多面体を描く
はじめに:
立体的に描くためには、手前と奥のとらえかたがカギとなる。見た目の陰影だけでは、向こう側へ回り込む意識が反映されず、空間表現には足りない。かたちの変化のきっかけをつかむこと。そのために直線的で角張った線で大きくとらえる。そこから少しずつ削ったり盛りつけたりして本来のフォルムへ近づけていく。彫刻と同じ感覚である。
タテヨコ比率を測り、枠線を設定し、おおまかなかたち(シルエット)をとる。かたちの変わり目など目立つポイントを探る。そのポイントを基準点として線をつなぐ、すると自然と直線的で角張った線になる。
▼枠線、ポイント、アウトライン
▼石膏像【アグリッパ】
▼石膏像【面取り、初心者用教材】
稜線について:
柑橘を例に見る。
皮をナイフでむいて面取りの状態。
ナイフの跡は平面の連続。面の変化で明るさの違いがハッキリとわかりやすくる。この面の境界線を稜線という。面の変わり目が明解だから、手前から奥へとつづくかたちの動きがよく読み取れる。
面取りされた状態で前述の通り、枠線→ポイント→つなぐ線、でシルエットのかたちをとる。
表面に見えるかたちの変わり目を探っていく。こちらから見える稜線をすべて描きとる。そしてひとつひとつ面の明るさが違うことをよく観察する。鉛筆の濃さで描き分けたり、タッチの方向、重ね方、量を変えたりして立体感の表現を試みる。
明暗を大きく分ける稜線、最も重要なところ。この線の上か下かで表面の見え方がまったく違う。多面体だとその意味がわかりやすい。
陰と影:
陰=SHADEは物体表面の暗いところ、影=SHADOWは地面の暗いところ。背景まで含めて描くとき画面全体で最も暗いのは物体の真下、接地点あたりの影。
影を描くということは床面を描くこと。平面な台は、まっすぐな線の集積で表現する。主成分は水平で、ななめにも掛け合わせる。暗いところは3B、明るいところはHBやシャープペンシルで。
まとめ:
枠でシルエットの比率をとり、ポイントを基点にかたちをとり、稜線を探り、稜線をもとに明るさの変化を描く。今回の課題は練習として多面体を用いるが、これを機にありふれたかたちのなかに稜線を見つけられるようになれば脳がグレードアップできたことになる。
▼資料:面分解と色域分解
CG処理>>色域分解
面取り>>面分解
画像処理でも色の変化が単純化されてかたちの様子がハッキリするが、平面画像を元にした色域分解なので同じ色で処理される範囲が広く、皮を剥いた様子と比べると立体感が弱い。
そもそも、カメラによる写真や画像はすべて一眼によるものなのでどうしても平面的なのである。しかし我々は二眼、両目で見る。左右の視差を脳内で合成し、立体を活写する。
▼ジャガイモのデッサン
表面の傾斜に応じた線の方向、手で触れてかたちを確かめるように描く=タッチである。