夜。
夕食後、大浴場に入りさっぱりした二人は部屋に戻る。
間接照明のぼんやりした明かりに乗じて、ことを進めていく。
風呂上がりの、濃厚でむせかえるような女性の香り。香水のように強烈なものとは違う自然なものなのに、何でこんなに好ましい魅惑的な香りがするのだろう。
香りは、今が夢でないことを、これ以上ないほどリアルに訴えてくる。
獣のように襲いかかりたくなるのを、懸命にこらえ、ソフトな触れ合いを装う。
初めてコンビニで出逢った時の衝撃。常識を遥かに超えた加奈さんの長身。大抵の女性がすっぽり隠れてしまう棚の上から、上半身をまるごとはみ出させた女性。期待と、あり得ないという思いが交錯して、全身が現れた瞬間、怖いほどに高なった心臓の鼓動が甦る。
今も時折、加奈さんの余りの常識外れの背丈に、夢か現実か戸惑うことがある。そんな夢のような女性と今向き合い、ひとつになろうとしているのだ。
ベッドの上に立ち、それでも見上げて口づけを交わす。お互いためらいながらも絡め合う舌。
夢の中でしか、あるいは二次元でしかあり得ないと思っていた状況の中に、今僕は居るのだ。足がガクガクするほどの興奮。
『服を脱がせていい?』
『うん』
静かに後ろを向く加奈さん。ワンピースのファスナーをゆっくり下げていく。
どこまでも続く長い長いファスナー。
加奈さんの白く艶かしい背中が覗きはじめる。風呂上がりのほのかにピンクがかったきめの細かい肌。ブラのベルトが現れる。
豊かなバストに相応しいしっかりしたブラのベルト。ホックは多すぎて数えられない程だ。
ウェストのくびれから、ヒップへのカーブ。パンティが覗く。女子高生のもののような淡い緑の縞模様だ。
ベッドを降り、下着姿の加奈さんの本当の背の高さを感じる。うすぼんやりした照明では暗がりに沈んで見えなくなるほど遥か彼方にある加奈さんの顔。
そして防波堤のように視界を遮る2つの頂。
抱き締めても僕の顔は、加奈さんの豊かな胸に届かない。
加奈さんのバストは139センチ、ヒップは128センチ。ウエストは内緒だそうだ。いくら全体が大きいとは言え10センチもヒップよりバストが大きいなんてスタイルが抜群にいいのだろう。カップは特注でサイズのタグは付いていない。
『これがあるから辛うじて女として認められているんだと思う。でも女子トイレではいつも悲鳴を浴びちゃうけど…』
散歩の途中で恥ずかしそうに小声で披露してくれた自身のサイズ。僕はそれだけで下半身が大変なことになってしまった。加奈さんに悟られないように、ポケットに手を入れ、身体を斜めに向け、必死で男性の生理現象を隠したくらいなのだ。本当に普通の女の子の常識を遥かに超えた規格外の加奈さん。
それが今、下着姿で目の前に聳え立っているのだ。
サイズを聞いたイメージと裏腹に、太っていると言うにはほど遠い、かえって華奢な体型。日本人女性の体型としては、ボリュームが付くべきところに人並み以上に付いているために、洋服を脱ぐとよりスリムに感じるのだろう。
下着姿では体型が露わになり、更に肉感的に、豊満なバストと、引き締まったヒップの美しさが際立つ。
下着姿に萌える僕としては、既に興奮し過ぎて頭がクラクラしそうだ。
手を伸ばしてブラ越しの胸に触れる。
一瞬、びくっと加奈さんの身体が硬直する。
『…気にしないで』
少し震えた声で呟く加奈さん。
怖いほど規格外に大きな女性なのに、余りにも、うぶで初々しい加奈さん。激しいギャップに興奮がおさまらない。
心は中高生のままなのだろう。
実は自分の気持ちもさほど変わらない、激しい緊張の中にいるのだが。
『膝立ちして』
『うん』
僕の言う通りに立ち振る舞ってくれる身長237センチの女性。
膝を落とし、50センチほど近づく加奈さんの顔。それでもまだ僕は見上げてしまうのだ。
目の前に砲弾のように突き出し、谷間を覗かせるバスト。カップのふちから溢れる膨らみ。想像以上の重量感。重々しくボリュームたっぷりのバストから目が離せない。
『あんまり見つめないで…』
顔を紅潮させ、恥ずかしげに身をよじる加奈さん。
加奈さんの身体も、仕草も、全てが僕を容赦なく興奮させずにはおかない。
ベッドへ向かう。
試しに横になる加奈さん。膝下がまるまるはみ出してしまう。
ソファにクッションを重ねて加奈さんだけベッドを延長する。
『これで大丈夫。お布団は短くてもいいの。眠るときはいつも丸まって寝るから寒くないよ』
部屋の隅で下着を脱ぎ、全裸になる加奈さん。
掛け布団から膝下をはみ出させ、ソファにまで伸びた長い長い脚。
布団の中に潜り込む。
加奈さんへ近づき、身体を重ねる。加奈さんの膝の上に当たる僕の爪先。でも一物は加奈さんのへそよりも上。加奈さんの脚が余りにも長過ぎるのだ。
『やっと同じ目線になれた。デートでも全然見つめ合えなかった』
『ごめんなさい。私があんまり大き過ぎて…』
『逆に凄く身長差を感じてドキドキしてた。でも今、凄く新鮮。こんなに近くに加奈さんがいる。凄く小顔だね』
『ありがとう。胸と小顔だけは自慢出来るかな』
『ううん、加奈さんは全て素晴らしいよ』
急に唇を重ねてくる加奈さん。
『好き』
『僕も』
『僕も何?』
『好き』
『よくできました』
首筋、太もも、腕、手、ふくらはぎ、足、尻、乳房、そして。
加奈さんの素晴らしいパーツを巡り、味わう。壊れてしまいそうに全てが柔らかく、微塵もゴツゴツしたところがない加奈さんのボディ。想像を完全に超えた加奈さんの柔らかさに、驚きを隠せない。
爆発しそうな下半身を、あり得ないほど必死の我慢でなだめ、加奈さんの身体を、自分の身体と心に焼き付ける。
永久にまさぐっていたい加奈さんの究極の姿態。
でも、余りしつこいと嫌われてしまうかもしれない。何より、我慢しきれず暴発してしまいそうなのだ。
初めて同士の二人だったが、何とか上手く終わらせることが出来た。昼に買っておいたスキンも、焦りながらも上手く着けられて、男としての責任を果たすことが出来た。
男としての仕事を終え、ようやく緊張がほぐれる。
加奈さんも、激しい緊張から解放され、落ち着いてきたようだ。
『私、余りに特別過ぎて、いつも、何をしていても孤独な感じがしていたの。家でも、外にいても、私は人と余りにも違いすぎる身体で、誰とも交われない疎外感がいつもあったの…。』
加奈さんの左手が延び、僕の右手を握る。
『でも、あなたに逢って…この余りにも違いすぎる個性も愛してくれるあなたに出逢えて、初めていつも消えない孤独感がなくなって、誰かと本当に一緒になれた気がした』
『誰もが私のことを「普通と余りにも違う人」と思って、いつも遠ざけられている感じがしてた』
『でも、あなたは違う。他ならない私の「特別な大きさ」が大好きなんだもの。みんなが遠ざける理由も全部まとめて好きになってくれた』
『そんな人、きっとこの先絶対に逢えない!って思ったから、私、コンビニで一生分の勇気を出してあなたに声をかけたの』
眠りにつく間に、真っ暗な闇の中で、饒舌になった加奈さんは想いの丈を話してくれる。
『ありがとう。全部加奈のおかげだよ』
『私こそありがとうだよ。ずっと一緒に居ていい?』『僕もよろしくお願いします』
繋いだ手を離し、身体を寄せあう。
どちらともなくキスの応酬が始まり、強い抱擁がいつまでも続いて、身体も心も深く満たされ、えもいわれぬ幸福な時間が過ぎていった。
二人の初めての夜が終わっていく。
丸くなって眠りに落ちた加奈さんの広い(というより長い)背中に抱き付き、体格差をひしひしと感じながら、僕も心地よい眠りについたのだった。
(本当はもう一回やりたいという気持ちを押し隠して)
続く