[台本]探偵、その名は聡里 アマネ―第壱ノ謎 探偵、心を読む。―
○奸鍋 魁(かんなべ さきがけ)
男性、14歳
この物語の主観。我々の視点。
よく考える少年で、アマネの好みド真ん中のショタ。
今回の事件の関係者。
きゆりにより記憶を消されている。
○聡里 アマネ(さとり あまね)
無性別、年齢不明
心を読めるという探偵……否、名探偵と名乗る性別不明の麗人。
「悪意とは熱意であり、犯罪とは情熱である」という考えを持ち、
罪を犯すのは是非も無しと言う。が、それはそれとして罪には罰を、とも。
飄々としており、推理を楽しんでいる。滅茶苦茶ショタ狂い。
○薄雪草 きゆり(うすゆきそう きゆり)
女性、24歳
記憶を操る力を持つ佳人。
アマネの推理を楽しみにしており、
心を読める特性から推理もクソも無いので事件関係者の記憶を意図的に消している。
この物語は彼女の、手のひらの上での茶番劇である。
アマネの事が好き……と言っているアマネの現助手。
○錐咲 キエライ(きりさき きえらい)
女性、21歳
今回の事件の現場である錐咲食堂のウェイター。
無口で伏せ目がちな女性。メアリーの娘。
本来はお喋りらしいが、とある理由があり無口となった……らしい。
きゆりにより記憶を消されている。
○井伊神狩 六実(いいかがり むつみ)
男性、22歳
今回の事件の現場である錐咲食堂の料理人。
常に不機嫌そうで眉間に皺が寄っている青年。
何故か異様にアマネに煽られる。
きゆりにより記憶を消されている。
×錐咲 メアリー(きりさき めありー)
女性、42歳
今回の事件の被害者。
錐咲食堂の店主だった。
頭は切り取られ、喉を左から右に2回切られており、腹部は切り刻まれていた。
腹部には深くギザギザとした傷が1箇所と腹部を横切る傷が数箇所あった。
当然ながら亡くなっているので会話には参加しない。
本当に42歳なのかと疑いたくなるほど見目麗しい女性だった言う。
奸鍋 魁 ♂(不問):
聡里 アマネ 不問:
薄雪草 きゆり ♀:
錐咲 キエライ/錐咲 メアリー ♀:
井伊神狩 六実 ♂:
↓これより下が台本本編です。
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魁:ここはとんかつが人気と一部に話題の食事処、錐咲(きりさき)食堂。
食堂の店主である錐咲 メアリーさんの作るとんかつ定食が美味しいと評判だったのだ。
そんな店主メアリーさんだが、
六実:「メ……メアリー……さん……」
錐咲:「…………。」(驚いている。)
魁:「あ、ああっ……。」
六実:「おいおいおいおい……。」
魁:今朝、食堂のカウンターで無残な姿で亡くなっていた。
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アマネ:(タイトルコール)探偵、その名は聡里 アマネ(さとり あまね)“第壱ノ謎 探偵、心を読む。”
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魁:「……な……何があったんですか……六実(むつみ)さん……」
六実:「あ……?しっ、知らねーよ……朝、ここ来たら……もう……」
魁:「……き、キエライさんは……?」
錐咲:「…………。」(震える。)
魁:「……あっ。」
魁:震えてる……
そりゃそうだ。自分の親のこんな姿。絶対に見たくない筈なのに、こんな……
アマネ:「おや、ここの絶品とんかつ定食を頂こうと思ってきたが……
事件かね?」
錐咲:「……っ。」(声に驚き振り向く。)
きゆり:「唐突でございますね。」
魁:「え……?」
アマネ:「唐突では無いさ。
事件とは常に何かの積み重ねによって起きる。
積み重ねが無ければそれはただの事故だ。
ほら、この間のひき逃げ事件だって、始まりは唐突に起き、その時は事故だった。
だが今じゃ事件になっている。そうだろう?きゆり助手?」
きゆり:「左様で御座いますね。」
六実:「おい!アンタら!急に入ってきてなんなんだ!!」
アマネ:「ん?きゆり助手、あの気性の荒い男はなんと言っているんだい?
ぼくは良い所の出だからあまり荒い言葉は分からないのだよ。」
六実:「ンだとコラ!」
きゆり:「彼は“名を名乗ってくださいませ”と仰っているのですよ。」
アマネ:「そうか!
であれば最初からそう言えば良いというのに!
否、それが彼なりの言い方なのであろう。ならば是非も無い。
では名乗ろうではない、かッ!」
魁:そう言って、男とも女とも見分けのつかない麗人(れいじん)が両手を広げる。
アマネ:「ぼくの名前は“聡里 アマネ(さとり あまね)”!
探偵……否、否否否(いやいやいや)、名探偵さ!
そしてぼくの隣に立つ佳人(かじん)、彼女は“薄雪草 きゆり(うすゆきそう きゆり)”さ!」
きゆり:「ご紹介に与りました。きゆりで御座います。
以後、お見知りおきを。」
六実:「あ……ああ……俺は――」
アマネ:「ここのキッチン担当、“井伊神狩(いいかがり)”くん……だろう?」
六実:「ッ!なッ!!!俺の名前を!」
アマネ:「うんうん!百点満点な返答だね。
まあ、君がそう返してくるのも分かっていたけどね。」
錐咲:「……。」(様子を伺う。)
魁:「それって……どういう……」
アマネ:「まあまあ、落ち着きたまえ可愛い可愛いショタっ子きゅん。」
魁:「……え……?」
アマネ:「さて、先ほど言った通り、ぼくは探偵をやっている。
己の才能というべきか、異能というべきか、とにかく人の心が読めるのさ。」
魁:「心を……」
六実:「読める……だと……?」
アマネ:「ああ、その通りだよ。
無口な君は“錐咲(きりさき)”くん。」
錐咲:「……。」(警戒。)
アマネ:「そしてそこの可愛い可愛いショタっ子!」
魁:「えっ!?ボクですか!?」
アマネ:「君は“奸鍋 魁(かんなべ さきがけ)”きゅん!この食堂の常連!
14歳、父母兄弟は居ない。
目がパッチリとしていて足が細く長く綺麗ですべすべで柔らかい。
そんな見た目が完璧なショタっ子だというのに、更に性格というか性癖も
大人な女性が好き!と!
う~~~ん、素晴らしいショタっ子だね、君は!」
六実:「なんだコイツ……」
錐咲:「……。」(ドン引き。)
魁:「……………………。」
きゆり:「くすくすくす。気色悪いですわね。」
アマネ:「さて、素晴らしい出会いは“僥倖(ぎょうこう)”だが、それよりも、
本題に入ろうか。そして推理しよう、そして解決しよう、この事件を。
そして言っておこう。
犯人は、この中にいる!」
錐咲:「……っ。」(驚く。)
魁:「……ッ。」
六実:「なん……だと……?
俺たちの中に、彼女を殺したヤツがいるってのかッ!?」
アマネ:「ああ、その通りだとも。」
六実:「……だとしてもよ、アンタの心を読むっていう力で俺たちの思考を読めば良いだろ。
わざわざ推理なんかしなくとも――」
アマネ:「分かる。
分かるとも。
ぼくの力を使えば即刻事件解決出来るだろうね。
けど、出来ないんだよ。」
六実:「あ?」
錐咲:「……?」
魁:「それは、どうしてですか?」
アマネ:「君たち、事件の前後の記憶を覚えているかい?
この女性が亡くなる前後の記憶が。」
六実:「あ?何言ってんだ……?」
錐咲:「ッ!」
魁:「な、何を……」
魁:……っ!あれ……?なんだか昨日と今日ここに来るまでの記憶が……あやふやな気が……
きゆり:「覚えていないのも無理もありませんわ。
何せ、無くなった記憶を覚えてる筈も無いですから。
アマネ様が人の心を読むことが出来る様に、私も不思議な力があるのです。」
魁:なんなんだこの二人は……人の心を読む……?
そしてこの人は……なんなんだ……?
きゆり:「私は人の記憶を操る事が出来ます。」
錐咲:「ぇ……。」(小さい声で)
魁:「え……それが、何故いま関係あるのですか……?」
六実:「まさか!お前俺たちの記憶を!!」
きゆり:「正解で御座います。
皆さんの事件に関する記憶を根こそぎ無くさせて頂きました。」
錐咲:「!?」
魁:「ッ!?」
六実:「あぁア!?なんでンなことすんだよ!!」
きゆり:「私、アマネ様の推理が楽しみで首を突っ込んでいるので。」
六実:「な……ッ!」
魁:そんな理由でわざわざ事件を複雑化したのか?
どうしてそんなことをしてまで、探偵を?推理を?
アマネ:「良い質問だねサキガケきゅん。」
魁:「っ!!」
アマネ:「何故そこまでしてぼくがそんな事をするか。
それは、それがぼくの“情熱”だからさ!」
錐咲:「じょう……ねつ……」(小さい声で)
アマネ:「そして“悪意”は“熱意”であり、“犯罪”は“情熱”なのだよ。
そう!これは情熱と情熱のぶつかり合いだ!
うんうん!素晴らしい!素晴らしい!!」
きゆり:「先んじて言っておきますが、
“記憶を操った本人なのだからお前は事の真相が分かるだろう!”
というのに私は該当しません。
私も事件に関する記憶を消しています故。」
六実:「……茶番じゃねぇかよ…………ッ」
魁:こんなに楽しそうに、この惨状(さんじょう)を解決しようというのか……?
なんとも不謹慎な……。
アマネ:「ま、そういう事で、まずは状況整理だ。
きゆり助手、遺体の状況確認を。」
きゆり:「御意に。」
錐咲:「か、かあさん……は……」
六実:「……。」
アマネ:「んー?」
錐咲:「頭が……無くなって、ました……」
アマネ:「うん。見たままだね。」
錐咲:「そし、て……くび、と……おなかが、切られて……ました……」
魁:彼女はぽつり、ぽつりと遺体の状況を彼らに説明した。
その声は震えていて、か細かった。
アマネ:「ふんふん、間違いはないかい?きゆり助手。」
きゆり:「はい。間違いありません。
喉を左から右に2回切られていますね。
腹部には深くギザギザとした傷が1箇所と腹部を横切る傷が数箇所……。
かなりの殺意を感じますわ。」
アマネ:「ほう、殺意もまた熱意、ひいては情熱だね。
君たち、情報提供をお願いするよ。
錐咲(きりさき) メアリー氏はどんな方だったんだね?
教えてくれたまえよサキガケきゅん♥」
魁:「え、あ、はい。
その、優しい方、でしたよ。
料理もお上手でしたし。」
アマネ:「ふむふむ、もっと教えてくれたまえ。
君のその小鳥の様に綺麗な声をもっと聞かせておくれ、サキガケきゅん!!」
魁:「ち、近いです……」
アマネ:「まあまあまあまあそう言わずに!」
(きゆり、魁とアマネの間に割って入る。)
きゆり:「アマネ様?ショタ狂いもほどほどにお願いしますわ。」
アマネ:「おっと、失礼。
妬いてしまったかな?」
きゆり:「ええ、とっても。
私、アマネ様を愛し、お慕いしておりますので。」
アマネ:「ハハッ、ぼく相手に嘘をついても意味は無いのに。」
きゆり:「……。」
アマネ:「……。」
きゆり:「さ、続けますわよ。お二人はどういう印象をお持ちでしたか?」
六実:「お……おう……
あー……俺も優しい人って印象だったな。
……あ、あとは滅茶苦茶若いんだ。
逆にキエライは大人びていて、
よくキエライと姉妹なのかと客に聞かれてたな。な、キエライ」
錐咲:「……っ(こくこくと頷く。)」
きゆり:「ふむ、キエライさんはそんなお母様の事、どう思っていらっしゃったのです?」
錐咲:「………………。」(注目されて一層黙る。)
きゆり:「……。」
錐咲:「…………。」
きゆり:「…………ねえ、この子は昔からこういう子ですの?」
六実:「いや……キエライはもっとお喋りだし、明るいヤツだ……けど……
今日は朝からこんな調子で……どうしたんだ?キエライ?」
錐咲:「……ッ。」(震えてる。)
魁:「きっと……お母さんが亡くなってショック、なんですよ。
そんな彼女に質問するのは、少し酷だと思います……。」
六実:「あ……悪い、キエライ。そんなつもりはなかったんだ。
この状況、お前が一番辛いよな……。」
錐咲:「……。」(六実に優しい言葉をかけられ緊張が解ける。)
きゆり:「……そうですか、三人の話からはあまり情報はありませんでしたね。」
アマネ:「否否否(いやいやいや)、そんな事は無いよきゆり助手。
彼女の不明だった顔立ちが想像出来る様になったからね。
これは、大いに大収穫さ。」
きゆり:「…………そうですか。」
アマネ:「はい♪」
魁:「……。」
魁:なんだろう。さっきからこの二人の間で何か……不穏な何かを感じる。
アマネ:「さあ、次に進もうじゃないか。
君たち、彼女が亡くなる前後、何をしていたんだい?
あー……前後となると……何時頃になるんだね、きゆり助手。」
きゆり:「はい、遺体の状態から察するに亡くなられたのは今日の午前6時前後といったところでしょうか。」
アマネ:「ありがとう、きゆり助手。
さ、どうだい?
昨日の夜から……そうだね、7時頃まで何をしていたか教えてくれ。」
錐咲:「……おぼえて、ない……。」
魁:「僕も覚えてないです。」
六実:「俺は覚えてっけど、なあ、アンタの記憶を消すっての、捜査だの推理だのに
弊害出まくりじゃねぇのかよ。
大体、心読めたって記憶消されてたら何も分かんねぇだろ。」
きゆり:「私もそう思いますわ。
ですが、アマネ様はそうは思わない様ですの。」
アマネ:「イイカガリくん。君は本当に素晴らしいね。
サキガケきゅんの次の次の次の次の次の次の次の次の次の次くらいにはお気入りになりそうだよ。」
六実:「そうでもねぇじゃねぇかよ。」
魁:「あはは……」
アマネ:「記憶を消されようとも――」
錐咲:「……っ。」
アマネ:「情熱とは消えないモノさ。
情熱、熱意、それはきゆり助手の埒外(らちがい)な力をも凌駕する。」
きゆり:「……。」
アマネ:「何を根拠に?って?
憶測さ。憶測でしかないさ。だが事実、ぼくは情熱を持っていままで解決してきた!
だからイイカガリくん、安心してくれたまえ。
ぼくはこの事件の真相を必ず解明する。
さ、教えておくれイイカガリくん、君の動向を。」
魁:「……。」
魁:探偵の目は嘘を言っていなかった。
ただ実直に、埒外(らちがい)の手によって開かれた茶番劇を終わらせようと話を進める。
六実:「……俺は昨日の夜、キエライと一緒に居たぜ。
朝起きたのが7時くらいで、キエライよりも早く起きたから、キエライも無実な筈だ。」
錐咲:「……っ。」
アマネ:「ほう、イイカガリくんは嘘をついてないね。」
きゆり:「あら、あらあらあら。」
六実:「なんだよ、文句あっかよ。」
きゆり:「いえ、何も。
仲睦まじいのは良い事ですよ。」
魁:なるほど、つまりは、だ。
ムツミくんの証言から彼とキエライさんのアリバイは確立されている、と。
魁:「となると……犯人は……」
錐咲:「……っ!」
魁:「ん?」
六実:「おい……まさか……ッ」
魁:「え?」
きゆり:「くすくすくす。」
魁:「……あっ、も、もしかしてぇ……」
アマネ:「にこっ♪」
魁:「ぼ、僕ですか……?」
六実:「サキガケ!お前どうしてメアリーさんを!!」
魁:「ちょっ、ちょっと待ってください!僕はそんな事をした覚えないですよ!!」
六実:「そりゃアそうだろうよ!!記憶を消されたんだからよ!!」
アマネ:「まあまあまあまあ落ち着き給えよイイカガリくん。
状況証拠、いや状況証拠とも言えないモノで犯人とするのは良くないよ。」
六実:「じゃあサキガケが犯人じゃねぇって事かァ!?
俺とキエライは嘘をついてないって他でもないアンタが言ったんだろうが!」
アマネ:「確かにイイカガリくんは嘘をついてないけど、別に彼女が嘘をついてるかどうかには言及してないよ。」
六実:「っつったって、キエライは覚えてないんだからどうしようもねぇだろうか!」
アマネ:「ああ。けど、ぼくは彼女から当時の動向を聞けていない以上、まだ彼女は範疇内(はんちゅうない)だよ。」
六実:「……くッ。」
きゆり:「しかし、そうなってくると埓が明かないのでは無くて?アマネ様。」
アマネ:「それもそうだね。
まぁ、ぼくはサキガケきゅんが犯人であれば“ワタクシの刑”と書く方の私刑で
あんなことこんなこと出来るから別に構わないが、」
魁:「やめてください!日本では私刑は禁止されてるんですよっ!」
アマネ:「ぼくがやりたいのは真相解明でね。
解き明かさねばならない。
さて、次の質問だ。
皆の動向に続いて、動機から犯人を導くとしよう。」
魁:「動機……ですか……?」
アマネ:「うむ、この中に分かりやすく亡くなった彼女に対して、情熱を抱いている人間がいるからね。」
魁:「また心を読んだのですか……?」
アマネ:「ああ、読んだとも。
というか、常に読ませてもらってるよ。」
六実:「情熱ってなんだよ。
大体、ここにいる皆はメアリーさんにはお世話になっていたんだ。
アンタの言う“情熱”で言いやァ、俺も世話になってたし、キエライだって自分の親だったんだ。
サキガケだってメアリーさんの事好きだったし。」
魁:「ああ!ちょっと!ムツミくん!!」
錐咲:「……。」
アマネ:「安心したまえ、最初から気付いていたさサキガケきゅん!
ぼくは良いと、否、否否否(いやいやいや)!凄く良いと思うよ!」
きゆり:「おばショタ……いえ、ショタおば……ですか……。」
魁:「くっ!///」
アマネ:「……だが、決して万人が“良感情(りょうかんじょう)”での情熱を向けていた訳では無かった様だがね?」
六実:「あァ?そりゃァどういう――」
魁:探偵は一人を見つめていた。
ムツミくんもそれに気付き、言葉を止め、その視線の方向に向く。
六実:「…………キエライ……?」
魁:「キエライさんが……?」
きゆり:「くすくすくす……」
錐咲:「…………ッ。」
魁:「けど、被害者のメアリーさんとキエライさんは親子ですよ!?」
きゆり:「親と子だからと言って、」
魁:「えっ。」
きゆり:「必ずしも良好な関係とは限らないですわ。
むしろ、親子だからこそ、犬猿なのかもしれない。
親子だから殺意を無条件で向けない、向けられない、なんて事はありませんわよ。」
魁:「……ッ。」
アマネ:「さて、聞かせてもらおうか。キリサキくん。」
錐咲:「……っ。」
アマネ:「まあ、喋らなくても良いよ。
どうせ君の思考も読めるからね。」
錐咲:「っ!」
アマネ:「ほうほう……ほうほう……!」
錐咲:「……やっ……やめて、ください……」
六実:「おい!」
(六実、アマネとキエライの間に割って入る。)
アマネ:「おっと。」
六実:「嫌がってんだろうが!やめろよ!」
アマネ:「それもそうだね。
この辺にしとくよ。」
きゆり:「それで、彼女はどのように考えてらっしゃるのです?」
アマネ:「ああ、無口な彼女の代わりにぼくが代弁してあげるよ。
どうやら、イイカガリくん、“君を盗られる”のが死ぬ程気に食わなかったらしいよ。」
六実:「……はあ……?」
錐咲:「……ッ。」
きゆり:「痴情の縺れ、というのですか。」
魁:「むむむ。」
魁:少し難しい話になってきた。
六実:「キエライが……メアリーさんに……?」
アマネ:「まあ、逆かもしれないけどね。」
錐咲:「っ!」
六実:「逆……?一体そりゃアどういう事だ。」
アマネ:「言葉のままさ。
イイカガリくんの言葉を借りるなら、
“メアリーさんが、キエライに”、だよ。」
六実:「は……ハア……?なおの事意味が分からねェよ。
だって俺はキエライと――」
アマネ:「恋仲なんだろ?」
錐咲:「……っ。」
きゆり:「イイカガリさんはおモテの様ですね。」
六実:「あァ……??」
魁:詰まるところ、こういう事か。
ムツミくんとキエライさんが恋仲で、メアリーさんはムツミくんに片思いをしていた、という事か。
うーむ……正にチジョウノモツレだ……。
アマネ:「うんうん、分かる。分かるよサキガケきゅん。」
魁:別に分かってもらう必要は無いが。
きゆり:「では、キエライさんが犯人ですか?アマネ様。」
アマネ:「いいや。
殺意を持っていても実際にやるかは分からないよ。」
きゆり:「そうですか。」
アマネ:「ま、でも状況を鑑みるに、犯人は彼女だろうね。」
六実:「なッ!!ンなわけあるかよ!
いくら殺意があったっつっても女が一人で人間をこんなに八つ裂きに出来るかよッ!
大体!キエライと俺は犯行前後一緒に居たんだッ!!」
アマネ:「イイカガリくん。君は本当に素晴らしいね!
話をスムーズに進めてくれる!!
君のその認識は、バイアスの掛かった認識は、誤りだよ。」
きゆり:「アンコンシャス・バイアス、ですね。」
魁:「アンコンシャス・バイアス……」
魁:“自分自身が気づいていないものの見方や捉え方のゆがみ・偏り”を指す。
例えば、“消防士は正義感が強い”や、“あの髪型の人は悪い人”といったモノだ。
今回の場合――
アマネ:「今回の場合、“彼女は、女は、一人で人を八つ裂きに出来ない”、というバイアスが掛かっている。
まあ、それだけでは無いがね。」
六実:「……ッ……!」
アマネ:「さて、少々早い気がするが、終わらせてしまおうか。」
きゆり:「あら、もう終わらせてしまうのですか?アマネ様。」
アマネ:「ああ、キリサキくん。」
錐咲:「……っ!」
六実:「だから!!キエライはそんな事しねェって!!」
アマネ:「いつ誰が“錐咲(きりさき) キエライ”くんが店主を殺した、と言ったかね?」
魁:「え……それはどういう……」
アマネ:「言葉のままだよ。
ね?“錐咲(きりさき) メアリー”さん?」
六実:「ッ!?」
魁:「ッ!?」
錐咲:「ッ!!」
きゆり:「あら。」
魁:「な、何を言ってるんですかアマネさん?」
アマネ:「くっ!……サキガケきゅんに名前呼ばれた……!嬉しい……!!
故に、いやそうでなくても教えるけど、
当然だけども、心を読めるぼくは彼女がキエライくんでは無い事は分かっていたよ。
むしろ、ぼくに分からなかったのは二人がなんで店主をキエライくんと認識し、
キエライくんを店主と認識していたか、だ。」
きゆり:「アマネ様や私は分からなくても当然ですが、お二方が分からなかったのは妙ですね。
事件の記憶を消した私のせい……という訳では無い筈ですが……」
アマネ:「安心したまえきゆり助手。君のせいでは無いよ。
これは、店主のその場しのぎでしか無い“騙しの手品”なのだからね。」
錐咲:「……。」
六実:「どっ、どういう事だよ……」
アマネ:「まずは、君たちが何故誤認をしてしまったか、この手品のタネを紐解いていこう。
理由は主に二つ、いや一応三つかな。
二人が親子で姉妹と見紛(みまが)われる程の見た目、二人が言及していないが、察するに“似ていた”事。
もう一つはイイカガリくんが起きた時隣に居たのが彼女だった事。
そして、イイカガリくんの現実逃避だ。」
六実:「俺の……現実逃避……?」
アマネ:「ああ、一応二つ目も現実逃避に分類出来る気もするのだけど、分かりやすくする為に分化させた。
この三つが何を指すかは分かるね?」
きゆり:「一つ目は殺害現場、首の無い遺体という異常空間によって、
自分をキエライさんと誤認させる確率を上げる、ですね。」
魁:「二つ目は……っ、一緒に寝た人物が、起きた時に変わっている筈が無いという現実逃避、
もしくは、寝起きの意識がハッキリしてない事によって誤認をさせた……?」
六実:「………………キエライが死んだってことを俺が現実逃避していた……。」
アマネ:「その通り。
これが君に掛かっていた“バイアス”だ。
さあ、今、彼女を見てみてごらん、“井伊神狩 六実(いいかがり むつみ)”くん。」
魁:全員の視線が再びキエライさんと認識していた女性に向く。
錐咲:「……。」
六実:「あっ……あっ……」
魁:そこに居たのは間違いなく、メアリーさんだった。
僕たちは今、正しく彼女を認識したのだ。
六実:「ど……どうして……」
きゆり:「しかし、アマネ様、如何に異常空間を演出したとして本当に親と子を誤認するなんて、
ありえるのですか?」
アマネ:「勿論、ありえるとも。
我々人間の認識とは言う程正確では無い。
むしろ誤認だらけさ。ぼくたちは普段から色々なモノを、事を誤認し、見紛(みまが)い、見落としている。
それに、この場において事実、ありえた以上、
ぼくらはそれを認めなければならない。認識しなければならない。」
きゆり:「左様でございますね。ご鞭撻、ありがとうございます。」
アマネ:「何、気にすることは無い。
さ、キリサキ メアリーさん、良い加減に喋ってくれないかね。
声帯模写を試みていたが故にあまり喋ると精度が落ち、気付かれてしまうと危惧していたんだろう?
もうキエライくんに成りすます必要は無い。」
錐咲:「…………。」
(キエライからメアリーに、雰囲気が変わる。)
錐咲:「探偵さんの言う通りです。
私が、キエライを殺しました。」
六実:「どうしてですか!メアリーさん!」
錐咲:「さあ……分からないわ……
いえ、前々から殺したいとは思っていたわよ。
けど何故このタイミングで殺したのかは覚えていない……。
けど……あの子の死体を見たときに……ううん……
気が付いたらムツミくん、貴方と一緒にベッドの中に居た時に、
なんとなく察したの、“私、キエライを殺したのね”って。」
魁:彼女は、メアリーさんは淡々と話し出す。
錐咲:「理由……理由は、そう……
キエライにムツミくんを獲られて嫉妬してたからでしょうね。」
六実:「メアリーさんがキエライに嫉妬って……なんでだよ……!
メアリーさん俺とキエライが付き合うって言った時、喜んでくれたじゃないっすか!!」
錐咲:「ああ……あの時は、本当に世の全てが嫌になるくらい、絶望的な気持ちだったわ……。
あの子、私の気持ちを知っていたのにあんなに嬉しそうに、無邪気に伝えてきたのよ?
酷いと思わない?
けど、私はこの気持ちに蓋をしていたの。
だって、お母さんだもの。それに、ムツミくんの正直な、素直な気持ちだもの。」
魁:「……。」
錐咲:「それでも殺しちゃったのは……やっぱり探偵さんの言う通り、“情熱”から……なのかしらね……。」
アマネ:「そうだろうとも。
貴女の情熱は、その愛は、狂気に堕ち、凶器となった。
それ故に、今回の凶行に及んだのだろうね。」
錐咲:「愛故に……どうしても許せなかった……
だから!!」
(メアリー、懐からナイフを出しアマネを襲おうとする。)
六実:「ッ!?」
アマネ:「おっと。」
きゆり:「アマネ様!!」
(きゆり、アマネを庇う様にメアリーの前に出る。)
アマネ:「思い立って直ぐに刃を向けてくるとは、神経伝達速度に恐れ慄くよ。
それが犯行に使った凶器かい。
よく手入れされた良い包丁だ。ふむ、イイカガリくんが手入れしたものかい。
いやはや、それで彼の恋人を切り刻むとは酷な事をする。」
きゆり:「分析は程々に、緊急事態ですのよ。」
錐咲:「どきなさいよ……!
いいえ……貴女も殺すからどかなくても良いわ……!」
アマネ:「更に罪を犯すつもりかね。」
錐咲:「えぇ!ここにいる、ムツミくん以外全員を殺せば問題ないじゃない!!」
アマネ:「短絡的だね。」
錐咲:「何?私の力じゃ全員殺す前に取り押さえられるとでも思って余裕かましてるのかしら???」
アマネ:「そんな事は無いよ。
キエライくんをイイカガリくんが起きる前に、短時間で殺し、あんな無惨な姿に出来るなら、
ぼくらくらいなら殺せる……否、ぐちゃぐちゃにだって出来るだろうね。」
錐咲:「えぇ、情熱的でしょ?」
アマネ:「そうだね。」
錐咲:「情熱的で素晴らしいから仕方が無いわよね。」
アマネ:「そうかもしれない。」
間。
(アマネの眼光が鋭くなる。)
アマネ:「だが、罪は罪だ。赦される訳が無い。
戯(ざ)れるな。罪には罰を、罪を犯した君は罰せられるべきだ。」
錐咲:「はァ?嫌に決まってるじゃない。
その生意気な目!早く抉り捨てたいわ!!」
六実:「やめてくださいメアリーさん!!!」
錐咲:「無理ッ!!!!!!!!!!」
魁:メアリーさんが駆け出す。化けの皮を剥いだ探偵とその助手を殺す為に。
だが――
アマネ:「きゆり助手。」
きゆり:「言われなくとも。」
魁:メアリーさんはナイフを落とし、動きが止まった。
六実:「ど……どうしたんだ……?」
錐咲:「…………?……?……????」
六実:「……?」
きゆり:「ふぅ……少々、手こずりましたわ……」
アマネ:「ありがとうきゆり助手。
いつもは事件を無駄に難解にしてばかりで厄介だが、今回ばかりは君に助けられたよ。
何か欲しいものはあるかい?ぼくの出来る範囲であれば――」
きゆり:「屋敷に戻りましたら膝枕、お願いいたしますわ♪」
アマネ:「……………………はぁ……ま、それで良いなら良いけど。」
六実:「お、おい、アンタ、メアリーさんに何をしたんだ……?」
きゆり:「彼女から“人の殺し方、傷付け方”に関する記憶を消させて頂きました。
貴方たちから消した“近時記憶”は殆ど一瞬で処理できますが、
この様な“長期記憶”……というべきでしょうか……
まあ、もはや意識せずとも想起出来るほど記銘(きめい)された記憶を消すのには時間が掛かるのです。
大雑把にやってしまえば直ぐなのでしょうけど、丁寧にしないと……ボン!ですから。」
魁:ボン!って……一体どうなるっていうんだ……。
アマネ:「はっはっは。何、心配する事は無い。
要は、今彼女は“ぼくたちを殺したいがどう殺せば良いのか分からなくなっている”のだ。」
六実:「……あァ?い、意味がわかんねぇけど……メアリーさんはもう大丈夫なんだな?」
アマネ:「ああ。と、言う事で、警察を呼んでくれたまえ、イイカガリくん。
まだ連絡してないんだろう?
場を真っ先に弄り回したぼくらが言うべきでは無いのだろうが、
こういう場合、まず、警察に連絡するんだよ。
次にこういう事が起きた時は、まずはそうしてくれ?」
六実:「お、おう……!」
魁:ムツミくんが警察に連絡すると、直ぐに駆け付けた。
まるで僕たちが呼ぶのを今か今かと待機していたかの様に。
きゆりという女性の言う通りであれば“抵抗の仕方”も忘れてしまったメアリーさんが大人しく彼らに連れて行かれる。
なんというか、不謹慎ではあるが思いの外あっさりと解決してしまった、と思ってしまった。
アマネ:「では後は頼んだよ、刑事殿。
一応事情は一通り話したが、結局のところ状況証拠、“Why done it(ホワイダニット)”を暴いただけに過ぎない。
しっかりと調べてくれたまえよ。
まあ、君たちは優秀だし、今回の事件は酷く杜撰(ずさん)で、ぼくが来なくとも時間の問題だった内容だし、
実行犯に関しては何ら間違い無いだろう。
……。
うん、うん……あっはっは、いやはや、今回も場を荒らしてしまってすまないね。
罰があるなら当然の報い故、しっかり受けるよ。
ああ~?わざわざ録音しなくても良いよぉ。ぼくは逃げも隠れもしないから、さ♪」
六実:「…………メアリーさん。」
錐咲:「……何。」
六実:「俺とキエライが付き合うってなった時……認めてなかったんですか。」
錐咲:「……ええ、凄く……凄く凄く凄く嫌だったわ。」
六実:「……そうですか。」
錐咲:「…………。」
六実:「面会……出来たら、行ける時に行きます。」
錐咲:「あら……どうして……?」
六実:「…………。」
錐咲:「…………私に恨み言を言う為、かしらね。」
六実:「俺とキエライの仲を認めてもらいます。」
錐咲:「……。」
六実:「認めてもらうまで、俺は諦めません。」
錐咲:「……………………そう……ありがとう。」
魁:「…………。」
きゆり:「万事解決ですね、アマネ様。」
アマネ:「ああ、そうだね。
ただ……」
きゆり:「どうかなさいましたか?」
アマネ:「いやなに、刑事殿たちが調べれば直(じき)に分かるだろうが……
いくつか気がかりな事があってね――」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
魁:「はあ……つ、疲れた……」
魁:その後の話。
事情聴取とか諸々が終わり、その日、自由になれたのは夕方頃だった。
魁:「……メアリーさん……
どうして……どうして急に……」
魁:結局の所、何故彼女があんな凶行を行ったかは分からないままだった。
まあ、記憶を消された訳だからどうしようも無いのだけど……
けど……どうして……うーん……誰かにそそのかされた……とか……?
(魁、その場に立ち止まる。)
魁:「………………。」
魁:「…………。」
魁:「……。」
魁:そうか、誰かにそそのかされたのか。
日常的に、徐々に焦燥感を煽り、悪意を、狂気を駆り立てたんだ。
魁:「……くっくっく……くひひひひひ……」
魁:嗚呼♪早く家に帰らねば♪
やっと欲しかったモノが手に入ったんだ♪
早く、疾く、速く、はやく♪
(魁、走る。)
魁:「あっはっはっはっは!!」
魁:そそのかした人の目的は“首”!
誰がそそのかしたのか。ムツミくん?キエライさん自身?
違う。
魁:「そそのかしたのは――」
アマネ:「君だろ。“奸鍋 魁(かんなべ さきがけ)”くん。」
魁:「へ……?」
魁:人気のない道、後ろを振り向くと探偵とその助手が居た。
アマネ:「やあ♥」
魁:「……あ、アマネさんと、きゆりさん……。」
きゆり:「ご機嫌よう。」
魁:「ど……どうしたんですか……?アマネさん……。」
アマネ:「今更取り繕っても遅いよ、サキガケくん。
知っているだろう?ぼくは心が読めるって。」
魁:「…………な、何故ぼくの後を付いてきたんですか……。
だって、貴方と別れた時、僕は何も覚えてなかったのに……
ま、まさかきゆりさんが……?」
きゆり:「いいえ、私は何も。」
アマネ:「何故かというと、君の犯行当時の記憶が無かったからさ。」
魁:そうか!事件に関与した僕とメアリーは記憶が無く、関与していないムツミは記憶があった!
その時点で目をつけられていたのか!!
きゆり:「くすくすくす……。」
魁:「しくじったか……!!」
きゆり:「しくじるも何も、記憶にない時点でどうしようも無いでしょうね。」
アマネ:「本当はこれも推理したかったんだが、どうにも繋がらなくてね。
最初は殺害現場でも見た程度かと思っていたが、
あの状態のメアリーさん……否、あれよりも狂気に満ちた彼女を前にして生きているとは思えない。
だから気になって尾行したのだけど……
いやはや、そそのかした人物とキエライくんの首の在り処が分かったよ。」
魁:「くっ!!」
アマネ:「いやぁー……人妻に恋し、人妻が恋する男の恋人である自分の娘を殺させ、
あまつさえその娘の頭部を頂こうだなんて……
本当に、サキガケくん……君はぼく好みの性根の腐ったどグサレショタだぁ♥」
きゆり:「きしょ。」
アマネ:「“頭部性愛(とうぶせいあい)”とでも言えば良いのかな。
そんな君が、首を求めそそのかした“奸鍋 魁(かんなべ さきがけ)”くん。
君が今回の事件の黒幕、主犯、“首魁(しゅかい)”だった訳だね。」
きゆり:「それで、このクズはどういった計画だったのですか?」
アマネ:「なに、計画という程のモノでは無いさ。
本来の予定では、キエライくん殺害の罪をイイカガリくんに擦り付け、
君とメアリーさんが一緒になる。
イイカガリくんが釈放されるまで待ってあげればうんぬんかんぬんとメアリーさんを丸め込む……という算段だろうね。
魁:「……そ……それで、なんですか?
警察に突き出しますか?」
アマネ:「それも悪くない。
どうせ後々君の家も調べられ、彼女と同じ結果になるだろうからね。
けど……そうだね……」
きゆり:「……。」
魁:「……。」
アマネ:「とりあえず!サキガケきゅん!!
ぼくの下で住み込みで働かないかね!!」
間。
きゆり:「え……えええええええええ!!!?」
アマネ:「サキガケ助手になってくれたまえ!!!!!!」
きゆり:「ちょっ!ちょちょちょちょっと待ってくださいませアマネ様!!
わ、わた私は!?!?
もう優秀で記憶改ざんも出来る素敵な助手がいますよ!?」
アマネ:「ぼくは昔からショタっ子の助手が欲しいと思っていた!!
きゆり助手!今日から君はぼくの相棒だ!よろしく!きゆり!!」
きゆり:「え…………あ……あい……ぼう……
な、名前を……呼び捨てで……///」
アマネ:「よし、これできゆりは納得させた。
さ、君はどうする?
助手になってくれるなら特別に、きゆりが警察らの記憶を消してくれるよ?
まあ、拒否権は無いのだけど。」
魁:「え、えっと……ぼ、僕……まだ14歳なので、
労働における最低年齢を下回ってるので働くことは……」
アマネ:「君が”自分からアマネ先生のお手伝いをしたい”……って今思ってるだろ?
ぼくは君の心が読めるから、わざわざ口に出さなくても、分かっているよ♪」
魁:「思ってねぇよ!!!」
アマネ:「聞こえないなーさあ、もっかい言ってみてごらん?」
魁:……。
魁:「……くそ……よ、よろしくお願いします……先生……」
アマネ:「ああ♪改めて……」
アマネ:「ぼくは探偵、聡里(さとり) アマネ。よろしくね、サキガケ助手♪」
魁:天国の両親へ。僕のちょっとした悪意……
アマネ:「熱意ね。」
魁:「うるせぇ!!」
魁:……僕のちょっとした熱意のせいで、明日がどうなるか分からなくなりました……。
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To Be Continued…