いよいよ最後の課題に入ります。ポートレイトイラストレーションです。
顔部分の写真を元に180mm正方形に制作します。
名前も知らない外人モデルの写真を用意してください。思い入れは一切不要。ポップアート的思考に則し、見た目だけに特化した冷めた感覚で選択しましょう。
全身像の人物写真を極端に拡大+トリミングすると、画質が荒くなり使えません。元の画像が少なくともバストショットの写真である、もしくは1辺のピクセル数が2000以上の高画質であることが肝要です。
ファッション雑誌をブックオフで探す、とか、図書館で雑誌または写真集を探すのもいいでしょう。精細な印刷物をコピーすると画質は期待できます。ご両親がもってらっしゃる雑誌はありませんか?名前は知らなくてもこのひと、この写真、いいなあと思えたらそれでいいのです。
思い入れがない方がいい、という意味をお伝えします。
1945年、第二次世界大戦後、
アートシーンは
ヨーロッパからアメリカに移ります。
フランスもドイツもイタリアも
大変な惨状で、
画家たちの多くはアメリカに
移住しました。その影響で、
アメリカ人の新しい画家たちが
育つことになりました。
1950年代に巨大抽象絵画の
ムーブメントが巻き起こり
やがて1960年代
「ポップアート」が起こります。
その代表的なアーティストが
アンディ・ウォーホル。
“POP-ART”
大量消費社会の中で
意味を見失っていく感覚を
アートに引き込んだのでした。
社会に対する風刺です。
1962年、
36歳で急逝した女優マリリンモンロー。
色気のある人気女優だったのですが
彼女の死後すぐに
アンディウォーホルはその写真を使い
トリミングして
↑実際のウォーホルの製作過程
奇抜な作品に仕立て上げた。色を変え、羅列し、
有名な女優の、
あるいは生身の女性としての
「身体感覚」は消えてしまい
(まさに死者として)
記号化され、
ポップアイコンへと
昇華させたのでした。
皮肉めいた動機の
ポップアートだったのですが
今や意味が変わって
ポップアート=「たのしい、気楽なアート」と曲解されているようです。
時代を経て2000年頃、
日本にヒロ杉山というイラストレーターが
その流れを組んで作品を発表します。
色面分解したポートレイト。
誰の肖像かはわからない。
美しいけれどどこか冷たい、
虚ろな、
ポップアート本来の感覚を
復活させるような作風は
一世を風靡して
雑誌の表紙など至るところで
見受けられました。
というわけで今回
この手法に則り、
課題を制作していただきます。