"CRYSTAL"
"CRYSTAL"
2023年「風変わりなカモフラージュ」としての課題で、素晴らしい作品が現れた。不揃いの六角形から成る、テーマは"CRYSTAL"。16才の生徒作品とは思えない驚くべき完成度。ちなみに隙間なく同形を敷き詰めることのできる正多面体は正三角形と正方形と正六角形のみである。なかでも六角形は生物学、化学、地学などの分野で自然形成として散見される、美しくも非常に強度の高いかたちである。
しかし、この作品の良さはそうした図案の成功だけではない、実は配色こそ素晴らしい。フォカマイユである。選ばれた色は近接色相で明度と彩度のコントラストが確保されている。そしてそれらがそれぞれ際立つようにうまく配置されている。
今回のテーマを"CRYSTAL"とし、六角形の連続を図案の条件とする(不揃いな六角形でかまわない)。
実際の作品から
カラーサンプリングしたもの
追記:
交点は必ず3線であること。五角形がたまにあっても構わない。つまり城の石垣に近い、強固な構造と考えてください。「ボロノイ(←調べてください)」だと数学的で素晴らしいのですがそこまでしなくても結構。それよりも大切なことは、今回の課題の主眼は徹底的に精緻であるべきということ。すべてが直線であること。ハサミを絶対に使ってはいけません。カッターと定規で完璧な直線で、完璧な3線の交点であること。色と色の間に隙間があってはいけません。配色と図案が素晴らしくても、仕上がりに破綻がある場合、x0.6で評価します(結果:60点〜36点の範囲)。色紙の裏に線を引くべき。表側を徹底的に美しく保つ。貼り重ねる手順、段取り、パーツ成形など、綿密に、塗布するスティックのりの量、紙がふやけないように伸びすぎないように注意する。
交点から枝分かれして3本の線が伸びている
こうしてみると交点の数は意外にも多い
テーマを”CRYSTAL"として制作するのに、色相をBLUEに揃える必要はなくいくつか混在しても成立する。明度(明るい〜暗い)と彩度(鮮やか〜グレイ味)が段階的に選択設定されてそれを最適な場所に配置することが肝要。すなわちバルールの研究である。隙間なく敷き詰められた不定形六角形のパターンを下描きし、アイビスペイントで配色をシミュレーションするといい。
別の生徒による作品:テーマ”AIR”
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これも優秀な作品である
しかし先のCRYSTALの圧倒的完成度には及ばない