[台本] 恋乙女奮闘鑑賞会
世界設定、場面情景
これは後の悲劇たちの前日譚。だが、この物語は悲劇ではない。
これはそれを覗く元・案内人の鑑賞記録と一人の少女の愛の奮闘記……である?
Last Encore Theaterの番外編的話です。
登場人物
〇隈河 幸奈(くまがわ ゆきな)
17歳 女性
元気で優しい恋する乙女。
綜馬に対して恋心を抱いている。
主人公
〇最羽 美兎(さいはね みう)
17歳、女性
少し大人びている女性。
儚げで不思議な雰囲気を醸し出しているが、少々残念。
修学旅行で幸奈と相部屋になり、幸奈の恋を恵と共にサポートする。
〇亘理 恵(わたり めぐみ)
17歳、女性
少しボーイッシュ味のする女性。
決断力があり、衝動的に、後悔の無い選択に重きを置いている。
幸奈の恋を応援しており、所謂姉貴枠。
〇近衛 綜馬(このえ そうま)
17歳、男性
落ち着いている男性。
物静かであまり慌てる事が無い。
微妙にクズい。
〇亘理 進一(わたり しんいち)
17歳、男性
兄貴肌で頼りになる男性。
綜馬と仲が良く、いつも一緒にいる。
亘理 恵と家族。
○笛張 夏純(ふえばり かすみ)
18歳、男性
綺麗めの良い顔の青年。
顔は良いけど性格は普通に男の子。下ネタだって普通に言う……今回言わないけど。
留年生。
〇灯(あかり)
年齢不詳、女性
今回語られる物語よりも4年後の近衛 綜馬の走馬灯の元・案内人。
幸奈と瓜二つの顔をしているが、性格は似ておらず、
食えない性格をしているが今回完全にツッコミ役。
綜馬と幸奈が付き合うきっかけを見る為に登場人物たちの過去を鑑賞する。
※隈河 幸奈と兼ね役。
隈河 幸奈/灯♀:
最羽 美兎♀:
亘理 恵♀:
近衛 綜馬♂:
亘理 進一♂:
笛張 夏純♂:
───────────────────────────────────────
これより下からが台本本編です。
灯「御機嫌よう。
私の名前は“灯(あかり)”。
元・走馬灯の案内人だ。
今は色々あって人の夢や精神世界に入り込み、
過去とかを鑑賞する事が趣味の人だよ。
そして、今回物語として綴られるのは……」
進一「おーい!綜馬ー!!早くこっち来いよー!!」
綜馬「はいはーい、あんまり走るなよー。」
夏純「おおー良い天気~。」
美兎「わぁー……雪が積もってる……!」
恵「ん?美兎は雪見るの初めて?」
美兎「はい……!」
幸奈「恵ちゃん私の事呼んだぁー?」
恵「違うよ。”幸奈(ゆき)”じゃなくて、雪!」
幸奈「あぁ~なるほどね!」
灯「この子たちの修学旅行のお話。
厳密に言えば、綜馬と幸奈がどういう流れで付き合ったのか、
それを鑑賞する為に今、私はこの6人を観ているんだ。
あ、補足しておくと、私自体は今のこの子たちの4年後から覗いている状態なんだ。
説明すると長くなるし面倒臭いから今回は省こう。
まぁ、詳しくは“Last Encore Theater―ラストアンコールシアター―”という
物語に触れる事をお勧めするよ。
とりあえず、いろいろあって、私にとってこの“修学旅行”の出来事ってのが気になって気になって
仕方が無くて仕様が無かったんだ。
だから、観に来たのさ。」
灯「さ、共に鑑賞しよう。この劇場で。
彼ら彼女らのドラマを、イベントを、物語を。」
進一「修学旅行で、北海道、雪有り、スキー有り、海産物有り、歴史有り、
六泊七日の定番コースだな。」
綜馬「そうだね。
だけど、定番だからこそ、良い。」
進一「だな。」
恵「おーい!進一ー!近衛ー!
こっち!こっちだよー!
何明後日の方向に向かってるのー!」
綜馬「えっ」
進一「えっ」
美兎「班行動ー!乱しちゃダメですよー!」
夏純「そうだぞぉ~~~~~~!」
進一「あー悪い悪い。綜馬のヤツが方向音痴で―」
綜馬「待て待て、僕は進一に付いて行ったのになんで僕が方向音痴扱いを受けるんだ。」
進一「あ~~~???」
綜馬「ん~~~???」
幸奈「も~~~二人とも睨みあわないで!
ほぅらっ!行こ!」
進一「お、おう。」
綜馬「はいはい。」
灯「ふむ、とても微笑ましいね。
4年後の綜馬は、大人……というか冷め切ってる感じだった。
けれど、この時の彼、綜馬は実に年相応だ。
年相応に騒ぎ、友と笑いあっている。
……本当に、微笑ましいね。
…………おや?」
(幸奈、石に躓く)
幸奈「へ?あわ!あわわわ!」
綜馬「おっと……!大丈夫?幸奈?」
幸奈「あ、あ、あ、ありがと……近衛……君……」
進一(赤くなった。)
美兎(赤くなりましたね。)
夏純(かわゆいね。)
恵(でも近衛めちゃんこ冷静だ。)
綜馬「……?幸奈?」
幸奈「…………はっ!
あびゃびゃびゃびゃ!ごめん!ありがとう!ごめん!ありがとう!近衛君!
大丈夫!大丈夫だよォー!!」
綜馬「そっか。なら良かったよ。」
恵(いや、こんなにユキが慌ててんのになんでこの男平静なんだよ。)
幸奈「いやぁー!“小樽(おたる)”良い所だなぁ~~~~!
わぁ~~~~~~~~!ガラス細工すっごぉ~~~~~い!!
オルゴールしゅごぉ~~~~~~~い!!!
酒蔵だってぇ~~~~~~~~~~~!!!!」
美兎「隈河さーん!私たちは酒蔵入っちゃだめですよ~~~!」
進一「俺たちまだ未成年だからな!17歳だからな!」
恵「ユキ……完全にてんぱってる……
はぁー……うーん、大丈夫かなぁー……」
綜馬「ん?何が?」
恵「……んーん。こっちの話だよ。
ほらーこのままじゃユキが突っ走っちゃって見失っちゃうし、
アタシたちも早く行こ。」
綜馬「うん。分かった。」
灯「……なんだかんだで良い関係……なのかな?
というか、幸奈ってこんな性格だったのかい。
少しびっくりしたね。
……うむ、やっぱり幸奈、あの子は私に本当に似てるな。
いや、まぁ、厳密には私が幸奈に似てるんだけど。
性格は全然似てないけどね。」
~ガラス細工屋~
美兎「綺麗な場所だなー!」
夏純「北海道、小樽といえばガラス細工だからね。
当然力の入れようは計り知れない。
お!ガラスの万年筆!これだよこれ!これを探してたんだよねー!」
美兎「笛張せんぱ……くんって、こういうの興味あるんですね。」
夏純「うん、そうだよー意外かな?」
美兎「え?えっと……」
夏純「ははは!そんな顔しなくても大丈夫だよ!
別に怒らないよ。なんなら、そう思われてるのくらい自分でもわかってるよ。」
恵「いやいや、むしろ、先輩っぽいでしょ。
イケメンだからこういうの持ってそうだけど。」
夏純「だから、先輩っていうのやめろってぇ~
まぁ、イケメンなのは?認めるけど?」
進一「夏純うぜぇーぞぉー。」
夏純「やーん、進一のいけずぅ~~~」
進一「きしょい!」
灯「彼は……“笛張 夏純(ふえばり かすみ)”……。
はて、彼は確か綜馬たちの一つ上の学年だった筈だが……
……ふむ、ふむふむ、なるほどなるほど。
どうやら夏純、彼は去年ドイツに短期留学して今年夏に日本に帰ってきた結果、
二年生、という事か。なるほど。」
綜馬「……。」
幸奈「近衛君は、何か買うの?」
綜馬「ん?んーどうしよう、かな。
このグラスとか良いかな。」
幸奈「この黄色の?」
綜馬「うん。光にかざすと、とても綺麗で、なんだか……
……あ、幸奈。
光にかざすと君の瞳みたいな色になるね。」
幸奈「えっ……///」
灯「なんだコイツ。」
恵「くっさぁ。」
夏純「……今のキュンってするんか。」
進一「少なくとも俺には分からん。」
美兎「地であれ言ってるんですかね。」
幸奈「じゃ、じゃあ、わ、私も買おう、かな……。
私の目に、に、似てるし……。」
綜馬「いいね。じゃあ、僕はこれを買おうかな。」
幸奈「えっ……。」
美兎「えっ(驚き)」
夏純「んー?(困惑)」
進一「へ?(白目)」
恵「ひょっ……(ドン引き)」
灯「綜馬ァ――――!!
どういう事だい!?どういう事なんだい!!?
“このグラスとか良いかな。”とか言って手に取った黄色のグラスじゃなくて、
なんでその隣の全然形が違うグラス、しかも赤色のを買うって選択肢は
どこから出てきたのさ!?」
幸奈「じゃ、じゃあー私買って来るー!」
綜馬「うん、いってらっしゃい。」
幸奈「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」
綜馬「……?」
進一「綜馬。」
綜馬「何?いって!なんで殴るんだよー!」
進一「なんでもねぇよ。」
恵「綜馬。」
綜馬「なnいったぁい!
恵さんまで何!?」
恵「いやーアタシも何でもない。」
綜馬「えぇ……?えぇ?…………えぇ……?」
美兎「笛張君は、その、先輩たちに何か買ったりしますか?」
夏純「んー?“浩満(ひろみつ)”くんに?それとも“十原(つなしばる)”先輩に?」
美兎「あっ、えっと、どっちも、です。」
夏純「んー……どーしようかなぁー……
美兎ちゃんはなんかお土産買うの?」
美兎「はい。大学頑張ってるシュウヤ君にはグラスを。
“蜘旗(くもはた)”先輩には大学合格祝いにオルゴールを、あげようかな……と。」
夏純「へぇーじゃあ、被らない様に……いや……」
美兎「え?」
夏純「あえて被せるか。」
美兎「ちょっ!やめてくださいよ!」
夏純「…………ダメ?」
美兎「そんなうるうるした目をしてもダメです!」
夏純「ちぇー」
灯「……“蜘旗 浩満(くもはた ひろみつ)”、十原 秀弥(つなしばる しゅうや)
それに最羽 美兎(さいはね みう)……はて……
……どこかで聞いた事あるんだけどなぁー…………うーん……
なんだろう。なんか夏純の様に彼女らの情報を参照できんない……。
まぁ、いっか。どうせ、この旅には関係無いだろうし。」
恵「ねぇ、美兎、先輩。」
夏純「先輩と呼ぶな。」
恵「二人とも、分かってるよね?」
夏純「亘理 恵ー無視をするなー」
美兎「はい!分かってます!
隈河さんの恋が実る様に、
つまり隈河さんと近衛君がくっつく様に頑張るのですよね?」
恵「そう。先輩も手伝ってくれるんだよね?」
夏純「手伝うは手伝うけど、先輩と呼ぶな。」
恵「それが分かればいいよ。
一応言っておくけれど、幸奈と綜馬には気付かれない様に、ね。」
美兎「はい!」
夏純「ああ。」
恵「幸奈にはアタシが、綜馬には進一が付いて上手く誘導する。」
(恵、進一に目線を送る。)
進一「……ん。」
進一(大丈夫だ。分かってるぜ。恵。)
進一「なぁー綜馬ー。
あっちも見に行こうぜー!」
綜馬「うん。良いよー。」
恵「ま、こんな感じでこの一週間であの二人をくっつけよう!」
美兎「おー!」
夏純「……手伝うけどさ、なんというか、それって俺たちお節介じゃない?」
恵「先輩ー冷める事言うねー。」
夏純「先輩と呼ぶな。」
美兎「まぁ、笛張君の言う事も分かるんですけどね……
そのー……」
夏純「ん?」
恵「そうだなー……まぁ、ちょっとだけ話すか。
隈河 幸奈の悲しいまでに上手く行かない奮闘話を。」
夏純「え。」
美兎「これは高校に上がり、隈河さんと近衛君が再会した時の話、らしいです。」
夏純「えっ、急に回想始まるの?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~高校初日、校門前~
幸奈「近衛君!」
綜馬「ん?あ、あれ。幸奈?」
進一「え?隈川?」
幸奈「亘理君も、近衛君も、久しぶり!」
進一「おー!小学生の頃からだから、三年ぶりだな!」
幸奈「だね!」
綜馬「久しぶり。」
恵「へーい、進一ーこっちこーい。」
進一「お?恵。なんだよッうおッ襟首掴むなッ!
ぐッ!ぐるじい……!ぐるじい……ッ!!!」
恵「というか、ユキ久しぶりー
じゃーねぇー近衛ーユキー
アタシたち帰るから~~~~~~~~~!!」
幸奈「……走って行っちゃった…………
恵ちゃんも一緒だったんだねー」
綜馬「まぁ、進一と恵兄弟だしね。」
幸奈「そうだね。そりゃそうだね。」
綜馬「だね。
それで、どうしたの?」
幸奈「えっ……えっと……!
そのっ……ま、まずは久しぶり……。
そして、その、私の気持ちを……!」
(物陰から亘理家)
恵「きた―――!これで勝つる!!」(小声)
進一「小声で大声とか器用だなお前。
しっかし、隈河のやつ……
はーん、ひぇ~!ふ~ん……へぇ~、ほほーん……(小声)」
恵「進一うざ。
さあ!ユキ!決めろ!そして始めろ!華々しい高校生活を!(小声)」
幸奈「近衛君!」
綜馬「?」
幸奈「私はッ、近衛君の事が―」
綜馬「ッ!危ない!」
幸奈「えッ―」
綜馬「ぐッ!」
恵「ッ!野球ボールが二人に!」
進一「大丈夫かッ!」
綜馬「僕は、大丈夫。幸奈は大丈夫?」
幸奈「わ、私は大丈夫……近衛君が守ってくれたから……
ッ!近衛君!腕がッ……」
綜馬「……少し痛むね。
けど、大丈夫。
…………ごめんね。幸奈。ちょっと行ってくる。」
幸奈「え?近衛君?」
綜馬「……ちょっと、野球部にキレてくる。
ぬぅうんッ!!」(ぶちぎれて走り出す。)
幸奈「こ、近衛くーーーーーーーーーんッ!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
美兎「と、いうことがあったらしいです。」
夏純「……うん。綜馬くんかっこいいね。
それで、えっと、何?今の回想。」
灯「いや、本当になんだったんだい。」
恵「まぁ、この後なんだけど、綜馬は野球部ぼこぼこにしてしばらく停学になった。」
夏純「えぇ……こぅわっ……ばいおれんすぅ……
てかその話俺聞いたことあるわ……綜馬くんだったんだぁ……」
恵「その後も色々と、告白すべく頑張ってたんだけど、
寸での所で必ず邪魔が入るんだ。」
夏純「え。」
美兎「去年の体育祭の時なんて隈河さん全校リレーで勝敗が決する
って時のアンカーだったのですけど、
それで“近衛君!私が君に優勝をプレゼントするよ!”って言った時も……」
灯「幸奈格好良すぎじゃないか?」
美兎「ギャングが学校占拠してきて体育祭急遽中止になりました。」
夏純「は?」
美兎「ちなみに先輩たちがギャング鎮圧しました。」
夏純「俺たちの学校やばくね?」
美兎「そうですねー。まさか、ギャングが攻めてくるなんて……」
夏純「それもそうだけど。
いや、俺たちの学校の生徒もやばくね???
回想するならそっちを回想してよ。気になるんだけど。」
恵「他にもハロウィン、文化祭、文化の日、勤労感謝の日、クリスマス、
大晦日、正月、アタシら関係無いのに成人式、
節分、バレンタインデー、終業式、ひな祭り……えとせとらえとせとら、と
色々なイベントに漕ぎ着けて頑張ってるんだけど、全部何かしら入ってくる。
なんなら今年のバレンタインデーなんて作ったチョコを渡す寸前で
タカだかワシだかトンビだかが飛んできて掻っ攫われてた。」
夏純「…………。
素直に可哀そう。」
恵「でしょ?
だから、今回こそ、ユキの恋を叶えるの!!」
夏純「燃えてんねぇー……ま、そんな話聞くと手伝わざるを得ないね。
で、どういう計画建ててるの?
俺まだ聞いてないけど。」
美兎「そういえば私も聞いてないです。」
恵「……!…………。……!……ッ!」
夏純&美兎「「考えてないのかよッ!(のですかッ!)」」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~同日、ホテル~
恵「じゃあーアタシたち女子はこっちの階だからー
夕食の時にねぇ~」
進一「おう。」
恵「分かってるよね進一(小声)」
進一「分かってるぜ(小声)」
幸奈「後でね、近衛君。」
綜馬「ああ。また後で。」
―男子サイド―
夏純「おー部屋広いなー」
綜馬「凄いね。
僕こんな広い部屋初めてだ。
……うちの学校のどこにこんな所に泊まれる金が……」
夏純「まぁ、伝統や格式ある古い学校ではあるからな……
…………ぼろいだけの学校だけど。」
進一「世界の20%を牛耳ってるクモハタグループが経営している一等級のスキー場併設ホテル。
うちの先輩のお爺さんがここのオーナーで、
去年一昨年からは格安でここを使わせてもらってる、んだとよ。」
夏純「は?」
夏純(クモハタグループ?世界の20%を牛耳ってる??俺知らないんだけど???
俺ヒロミツくんと仲良しなのに、アイツがぼんぼんなの初めて知ったんだけど?
……いや、ぼんぼん感あったけど。)
綜馬「凄いねー。」
夏純「ん?綜馬くん、何を冷蔵庫入れてんの?」
綜馬「気にしないで。」
進一「……さて、夕食まで割と時間がある。」
綜馬「そうだね。」
夏純「……温泉に行くことも可である。」
綜馬「そうだね。」
進一「……露天風呂があるらしいな。しかも竹垣の向こう側は女子の風呂。」
綜馬「そうだね。」
夏純「……行くか。」
進一「……行くしかないだろ……ッ!」
綜馬「僕は班長会議行ってくるよ。」
進一「待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て」
綜馬「何?」
夏純「おかしくない?ねぇ?おかしくない?
俺たち今温泉行こうって空気になってるのに、
綜馬くんだけ別行動っておかしくない?」
綜馬「おかしいかな?」
進一「おかしいぞ?なぁなぁなぁなぁなぁ?」
綜馬「うるさいな。」
夏純「綜馬くんは興味無いの?」
綜馬「無いけど?……なんで二人とも距離取るんだ?」
進一「お前……やっぱ……」
夏純「そっち系……!?ホの人!?BのLッ!?」
綜馬「ちっげぇよ!
大体、何?定番の覗きでもする気?
無理でしょ。現実的な話。絶対に失敗するぞ。」
夏純「ふっふっふ……」
進一「ふふふふふふふふ……」
綜馬「なんだよ……。」
夏純「甘いなー……綜馬くん……甘い……!」
進一「そうだぞ綜馬……俺たちが、何も考えてないと思ったら大間違いだぜ。」
綜馬「そうなんだ。
じゃ、頑張って。」
夏純「俺たちの華麗な計画聞いて行ってよォ~~~~~~~~~~!!
待って!行かないでェ~~~~~~~~~~~~~!!!」
灯「そう言って。綜馬はどっか行った。
ちなみに夏純と進一の華麗な計画とやらは失敗した。
そして彼らは先生にお灸を据えられ、しっぽりと絞られたそうな。
……不潔な奴らだ。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~夕食~
美兎「変態……。」
幸奈「……。」
恵「馬鹿だろ。お前ら。」
進一「……。」
夏純「……。」
綜馬「言わんこっちゃない。」
夏純「わッ、わぁ~~~~~~!!美味しそうだなぁ~~~~~~~~~~!!!
なんだこれ~~~~~~???蟹の甲羅を器にしたグラタン????
おっしゃれェ~~~~~~~~~~!!」
進一「あッ、明日はッ、スキーだしな!
しっかり食べないとな!
こッ、この世の全てに感謝を込めてッ!
いただき卍ィ!!
ガツ!ガツ!ガツ!ハグ!ハグ!ハグ!
うんめぇッ!!モグ!モグ!モグ!
箸がッ、止まらねぇぜッ!!」
綜馬「……恥ずかしいからやめてくれよ。二人とも……。
色々と後ろめたいんだろうけどさ。」
恵「進一は家でもこんなんだよ。」
美兎「えぇ……。」
幸奈「班長会議どうだった?近衛君。」
綜馬「ん?ああ、明日のスキー男女で分かれる予定だったけど、
この行動班でやることになった。」
幸奈「え?どうして?」
綜馬「さあ。分からない、けど。
まぁ、どのみちインストラクターさんが着いてるから大丈夫だろうし、
別に変わんないから良いけど。」
恵「いやーなんでだろうなー」
夏純「分かんないねー」
恵「流石先輩。クモハタ先輩の友達で良かった。(小声)」
夏純「先輩と呼ぶな。(小声)」
美兎「いやはや、クモハタ先輩の影響力はハンパじゃないですね……。
で、何をしたんですか……。(小声)」
夏純「ヒ・ミ・ツ♡(小声)」
進一「ッ!!(手を叩く)
ごちそうさ卍ィ!!」
美兎「はやっ!」
恵「ごちそうさま。
じゃ、各自食べ終わったら男子部屋に集合なぁー。」
美兎「恵さんも早い!亘理家の食事スピード早い!」
綜馬「恵さん、全員食べ終わるまで帰っちゃいけない決まりだからー」
恵「SHIT!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~男子部屋~
恵「へーい!チキチキ!王様ゲームスタートォ!!」
綜馬「え。」
全員(綜馬以外)「「「「「イエェーーーイッ!!」」」」」
綜馬「え。え。え。なにこれ。」
恵「チキチキ王様ゲームって言ったけど、
ルールは普通だからー
ルール分かんない人は調べてねー
王様の命令は~?」
全員(綜馬、恵以外)「「「「絶対ー!!」」」」
綜馬「え。え。え。」
恵「ほうらぁー近衛も早くくじ引けよー」
綜馬「お、おう。」
幸奈(……近衛君の、パジャマ姿……///)
夏純「へいへーい!王様だーれだッ!」
恵(さあッ!誰が王様だ?とりあえず6分の4……いや、6分の5でこっちが優勢……!)
進一(隈河と綜馬以外の、つまり俺らが引けばそれっぽいイチャイチヤイベントを
発生させれる……!)
美兎(なんでか知らないけれど広げられてるツイスターゲームのアレ……!
そういう事ですね……!……てか誰が持ってきたんですかコレ……!?)
綜馬「はい。僕王様でーす。」
幸奈「……ッ!」
夏純(なんでだよォ……ッ!)
綜馬「じゃあ、3番の人、数学の“尊海(とうとうみ)”先生を怒らせてきて。」
美兎「えっ」
恵「えっ」
夏純「えっ」
進一「へッえ゛↑ぇ゛……ッ!!?」
綜馬「ん?3番は進一か。さあ、行ってきて。」
進一「えぇ?綜馬?冗談だよな?
トウトウミ先生ってめちゃんこ怖いんだぞ?てか、さっき怒られたし!」
綜馬「進一?王様の命令は……?」
進一「ぜっ……ぜったぁ~い……」
綜馬「じゃ、行って。」
進一「……ちっくしょォ~~~~~~~!!」
灯「進一は駆けだした。
数分後。遠くから激しい怒号が響き渡った。」
綜馬「しばらく進一帰ってこなさそうだから
5人でやろうか。」
灯「え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ッ゛!゛!゛
綜馬!?君!?え!?え!?え!?
君、すんごくヤバイヤツだとは思ってたけどッ、えぇ~~~!!???
王様ゲームの命令って“じゃー〇番と〇番のひと『愛してるよゲーム』やってぇ~”とか
ゆっるいヤツじゃないの!?キツ過ぎない!!?あの命令!?」
夏純(え……?え?綜馬くん……?こッ、これマジ……!?
や、やめたいんだけど俺ェ!!!)
恵(コイツ、こんな鬼畜だったっけ?鬼畜というか人の心ないクズなんだが??)
美兎(ひッ……ひぇ……ッ
こッ、こここここッ、これはマズイ……!
これは止む無し……!未来アイテムを駆使しよう……ッ!!)
灯「は?未来アイテム……?この子、未来人……?」
美兎(ぱっぱかぱ~~♪テレパシオ~ン♪
……聞こえますか!恵さん、笛張君、聞こえますか……!)
夏純(え?何?美兎ちゃんの声聞こえんだけど???幻聴???)
恵(美兎だけでなく先輩の声まで聞こえるんだけど???)
夏純(先輩と呼ぶなァ!!)
美兎(あっ……えーっと……そうだ!なんか危機を感じて!
危機を感じて!なんか私!テレパシー的なのが使える様に
なっちゃったみたいです……!!)
灯「この未来人……シラの切り方が古典的なんだけど……。」
夏純(っ?……?……まぁ、いいや!
使えるモノは使おう!)
恵(よし!じゃあ!一番奥の方に王様くじ配置しておくから、
二人とも奥の方の取って!)
幸奈「3人とも……黙って睨みあって、どうしたの……?」
美兎「え!?なんでも、ないですよ!さ、つ、続きやりましょう!!」
恵「そ、そうだね!さ!さささ!引いて引いてー!」
美兎「はーーーーい!!」
夏純「OK!!」
夏純(奥のヤツ!奥のヤツ!)
美兎(奥のを引く!奥のを引く!)
(夏純、美兎、くじを引く。)
恵(あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!゛
奥って!あなたたちから見て奥じゃない!!
アタシから見て奥ゥ!!!)
夏純&美兎(あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!゛!゛)
綜馬「あ、また王様か。」
恵&夏純&美兎(あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!゛!゛!゛)
綜馬「じゃあ……―――」
灯「夏純は逆立ちでホテル一周し、
恵と美兎はツイスターゲームでくんずほぐれつ……
幸い、幸奈は毒牙に掛からなかった。
なんだかんだで阿鼻叫喚な王様ゲームは早急に終わった。
…………怖い……。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~2日目、ホテル併設スキー場~
夏純「……腕が…………スキーとか、そんな場合じゃないんだが……」
恵「……。」
美兎「……。」
(恵、美兎、目が合って恥ずかしそうに目を背ける。)
恵「ッ!///」
美兎「ッ!///」
綜馬「良い天気だ。絶好のスキー日和だ。」
幸奈「そうだねー……近衛君は、スキーの経験あるの?」
綜馬「んー無いかな。」
幸奈「そっ、そうなんだ!
じゃ、じゃあじゃあ!私が教えるよ!?
私スキー上手いよ!多分、実質プロ級だよ!」
綜馬「インストラクターさんが教えてくれるし、大丈夫だよ。」
幸奈「えッ!?あっ、あれ、6人一気に教えるのって大変だから、
出来る人は積極に教えていってーって言ってたから、さ!インストラクターさんが!」
綜馬「そういえば言ってたね。
じゃあ、お願いするよ。幸奈先生。」
幸奈「ひゃっ、ひゃいッ!」
進一「…………なあ、二人ともすげぇー良い感じじゃねぇか。」
夏純「…………ねぇ、俺たちってさ……」
恵「言わないで……!アタシ……!悲しくなる……ッ!」
美兎「……私たち、見守ってるだけでも良いかもしれませんね。」
恵「……そうかもね。見守ってみるか。」
恵&美兎「……!ッ!……///」
灯「と、高を括って油断していた4人組だった。
彼らの安堵を余所に……3日目、4日目、5日目、6日目と
時間が過ぎていった……。
………………え?」
恵「……明日で修学旅行最終日なんだけど…………。」
美兎「……。」
夏純「……あの二人……進展した?」
進一「してないっぽい……。」
美兎「…………ごめんなさい!私が、私がッ!
“……私たち、見守ってるだけでも良いかもしれませんね。”
なんて日和った事言わなければ……!!(泣き)」
恵「仕方ない……!仕方ないよッ!!(泣き)」
夏純「だって良い雰囲気だったもんね!
仕方ないよッ!あれは大丈夫だって思うもん!!」
恵「進一!綜馬殴ってこォーーいッ!!」
進一「おう!」
(ちょっと離れたところで)
綜馬「いってぇ!!なんだよ急に!」
進一「るッせぇ!!」
恵「……よし!もう、もはや是非も無い!
最後の手段と行こう!!」
美兎「恵さん!やるんですね!?」
夏純「今……!ここで!!」
恵「いややんねぇよ。明日やるんだよ!
勝負は明日!……そこで決めるッ!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~7日目、札幌にて自由研修~
幸奈「自由研修かぁー
一応学校でどこ行くか決めてはいるけど。
実際に来ると、迷いそうだねー。」
綜馬「まぁ、一応地図持ってるし、大丈夫だとは思うけど。」
幸奈「……だね!」
幸奈(近衛君の私服姿……!は、よく見てるかも……。)
夏純「……制服姿じゃない皆を見るの新鮮だなー」
進一「んー?ここ1週間寝間着見てたろー」
夏純「いやいや、寝間着と私服はまた違うでしょー?」
恵「そんなどーでもいい話は良いから、行こうー」
美兎「そうですよー」
幸奈「じゃあ、最初は時計台だね。」
進一「その後は“Boys, be ambitious!”のとこ!!」
美兎「さっぽろ羊ヶ丘展望台ですね。」
灯「……なあ。今更だけど、さ。
私が見てるの幸奈の奮闘記じゃなくてこの4人の奮闘記じゃないか?」
恵(……そろそろ、良いかな。
進一……!)
進一(お、恵からのサイン……!)
進一「アァ!アァ~~~!クマノキボリホシクナッタァ~~~~!
イ、イクゾー!メグミーー!!」
恵「オ、オー!イコォー!!」
美兎「チョ、チョットォー!ハンコードーミダシテハダメデスヨ~~~」
夏純「ア!アァ~~!コノママジャハグr早ッ!?マジでハグれるッ!!?
じゃ、じゃあ!綜馬くん!幸奈ちゃん!二人は予定通り、自由研修しといて!
俺は謎に暴走した3人捕まえてくるから!!」
幸奈「…………い、行っちゃったね。」
綜馬「そうだね。」
幸奈「笛張君はああ言ってたけど、どうする?
……追いかける?」
綜馬「いや、追いかけない。
進一が突っ走って、恵がそれに乗っかって、周りがそれに引っ張られる。
そして、僕と幸奈が置いてかれる。
フフ、いつも通りじゃないか。」
幸奈「あはは。そうだね。
確かにいつも通りだね。
じゃ……行こっか……ふ、二人で……。」
綜馬「ああ。行こう。」
灯「お?良い雰囲気じゃないかー。
あの4人組、上手い事……上手い事……?まぁ、上手い事ハけたな。
さて、残り1日。どうなるのかな。」
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~さっぽろテレビ塔~
幸奈「って、時計塔でもさっぽろ羊ヶ丘展望台でも無い!」
綜馬「ごめん。
どうしても予定に入れてないここ、さっぽろテレビ塔に来たくて。
嫌だった?」
幸奈「えっ、いやいやそんなことないよ!
……どうしてここに来たかったの?」
綜馬「……。」
幸奈「……?」
綜馬「二人きりになりたかった。」
幸奈「えぇ!?」
灯「いや、周り結構人いるけど。」
幸奈「な……な、なんで……?」
綜馬「そ……れ、は……」
灯「…………。
……お?綜馬のヤツ……?赤くなってる……?」
綜馬「これを、幸奈に……」
幸奈「え?これは……お菓子?」
綜馬「うん。お菓子。
……幸奈が何好きか分からなくて、色々持ってきた。」
幸奈「どうして……?」
綜馬「そ、その、ちょっと早いけど、バレンタインデーのお返し。」
幸奈「え!?」
灯「……おお?おお!!?」
幸奈「で、でも、私、チョコ、渡せてない……よ?
トンビに、奪われて……」
綜馬「うん。そうだけど。
ほら……渡そうとしてくれてたから、その、
気持ちに対して、お返し。」
幸奈「え……あ、ありがとぅ……。」
綜馬「……。」
幸奈「……。」
灯「おいおいおいおい!良い感じじゃないか???
綜馬ぁ……お前やるなぁ……!
……ってなんでそこで二人とも黙る!?」
幸奈「……近衛君、ど、どうして、これを……?」
綜馬「え?だから、バレンタインデーの―」
幸奈「そうじゃなくて……!
どうして、今なのかな、って……。」
綜馬「……ッ。
それは、その……えーっと……
……ほ、本当は、もっと早く……修学旅行前に渡したかったんだけど、
……スゥ――――――ッ…………気が付いたら、今日になってた。」
灯「ウェーーーーーーイ!!
良いぞ!綜馬!キミがヘタレてるのは少々、いやかなり大爆笑だが、
キミらしからぬ青少年的発言が実に面白い!!
その勢いで告白しろォーーーーーーーーーーー!!」
幸奈「えっと……それはどういう……?」
綜馬「それは……その……
幸奈。ちょっと耳貸して。」
幸奈「え……?うん。」
綜馬「…………。
―――――、――――――――――――。」
幸奈「……ッ!!///
……え……っと……その、はい……///
よ、よろしく、お願いします……!」
灯「……ほ?は?……へぇ……?
ソゥマァッ!?何て言ったの!?
幸奈の反応から察するに、告白の言葉を受けたんだろうけど、
聞こえなかった!?なんで???」
綜馬「…………あ、あはは……良かった……。」
幸奈「え……えへへ……」
綜馬「じゃあ……よろしく……幸奈。」
灯「これって、綜馬や幸奈の記憶を鑑賞してるハズだろ???
私には聞こえていて当然だろ???
人の思考なんかも流れてくるのに、
なんで……なんでこういう気になるヤツだけ分からないままなんだァーーー!!!」
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~札幌市内~
恵「……標的二人発見。皆の衆、準備は良いかね?」
夏純「…………良いけど……。」
恵「どうしたのかね先輩。」
夏純「先輩と呼ぶな!……で、なんなのこの衣装は、恵ちゃん……」
恵「恵ちゃんと呼ぶなァ!今のアタシはチンピラA!
面倒臭いから役表は“恵”だが、アタシはチンピラA!
分かったか!チンピラB先輩!」
夏純「先輩と呼ぶな!」
進一「……ブフゥッ!!なんだよ最羽ェ!……じゃなくてチンピラCィ!!
その丸サングラス!!」
美兎「え……?に、似合ってませんか……これ……?進……じゃなくてチンピラD……?」
進一「いや……似合ってる、けど……ブフゥッ!!」
恵「笑ってる場合かーチンピラDー!行くぞー!お前らー!」
進&美&夏純「「「キィーーーーー!!」」」
灯「なんだこいつら。変な恰好までして、愉快で阿呆な4人組だな。」
幸奈「それにしても、4人ともどこ行っちゃったんだろうね。」
綜馬「本当にね。
携帯で連絡しても出ないし、チャットにも応答が無い。
これだけ探しても見つからないとなると……ふむ……困った。」
恵「ヒューヒュー!そこの熱々でお似合いで運命の二人なカップルゥー!!」
夏純(ノリノリだな……めぐ……チンピラA……)
綜馬「?」
幸奈「え?恵ちゃん?」
恵「え……?違います……人違いです……アタシはチンピラAです……」
幸奈「あっ、間違えてごめんなさい。」
進一(ちょろいな隈河。)
綜馬「なんの用ですか。」
美兎「ヒューヒュー!カッコイイねぇ!兄ちゃん!!」
夏純(美兎ちゃんキャラ変わってんねぇ???)
綜馬「……。」
恵(フフフフフフ!!
今回の作戦はッ!
『ヤンキーに絡まれた幸奈&綜馬!危機を乗り越え愛が芽生える作戦』ッ!!
これは勝った!!アタシたちはある程度ユキたちに絡んで危機感を覚えさせて
所謂吊り橋効果で二人の気持ちをどうのこうのする作戦だぁ!!
これで勝つる!!)
夏純(ガバガバすぎるよ!!)
進一「お?そっちの彼女可愛いじゃーん!」
夏純「お……俺たちと今から遊ばなーい??」
幸奈「えっ……こ、困ります……」
進一「そんな事言っても……あァ?
んだよ兄ちゃん……手を離せよ……。」
綜馬「…………。」
恵「何黙って微笑んでんだよォ!お似合いカップルの色男の方ォ!
なんか言ってやってくださいよォチンピラBせんぱぁい……!」
夏純「せんぱぁい……!と呼ぶなァ!!」
美兎「なんか言ったらどうだ~へいめーん!」
綜馬「お前らさぁ……。」
進一「ねぇ……痛いんだけど……兄ちゃんが掴んでる腕千切れそうなくらい痛いんだけど……
握力やばい。ねぇ!痛い!!」
美兎(なんか空気冷たくないです?)
綜馬「うるさいんだよ……。」
恵(ッ!!これはやばい!!綜馬ぶちギレてる!!
これは危険だ!!)
綜馬「すっごく迷惑してるんだけど。なぁ?
……ねぇ、何黙ってるの?」
夏純(こッ、こわいよぉー……)
綜馬「……一つ、最後に忠告しよう。」
進一「えっ……?」
綜馬「次、僕らの前で、ギャーギャー騒いだら……」
美兎「……。」
綜馬「今まで生きてきた中で、いっちばん怖い思いさせてやるからな?」
恵(こ、コイツの目本気だ……ッ!)
綜馬「分かった?」
恵「は、はい……。」
綜馬「じゃあ、散れ。さっさと。」
恵「はいッ!!ハけるぞ!お前ら!」
美兎&進一&夏純「「「キャイ~ン!!」」」
綜馬「おい。」
恵&美兎&進一&夏純「「「「ごめんなさい……。」」」」
(バカ4人組捌ける。)
幸奈「……なんだったんだろう。さっきの。」
綜馬「さあ……
というか、大丈夫?幸奈?」
幸奈「うん。私は大丈夫。
ありがとう、近衛君。庇ってくれて。」
綜馬「当然だよ。僕は君を愛してるから。」
幸奈「~~~っ///」
灯「こうして、二人は結ばれた、と……。
っておーい!視点のほとんどが綜馬や幸奈じゃなくて
阿呆四人組視点だったじゃないか!
……まぁ、いいや。
とりあえず、二人は無事に付き合ったワケだし……
ふむ……この物語は、『恋乙女奮闘記』としようと思っていたが、
違うな。
これは、近衛 綜馬と隈河 幸奈、二人だけの話じゃない。
二人に加え、進一、恵、美兎、夏純の六人の物語。
恋乙女の奮闘を見守り、応援し、空回り、成就する。
『恋乙女奮闘鑑賞(干渉)会』だ。」
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END