅人(なご まさと):
・初瀬 光実(はせ みつざね):
・咲倉 伊織(さくら いおり):
・青葉 龍(あおば りゅう):
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
BGM:無し?
住宅街の何処か
地図を片手に歩き回るガブリエル。少し思案する素振りを見せ、
ガ「う~ん……困ったなー……。んーっと……」
これまで歩いた道を思い出す様に、確認する様に
ガ「駅から真っ直ぐ行って、ここを右に曲がって、ここを左に曲がって・・・。」
もしや、スタンド攻撃受けたんじゃね?と思うレベルに困惑する。
ガ「ん~?あれ~??もう着く筈なんだけどなー……」
バイトからの帰りにの道すがら、困ってうろうろしているガブリエルを見つける樹。
話しかけるかどうか少し(コンマ1秒ほどもないくらい少しだけど)迷い、躊躇うが、そこは樹先輩さすが真面目でイケメン。優しい声で、
樹「Hello, Are you looking for something?」
突然英語で話しかけられ、キョトンとするガブリエル。しかも何言ってるかしっかりとは分かってない。苦笑い。
ガ「え……っとぉー……日本語で大丈夫っすよ?」
ガブリエルの流暢な日本語を聞いて少し恥ずかしくなる樹。
樹「ぁ……そ、そうですか……。
コホン……何か困っているようですが、俺で良ければ力になりますよ」
頭をかきながら少しばつが悪そうに、
ガ「えっと、その、道に迷っちゃったみたいで……
あの、この場所ってこっちで合ってますか?」
SE:ガサガサ
と、持っている地図を見せるガブリエル。それを手に取り、
樹「少し地図借りますよ。えー……ん?」
地図に示されている目的地を見て、
あ、ここ俺の住んでるところじゃね?今日来るって言ってた新入居者ってもしやこの人?
という感じに、
樹「ここは……。もしや、ここに新しく入る方ですか?」
えっ!この人超能力者!?凄い!当たってる!当たってるよ!
嗚呼!この人はすごい人だ!(シェアハウスじゃし新入居者の可能性にはすぐ気付くじゃろ、とか野暮な事を考えてはならない)
みたいな感じにテンション高めに、
ガ「はい!そうです!」(しっぽふりふり感)
少し、ほんの少しだけ嘲笑した感じに、
樹「そうか。君の目的地は真逆の方向だな」
ガ「え?」
ガブリエル思考停止。そして
ガ「……えぇええええ!!」
ガブリエル驚愕の叫び。それに呆気に取られる樹。
樹「……」
BGM:少し気の抜ける様な感じ
うろたえ、見当はずれな原因の自己解決をするガブリエル。
ガ「な、なんてことだ……。真逆……俺ってば地図……逆さまに見ていたのか……。
ああ…そりゃあ着く訳ないよ……」
最初はえ、そこじゃないと思うんじゃが(困惑)みたいな感じに、後半は気を取り直して、
樹「地図を逆さで見てたとかそういう問題ではないと思うが……。
……それは置いておいて、その場所に案内しよう」
ガブリエル驚愕。からの嬉しそうに、
ガ「え!ホントですか!!」
気迫に押されつつも平静を保ち、
樹「ああ、俺もそこに向うところなんだ。それじゃあ行こうか」
誠心誠意込めてお礼をする為に名前を聞くガブリエル。
ガ「ありがとうございます!あの、お名前を聞いても良いですか?
あ!俺、“乾 ガブリエル(いぬい ガブリエル)”って言います!」
ほう、名を名乗られてしまってはこちらも名乗らざるをえない。真面目か。
簡素に名を名乗る。
樹「天咲 樹(あまさき いつき)だ。これからよろしく」
名前を教えて萌えて嬉しいガブリエル。そしてもう一度、先程より元気にお礼を、
ガ「樹さん!改めて案内してくれてありがとうございます!!」
~~~~~~~~~~
BGM:なし
SE:足音
シェアハウスの前。
樹「さ、目的地に着いたぞ」
やっと着けた!と嬉しそうな感じに、そして絶体絶命の危機を救って貰ったかのように、
ガ「はぁあああ……!
樹さん!ホントに!ホントに!ホントに!!ありがとうございます!!」
人として当たり前の事をしただけ、であっても流石にここまで感謝されては照れてしまう樹。しかし、なるべく平静を保ち、
樹「なに、気にすることはない。
さ、入ろうか」
癖で元気に返事をした後、あれ?と考え、あ、もしやと確認する感じに、
ガ「はい!……って、え?……もしや樹さんってもしやここの……。」
聞かれた質問に対して、ごく当たり前に返答する様に、
樹「ああ、俺はここの住人だ」
SE:がちゃり、玄関の扉を開く
ちょうど厨房から出てきた悠と正行に対して、
樹「悠さん、新坂先輩、ただいま戻りました」
BGM:日常感あるの
その声に気づき、挨拶を返す悠。
悠「あっ、うん、おかえりなさい。天咲」
樹の後ろに居るガブリエルに気がつき、
正「おかえり……ん?天咲。後ろの人は?」
樹「ここに新しく入る人みたいです」
ガブリエルの笑顔が元気良く向日葵の様に咲く。
ガ「俺!乾 ガブリエルです!今日からここのお世話になります!」
これには悠も正行もにっこり。
悠「ああ、君か。ようこそ。部屋の準備は出来てるよ」
そして何気なくガブリエルの事を二人に頼む悠。
悠「天咲、新坂。俺は厨房に戻るから、乾を俺の代わりに部屋に案内しといて」
俺よりも先に天咲の事を呼んだ・・・と若干拗ねるも、なるべく表に出さない正行。
そんな正行には気付かずに厨房に戻る悠。いつもどおりの樹とガブリエル。
正「……ああ、分かった」
樹「さ、乾。こっちだ」
ガ「あ、はい!」
SE:足音
BGM:少しコミカルなの
リビングから雅人の怒号が聞こえる。
雅「コラ!光実!お前も手伝えよ!」
それに反応するガブリエル。
ガ「ん?」
そんな怒号をよそにスマホに向かった状態で、適当にあしらう様に、
光「え~……ちょっと待ってねー……今、チュイト中だから……」
シェアハウスのツッコミ担当の称号は伊達じゃない。キレッキレでキレのあるツッコミを、
雅「お前さっきからそれしか言ってねぇじゃん!」
あわあわ・・・どうしよう・・・あわあわ・・・無言の焦り。
龍「……」
雅人氏キレッキレである。
雅「龍はしっかりと飾り付け手伝ってくれてるのに、
なんでお前は携帯弄りに勤しんでるんだよ!」
流石に折れた光実。仕方ないなー。参りましたー。降参でぇーす。と言った感じに、
光「きゃんきゃん吠えないでよーもーわかったよぅ~」
しばらく真面目(?)に作業をしていたが、楽できる方法が思いつき、その可愛らしい企みが雅人にバレないように、繕うように、
光「・・・・・・。ねぇ、雅人くーん」
まだキレッキレ感残ってます。
雅「あ?なんだよ」
生徒が先生に教えを乞う様に、
光「この輪っかさ。雅人くんみたいに綺麗に出来ないだけど、どうすれば良いの?」
はー?面倒くせぇなー・・・チッ仕方ねぇ・・・と言った感じに、ぶっきらぼうに、
雅「あー?ちょっと貸せ・・・ほら、こうやるんだよ」
多分やり方見てないけどとりあえず褒めよう。思いっきり褒めよう。むしろ煽ってんじゃね?ってくらい褒めちぎろう。と思う光実であった。
光「お~!さっすが雅人くんだね!
僕には出来ないことをいともたやすくこなしていくぅ~!
いや~本当に尊敬しちゃうよー。
ねぇねぇ、もっかいやってみて?もっかい今のすごいやつやってみて!」
怒涛の畳み掛け、ちょっと照れてる雅人。でも鼻は既に天狗状態。
雅「あ、あーん?
し、しょうがねぇなぁ~いいかぁ~こういうのはこうしてだなぁ~
こうやってぇ~またこうしてぇ~ここをキチッとやれば簡単にできるぞ!」
心の中で苦笑い。
ガ(こ、この人チョロイ……)
素直に凄いと拍手しながら零す龍。
龍「おー……名護先輩…流石です……。凄く、手際が良い……」
それに便乗して更に煽る光実。
光「ねー♪龍くんはともかく、僕だけじゃ全然進んでなかったよー流石、雅人くん♪」
最高潮である。今の雅人は輪っか作り職人の気分(?)。
雅「はぁ~全くーお前は俺が居ないと本っ当!
な~んにもできねぇクソ雑魚ナメクジだなー!」
再び携帯に意識を戻し、適当な返事をする光実。
光「そーだね♪」
Oh・・・これは目も当てられない・・・。うるさいのは苦手なんじゃがなー・・・。と真面目な樹。
少し頭を抱えた感じに、
樹「……すいません、新坂先輩。飾り付け手伝ってきます」
これは是非も無いね。と了承した感じに、
正「うん、分かった」
ちょっと怒った感じに、
樹「初瀬先輩もちゃんと手伝ってください!」
あ、樹君だー。これは流石にサボれないやー観念しよーっと悪戯っ子みたいに少し語尾を伸ばした感じに、
光「はーい♪」
これにはガブリエルも苦笑い。
ガ「あー……アハハ……」
そんな様子を少し面白そうに見てて、悠に頼まれた事を思い出し、
正「乾君。ついてきて」
BGM:なし
SE:足音
正行に付いて行くガブリエル。疑問に思ったらすぐに口に出しちゃう系。
ガ「え、あっはい!あのー皆さんは何をやってるんすか?」
階段を昇りながら、その質問に応える。
正「ん?ああ、これは歓迎会の準備をしてるんだよ。乾君。君と、もうひとりのね。」
歓迎会という単語に思わず嬉しくなるガブリエル。
ガ「歓迎会・・・っすか?はぁああああ!ありがとうございます!!」
その言葉に思わず笑みが零れる正行。そして、人差し指を唇に添えて、
正「ハハハ。その言葉は歓迎会を開いてからで、ね?」
ハッとするガブリエル。
ガ「り、了解です!」
ガブリエルの部屋の前で止まり、
正「ほら、着いたよ。ここが君の部屋だ。もちろん自由に使って良いよ。
じゃ、荷物の整理とか済んで落ち着いたら降りて来てね。」
ガ「はい!ありがとうございます!」
~~~~~~~~~~~~
荷物の整理を終えたガブリエル。ベッドに寝そべりながら退屈そうに、
SE:がさごそ的なの
ガ「よし、こんなもんで良いかなー。今日はあまり荷物持ってきてないし。
結構すぐに終わったなー。
・・・もう降りちゃっても良いのかな?」
SE:ドアを開ける(二つ)
向かいの部屋から伊織が出てきて、思わず声が出るガブリエル。
ガ「あ!」
それに対して反応する伊織。
伊「んぁ?」
少し沈黙が続く。そしてガブリエルから切り出す。
BGM:アホっぽいの
コミュニケーションの基本は自己紹介から。これサバンナの掟。
ガ「えーっとー初めまして!今日からここに住む事になった乾 ガブリエルです!」
ガブリエルの自己紹介に興味を少し示した伊織。
伊「お?お前も新入居者なの?」
ガ「“お前も”って事は、貴方も、ですか?」
伊「ああ!そうだぜ。俺は伊い織おり。咲倉さくら 伊い織おりだ。新人同士仲良くしようや。」
ガ「はい!よろしくお願いします!」
伊「お前も今から下に降りんの?」
ガ「はい!そうっすよ!」
ガブリエルの敬語が気に障る伊織。
伊「・・・お前さ。幾つ?」
ガ「え?18・・・ですけど。」
ちょっと刺のある感じで、
伊「じゃあ、同い年だし、その敬語やめろ。タメで良いぜ。タメで。」
少し落ち着いて、後半様子を伺う様に、
ガ「あ、うん。よろしくね。・・・あの・・・もしかして怒ってる?」
伊「あ?いいや、別に。
・・・んな顔すんなよ。さっき仲良くしようぜって言ったばかりじゃねぇか。
別に怒ってない。ほら、行くぞ。」
ホッとして、再びテンションが高めになるガブリエル。
ガ「・・・うん!そうだね!さ、下に降りよ!おりんりん!」
突然の馴れ馴れしさというか、突然あだ名を付けられ困惑する伊織。
伊「えっ、おりんりん!?・・・え?それって俺の事なのか!?なあ!待てよ!」
SE:足音
~~~~~~~~~~~~~~
BGM:なし
リビングの前。
伊「リビングに行けば良いんだよな?」
ガ「うん、多分そうだと思うよ、おりんりん。あそこを飾り付けしてたし。」
うーんと考える伊織。
BGM:さっきのアホっぽいの
伊「なぁ・・・そのおりんりんってのやめないか?」
少ししょんぼりとした感じに、
ガ「え・・・仲良くなる為にあだ名で呼ぶのは良いと思ったんだけど・・・。
・・・気に入らなかった・・・?」
仲良くなる為、と聞き少し折れる伊織。
伊「・・・はぁー・・・良いぜ・・・別に、あだ名で呼んでくるの自体はな?
だけど、おりんりんはやめろ。それ以外にしろ。いいな?」
再び笑顔で破顔するガブリエル。
ガ「分かったよ!じゃあ、いおりんって呼ぶね!」
思いの外安直過ぎるのが来て困惑する伊織。いおりんの判定や如何に。
伊「えぇ?えっ?いゃっ・・・あっ・・・えっ・・・んっ、ん、んん~・・・
分かった・・・それで行こう・・・。」
元気一杯ガブリエル。
ガ「うん!」
BGM:なし
気分を改めて、
伊「うっし、じゃあ、行くか。」
ガ「もう入っても大丈夫かな?」
ちょっとニヒルな感じに、
伊「ドアの向こう側で準備してるって感じないし、大丈夫だろ。
それに、準備できてなくても俺は入るぜ。なんせ不良だからな。」
首を傾けながら、
ガ「それって・・・不良関係あるのかな・・・?」
SE:ドアを開ける(スライド)
クラッカー
がらがら~っと伊織が扉を開くと同時に、ぱーん!とクラッカーの音が鳴る。
そして、ガブリエルと伊織以外のシェアハウスメンバーが声を揃えて一斉に、
「「「ようこそ!!シェアハウスHeart leadへ!!」」」」
びっくりして固まる二人。
ガ「・・・。」
伊「・・・。」
もしやサプライズ失敗?と若干心配する悠。
悠「あ、あれ?固まってる?」
BGM:明るい感じの
意識を取り戻し、慌ててお礼をするガブリエル。
ガ「えっ・・・あ!皆さんありがとうございます!」
割と本気のトーンで伊織の心配をする龍。
龍「伊織君・・・大丈夫・・・?」
こちらも声をかけられ正気に戻り、少し照れくさそうにお礼を言う。
伊「えっ?あっ!大丈夫っすよ!えっと、あ、ありがとうっす。」
正「とりあえず座って座って。空いてるとこならどこでも良いよ。」
SE:椅子を引いたり
足音
適当に座っていく皆。
伊「うぃーっす。」
樹の隣に割と素早く立つガブリエル。
ガ「あ!樹さん!・・・樹先輩の方が良いっすかね?」
無機質に返答する樹。
樹「ん?乾か。どちらでも構わない。好きに呼んでくれて良い。」
ガ「あ、はい。わかりました。隣良いすっか?」
樹「ああ、構わない。」
ガ「ありがとうございます。樹先輩!」
SE:座る(?)
皆が席に着いたのを確認し、皆に声をかける。
悠「さ、全員揃ったし食べよう!丹精込めて作ったから、きっと美味しいよ!
いっぱい食べてね!」
全員で声を揃えて。
「「「いただきまーす!」」」
~~~~~~~~~~~~~~~
BGM:コミカルなの
皆が談笑しながら食事をしている最中、雅人の怒号が鳴る。
雅「あ゙あ゙!光実!テメェ!俺の皿からとってねぇんじゃねぇよ!!
自分の皿によそって食えよ!」
雅人に怒鳴られ、しょぼーんとする光実。
光「えーだってー雅人くんが取ったのが美味しそうだったから・・・つい・・・。」
その顔にはどうにも弱い雅人。
雅「なっ・・・そんな落ち込むなよ・・・ほら、もうやるよ・・・。」
実はそこまでしょぼくれていなかった。
光「わーい♪」
その様子に苦笑いの伊織。光実の名前を確認しながら喋る。
伊「うわー・・・ミツ・・・サネさん?あざといっすねー・・・。」
妙に上機嫌な光実。
光「えー?僕があざとい??なーんのことかわかんなーい♡
えへへーそんなことないよ~♪」
BGM:やわらかい感じの
同じく、正行の名前を確認しながら口を開くガブリエル。
ガ「えーっと・・・あ、すいません。シン・・・サカ先輩?でしたっけ?」
正「ん?なに?」
ガ「お茶を取ってもらえませんか?」
正「分かった。
(SE:ペットボトルを握ったりした時に出るあれ)
はい、どうぞ。」
ガ「ありがとうっす。」
二人が皆の名前をしっかりとは分からずに少し不便そうにしてるのを見て自己紹介をしていなかったのを思い出す悠。
悠「・・・そういえばまだ皆自己紹介してなかったね。
咲倉も乾も俺達の名前わからないと色々と不便だろうし、一人一人していこうか。」
スーパーアルコールハイテンションな光実が先陣を切る。
光「はいはーい!じゃあ僕から自己紹介しますね!
僕の名前は初瀬 光実(はせ みつざね)!21歳大学4年生!
後はーそうだなー好きな食べ物はプリン!
あ、でもカラメルが入ってなかったり、上にクリームが乗ってたりするのは苦手だなー。
そんくらいかな?よろしくねー♪」
なんだコイツ。いつも以上にテンションたっけぇな。と思いつつ、適当に自己紹介を始める雅人。
雅「次は俺で、
名護 雅人(なご まさと)。光実と同い年だ。
あー・・・好きなもんはミルクレープだ。」
あと一つくらい言っておこうと思ったけど、何も思いつかなかったのでちょっと冗談めかしく光実を指して、
雅「そーだな、こいつの事が嫌いだな!」
同じく冗談めかしく泣き真似をしながら、
光「え~雅人くんひっど~い♪」
くっついてくる光実を剥がしながら、また叫ぶ雅人。
雅「そういうところが嫌なんだよっ!あ゙!
なんかさっきから妙なテンションだなと思ったら、コイツ酔ってやがる!」
更に絡みつく光実。はっきりとした意識はない。
光「ふふふ~♪へぇ~べぇ~れぇ~けぇ~♪えへへ~♪」
可愛い
この人は何かやばいと不良特有の直感で気付く伊織。苦笑い再びである。
伊「な、仲良いっすね・・・。」
そんな空気は読まずに、素直に、率直に、反応するガブリエル。
ガ「ミルクレープですか!俺も好きっす!」
食いつく雅人。ミルクレープ好きと言ってもらえて上機嫌になる。
雅「お?ふふーん♪お前良いやつだな。間違いねぇ!」
名護さん相変わらずちょろいなーと思いつつ、切り替えて自己紹介を始める樹。
樹「それだけで・・・まぁ、悪いやつでは無いと思いますけど・・・。
乾とはもう済ませているが、天咲 樹。
名護先輩と初瀬先輩の一つ下で20歳。3年生だ。
読書が趣味だ。」
月並みに自己紹介した後、雅人の様に嫌いなモノを探す。
樹「・・・にぎやかなのが嫌いという訳じゃないが、騒がしいのは得意じゃないな。」
酔実が絡んできた!
光「それってー僕たちの事かな~♪」
雅「おい!お前と一緒にすんな!」
本当にそういう意はなかったので、本気で焦る樹。
樹「いっ!いえっ!そんなことはないです!」
もはや呂律が回ってな・・・寝たぞこいつ。
光「んふふ~冗談だよぉ~♪
(SE:ガタン)
スースー・・・zzz…」
爆睡するまでの時間がものっ凄く早く、記録更新してて驚く悠。
悠「え・・・初瀬もう寝ちゃったの・・・?」
光実の頬を軽く叩きながら寝ているか確認しながら、
雅「あーコイツ酒弱い癖によく飲むんでいつもこんなんですよ。」
苦笑いな悠。
悠「そっか。名護。悪いけど初瀬を部屋まで運んでくれないかな?」
少し嫌だけど、悠の頼みなのでちゃんと聞く優等生雅人。
雅「えー・・・わかりましたー。」
SE:足音
見送る樹。はぁー、とため息をつく感じで、
樹「・・・あの人は相変わらずだな・・・。次は青葉、自己紹介頼む。」
樹に促され、こくりと首を一回振って、
龍「ん・・・わかった・・・。青葉 龍(あおば りゅう)・・・。樹君と一緒で20歳・・・。
よろしく・・・。」
沈黙が帰ってくる。そして伊織が口を開く。
伊「んー・・・えーっとぉ・・・他には何かないんっすか?」
ちょっともじもじした感じで、
龍「・・・自分の事を話すのは・・・あまり得意じゃないんだ・・・。
あ、さっきはありがとね・・・。伊織君。お礼言いそびれてた・・・。」
手を振りながらいえいえ~とする伊織。
伊「いえいえ。気にしなくて良いすっよ。青葉さん。あれくらいなんてことないっすよ。」
正「ん?何かあったのか?」
恥ずかしそうにもじもじと、途切れ途切れに、
龍「じ、実は、公園で、鳩達、に、ご飯を、あげ、てたら・・・
鳩達に・・・襲われちゃい・・・ました・・・。」
龍に向かってる正行の視界に伊織がにゅっと現れて、
伊「そこを俺が助けました!(ドヤァ)」
SE:キラーンとか
突然視界ににゅっと入ってきて少しビビる正行。
正「あぁ・・・そ、そうなんだ・・・。」
伊織とガブリエルに微笑みかける龍。
龍「伊織君・・・。ボクの事は“龍”で良いよ・・・。“さん”とか“先輩”とか要らないからね・・・。
ガブリエル君もね・・・。」
ガブリエルが龍に対してハツラツに、
ガ「はい!チンロン先輩!」(青葉龍→青龍→チンロン:中国語)
固まり、キョトンとする龍。
龍「・・・あれ?」
了解した。と言わんばかりに拳で自分の胸をトントンと叩く伊織。
伊「分かった。じゃあ、遠慮なくそうするぜ。龍も俺のことは君とかいらないぜ。
お相子様ってやつだ。」
その言葉に嬉しくなる龍。
龍「・・・うん。」
広がるほんわか空間。そういう空気を壊すようで悪いが、と言わんばかりに自己紹介を始める正行。
正「じゃあ、次は僕かな。
新坂 正行(しんさか まさゆき)。大学院1年で22歳。
チョコレートが好きだな。趣味でおもちゃを集めてるよ。」
おもちゃ集めの趣味を聞いて反応する伊織、ガブリエル、悠。
伊織はこの年で、この風貌で、おもちゃ集め・・・?と言った感じに、
伊「おもちゃ集めが趣味っすか・・・。意外・・・。」
ガブリエルはそれに同意する感じに、
ガ「うんうん。」
悠は目線を何処かに逸らし、苦笑いを浮かべながら、小声で、
悠「おもちゃ・・・ねぇ・・・。」
悠が反応してくれたのが嬉しくてほんの少し上機嫌になり、ガブリエルと伊織に、
正「ああ、幾つか貸してあげれない物もあるけど、
トランプとかジェンガとかなら貸してあげるから、欲しかったら言ってね。」
ガ「はーい!」
先程のガブリエルと龍の絡みを思い出し、ガブリエルに忠告をする。
正「あ、乾君。あだ名を付けるのは構わないけど、“まさ”を捩って考える時は気をつけてね。」
SE:足音
ナイスタイミングで戻ってくる雅人。
雅「ただいま戻りました~。」
それが少しおかしくって微笑みながら、雅人の方を見る。
正「彼も“まさ”だからね。」
そう言われ、つい釣られてガブリエルも雅人の方を見る。
ガ「じ~。(口頭)」
正行は微笑んで、ガブリエルは目を見開きながら、見られてたじろぐ雅人。
雅「えっ・・・なに・・・?」
笑いながら、悠の方に向き直り、悠に次を促す。
正「じゃ、次は悠。よろしく。」
悠「分かった。このシェアハウスの管理を任せられている榊原さかきばら 悠ゆうだ。
同じく22で大学院1年。新坂とは学部学科は同じ大学なんだ。
料理が趣味で、ここの朝食と夕食は基本的に作ってる。
何か食べたい物があったら言ってね。
あと困った事があった時も言ってね。精一杯力になるから。」
伊織が独り合点し、
伊「つまり・・・悠さんがここで一番偉い人・・・しかもこの包容力・・・。
わかりました!兄貴!」
一度も呼ばれたことの無い呼び方に戸惑う悠。
悠「兄貴!?」
理由を元気に説明する伊織。
伊「はい!このシェアハウスの一番偉い人!トップ!だから兄貴っす!」
困惑する悠。
悠「えっ・・・えぇ・・・。」
兄貴・・・と確認するように、つぶやく様に、
雅「兄貴・・・なんか分かるわ・・・。」
まさかの同意する人登場で更に困惑する悠。
悠「えっ!?ちょっ!名護ぉ!」
悠の珍しい表情を見れてご満悦な正行が更に弄る。
正「いいじゃないか。ゆ・・・いや、兄貴♪」
ちょっと涙目で正行の方に振り向く。
悠「新坂!なんか今日ヤケに大人しいなと思ってたのに、お前まで!」
あえての悠をスルーする正行。
正「初瀬が居ないけど・・・次は新しく入った二人の番だね。」
BGM:明るくて軽い感じの
バッと席を立ち、自己紹介を始める伊織。
伊「じゃあ、俺行きますね。
咲倉 伊織っす。
一年生でロックな事やりたいんで大学ではバンドサークルに入ろうと思ってるっす。
あー俺もプリンとかミルクレープとか甘いもん好きっすよ。」
龍「楽器できるんだね・・・。凄い・・・。」
伊「いえ?まだなんも出来ないっすよ。」
固まる龍。
龍「え。」
伊「でも、いつかロックに格好良くギターとかベースとか弾ける様になりますよ!」
あはは、とからからとした笑いを零しながら、今後の伊織を楽しみにする龍。
龍「そうなんだ・・・。楽しみにしてるね・・・。」
伊「うっす!俺からは以上っす。」
SE:ドアを開ける(スライド)
光実が瀕死の状態で復活する。
光「ぐっ・・・気分が・・・。」
光実の登場に驚きつつ、光実の体調悪そうな姿を心配し、駆け寄る悠。
悠「初瀬!・・・顔色悪いけど大丈夫なの?」
頭を振り、右手を静止する様にあげる光実。だがテンションは低い。
光「だ、大丈夫ですよ・・・。
せっかくの歓迎会なのに新人二人シカトは流石に気が引けますんで・・・。
伊織くんの紹介はちゃんと聞いてたから・・・安心してね・・・。
さ、ガブリエルくん・・・自己紹介どうぞ・・・。」
光実に促され、ハッと我に帰り、自己紹介を始めるガブリエル。
ガ「あっ!はい!。
乾 ガブリエルです。いおりんと同じ一年生です。
名前からもわかると思いますが、ハーフです。
日本とカナダのハーフっす。」
悠「へぇーじゃあ、英語とかペラペ――」
その言葉を100万回は聞いている為、つい悠が言い終える前に、
ガ「それが、日本生まれで生粋の日本育ちでして、英語は全然なんすよ・・・。」
最後の一文字前まで口に出していたために、ガブリエルが言い終えた後に、つい、最後の一文字まで出てしまうが、妙に気まずい悠。
悠「らぁ・・・。」
そんな悠の雰囲気から察して、ガブリエルも気まずくなる。
ガ「な、なんかスンマセン。」
フォローを入れる正行と樹。
正「まぁ、そういう人はよく居るよ。」
樹「ああ、珍しくないさ。それに、英語が苦手なのは勉強すればどうにかなる。」
ガブリエルはばつが悪そうに、
ガ「うぅ・・・勉強はあんまり・・・。」
伊織は右手の腱鞘を抑えながら、苦しそうに、
伊「ぐっ・・・昔、再試(せんじょう)で受けた古傷が・・・っ。」
その様子に情けねぇなーと頭をかく雅人。
雅「咲倉は一体何があったんだよ・・・。
それにしても勉強に苦手意識があるなんて、フーン一年坊主は仕方がねぇなぁ・・・♪」
素でたらし込む悠。
悠「名護はちゃんと勉強して、成績優秀だもんな。
凄く偉いし、俺も尊敬するよ。」
その言葉につい、照れる雅人。
雅「ま、まぁ・・・それほどでもないっすよ・・・///」
苦しいながらも、しっかりと雅人を褒める友人の鏡、光実。
光「しかも雅人くん・・・特待生・・・。」
そして、素直に褒める龍。
龍「名護先輩は・・・しっかり者だから・・・。名護先輩は・・・凄い人・・・。」
照れ具合有頂天である。
雅「そ、そんな煽てても何もねぇかんな!
フフフ・・・フヘヘ・・・ヘヘヘ・・・///」
伊(嬉しそうだな。)
ガ(凄く嬉しそう・・・。というか、まーくん先輩もはや可愛い・・・。)
BGM:静かな感じの
自己紹介も終わり、食べ物も良い感じになくなってきたので締め始める悠。
悠「ん、もうこんな時間か。そろそろ歓迎会も締めようか。皆明日学校でしょ?
片付けは俺がしとくから。」
伊「いーっす。ご馳走様っしたぁー!美味しかったっす!
じゃあ、兄貴!おやすみなさいっすー。」
SE:足音
兄貴という言葉に苦笑いを浮かべる悠。
悠「お、おう。お粗末さまでした・・・兄貴ってやめ・・・もう行っちゃった・・・。」
まだ照れてる雅人。
雅「ヘヘヘ・・・///」
そんな雅人を突いてお願いをする光実。
光「雅人くーん・・・担いでってー・・・。」
いつもなら愚痴を言いながら担ぐが、気分が有頂天なので、
雅「しっかたねぇなぁ!酒も入ってるせいか気分が良い!
今日だけだからなー!部屋まで最速で連れってってやんよー!」
二人を見ながら微笑み、小声で。
正「いつも運んでってくれてるけどね」
SE:足音(どたどたばたばた)
最速故に、強い揺れがあり、つい声が粗いでしまう光実。
光「あ゙あ゙!もっと!ゆっくりぃ!」
ばたばたばたーっと雅人達が去っていくのを見送っていき、立ち上がる正行。
SE:ガタッ的な感じに立ち上がる
正「じゃあ・・・僕は部屋に・・・」
樹「悠さん手伝いますよ。」
便乗するガブリエル。
ガ「あっ!俺も俺も!手伝うっすよ!」
二人に笑顔を見せる悠。
悠「ああ、二人とも、ありがと。」
あっ!ずるいずるい!悠!俺にも微笑んで!と言った感じに、前言撤回し、若干ぶっきらぼうに、
正「・・・俺も手伝う。」
まさか正行まで手伝ってくれるとは思ってなかったので、少し驚きつつも、しっかりと正行にも感謝の笑顔を向ける。
悠「新坂もありがとな。」
正行悶絶。
正「・・・///」
余韻に浸るように、先程までの光景を思い出すガブリエル。
そして、その場に居る悠、樹、正行、そしてご視聴してくださった皆様に向かって、
ガ「・・・シェアハウスHeart lead・・・楽しいところだなぁ・・・。
・・・皆さん!改めて、今日から!これから!よろしくお願いします!!」
と、元気いっぱいなガブリエルで締める。
END