不倫公認の花嫁なんて、ありなのか?
式場の下見という、自重3kgを優に超える『ゼクシィ』の『圧』を完全に飛び越えたリアルセレモニーを前にして公認で泊まりの旅行に行ってしまう花婿でない男と、別の男性と再来月結婚の儀を交わす花嫁。
長い夢を見ているような麻衣と俺の関係。別の婚約者のいる俺と、別のフィアンセのいる麻衣。
俺の我儘と麻衣の我儘があろうことか両家の快諾で継続されてしまう不条理。
高山家に於ける俺の格別の待遇故なのだろう。
という訳で、月に一回の逢瀬は続くのであった。
「荷物は?」
「何とか入った!」
「脚は?」
「何とか収まった!」
「リクライニングは?」
「頭が擦るけど大丈夫!」
「よし!行くぞ!」
「よし!行こう!」
背徳感はもはや快感でしかなく、かえっていたずら心を高めて、なんだか学校をサボって喫茶店に入り浸るようなウキウキした気持ちになってしまっている。
目的地は、箱根は当然避けて、スパリゾートハワイアンズ。
麻衣の日々成長する肢体を、水着でも温泉でも楽しもうという魂胆だ。
今年の夏用の水着は俺には秘密で、もう誂え済みだ。
「人妻になるんだから、少しはシックな装いにしないとね」
などと色々な妄想を掻き立てることを言う麻衣。
今日の服装もセミフォーマルに近い落ち着いた服に見せかけて、黒の長袖のニットブラウスは壮大な双球が大きく聳え立つ。しかし、その裾野のボリュームは腰のベルトを優に覆い隠して、真後ろから見ても肩幅からはみ出す圧倒的なサイズなのだ。そして肩から腕にかけてはレースの編模様のシースルー。黒ブラの幅広ストラップをしっかりと見せつけている。
スカートも白のロングフレア、シックになり過ぎないコーディネイトで麻衣の落ち着いた魅力にあふれている。
「シート、いちばん後ろまで下げたのに、膝が外から見えてるよ!」
「もー限界だよ。前にも上にも育ち過ぎ。ほら!また喜んでるぅ!私がいつもどれだけ苦労しているか知ってるくせにー!」
内心のニヤニヤが表情に出るのを抑えきれない、余りにも俺の理想を体現し切ったような麻衣のスタイル。シートを倒しただけでもう遥か彼方に見える程小さな小さな顔。長過ぎる首の為に天井に頭が当たって、小首を傾げて窮屈そうに片眉をしかめる麻衣の表情。満面の笑顔が最高に可愛い麻衣は、少し困った顔も最高に愛らしい。つまりどんな表情でも麻衣の顔はたまらなく俺の心身をダイレクトに刺激して止まないのだ。
そして、童顔の小顔から下に続く、余りにもアンバランスな、暴力的に肉感を見せつけて止まない麻衣の肢体。
麻衣の今日のブラは、敢えて3/4カップを選んでいる様子。巨大な二つの山脈はデコルテのあたりで、ブラの大きさから更にはみ出し、さらに深い深い谷を持ったさざ波を絶え間無く打つ二段目の膨らみが溢れているのだ。そしてそれの上半分がレース地のシースルーでしっかりと見て取れる!
さすが人妻になる麻衣は色々な意味で更に成長し、自分の見せ方も一段と成長したのだろう。
一方、何もできず見せられる方はたまらない。見るだけの人はいいよねーと口癖で言う、麻衣さえ想像できないであろう俺の抑えきれないリビドー。何かのきっかけで衆人環視の中でさえ襲い掛かりかねない激しい欲望を、麻衣はどれだけ理解していると言うのだろう。もう俺の下着の中は浸潤する液体と怒張する物体で表現出来ない程の惨状となっているのに。
窮屈なスペースの中でも道行きのグルメスポットや目的地の施設のスマホ探索に余念のない麻衣。左の掌に完全に収まるおもちゃの様に小さく見えるiPhoneの画面。それを指揮棒の様に長い右手の人差し指をまっすぐに伸ばして操作する麻衣。それに更には飲み物やお菓子の入った袋をガサゴソしたり、頻繁にこちらの表情を覗く、ウキウキを抑えきれない活発な麻衣は、ボリュームのある二の腕や、半分長さでも十分に長過ぎる肘が俺の左腕に頻繁に当たり、壮大な膨らみ上下左右に重々しく形をかえ、谷間の近辺はタプンタプンと大きく波打ち、嫌でも麻衣の肉感的すぎる上半身を意識せざるを得ないのだ。俺にとっては、助手席に居る麻衣ほど安全運転に妨げになる存在はないのだった。
式場や婚礼衣装、引出物のことまで愉しげに話す麻衣。妹を他家へ送り出す本当の兄の様な錯覚に陥る。実際、この月イチのインモラルな関係を除いては本当の家族の様な間柄なのだ。
道の駅に到着。直立した麻衣と1ヶ月ぶりにハグ。頭に胸が当たる。最近でも年単位でははっきりと分かるくらいに胸の位置が上になっていくのだ。今日のハグでは、俺の顔は鳩尾辺り、麻衣が身体を曲げると丁度胸と胸の間に頭が挟まる格好になる。ズンとのしかかる巨大な双球。鷲掴みにしたい両手を必死の思いでなだめる。
ゆっくりと上体が起き上がり、空中に浮かんでいく黒い山脈の遥か彼方に小さなはにかんだ笑顔が覗いている。
「身長差がまた広がった?」
「胸の重みが増えた気がする」
「それは悲しいかな事実です。ん?嬉しいって…」
「思っても言わない」
「言ってるのと同じ!じゃあ胸責めだー!」
麻衣は中腰になって俺の頭を両手で抱え顔を谷間に押し込む。ひと月ぶりの再会に、周りに誰もいないのを見計らって麻衣の大サービスだ。
「ほら、これで運転中のよそ見はやめてね。あとは現地でたっぷりと鑑賞して!じゃあ、お手洗い行ってくるね!」
女性トイレとは別の多目的トイレに早足で向かう麻衣。女子トイレは、入ってすぐに怖がられたり、大声を上げられたりするのは勿論、個室で腰掛ける人ですら扉の上空から見えてしまう麻衣の頭に驚かれてしまう為、麻衣は入りたがらない。男性用、女性用の入り口の間にある大きなスライドドアを開け、頭と腰を思い切り屈めて中に入る。その大きさ、肉感、脚の長さ、腕の細さ。ドアノブをつまむように上げる手の指の素晴らしい長さまでつぶさに眺め続けずにはいられない。平均的な建物の大きさからかけ離れた麻衣の身体パーツの非日常的なサイズはいつも俺の心を揺さぶり、平常心を容赦なく奪っていくのだ。翻弄とは正にこのことだ。麻衣の魅力には全く抗うことができない自分に、笑いが出るくらいに滑稽さを感じてしまうのだった。
身体を屈め、脚を折りながら、頭のてっぺんを更に下げ、ゆっくりと扉の奥から現れる麻衣。スッキリした顔で、手のひらに収まりそうに小さく見えるハンドタオルを畳みながらこちらへ向かってくる。今は人通りがあり、ゆっくりと上半身が暴れない様に静かに歩を進める。驚く程豊かな胸、折れそうに細い腰、上半身程ではないがやはり激しく腰との落差を示す肉感的なヒップ。ジムでのトレーニングで程よく鍛えられ上向きの綺麗なカーブを描く。そしてそこから続く、常識を超える長さと、しっかりと女性らしいボリュームを兼ね備えた太腿。抱き締めると太腿だけで背の高い女性1人分のボリュームと肉感が感じられる程だ。そして小山の様に盛り上がるふくらはぎから急激に引き締まった足首。ひざ下だけですら平均女性の脚全ての長さを超えているかもしれない。
そして最後に自称40センチの足。今日はほんの数センチの踵のついた黒のぺたんこローヒールパンプス。
幅広ではなくても麻衣の靴の存在感は圧倒的だ。特注品の為、サイズは意図的に描かれていないが、実寸は計測済みだ。麻衣がいない時の靴の観察は俺の大好物なのだった。勿論洋服も、いわんやブラジャーの写真だけで数え切れない程のコレクションに達している。リアルの証明としての着衣や、麻衣と他の人、麻衣と建物などの身長比較の写真達は、ひと月間の長い長いお預けの大切な「発電資源」なのだ。
つづく