『今日は何が食べたい?』
本当は食事より、食後の方が100倍興味があるのだか、余りあからさまではムードが壊れてしまう。でも、時間のかかるものは避けたい。
『魚かなぁ?』
『うん。分かった。任せて!』
3限を終え、今日の講義はおしまい。
スーパーでテキパキと買い物を済ませ、いよいよワンルームに到着する。
エレベーター、廊下、玄関ドアの仕草をいつものように見惚れる僕を、麻衣さんはいつもの優しい苦笑で見下ろし、部屋に到着する。
まだ16時。
そわそわする二人。
親しい男女なら分かる微妙な空気。我慢せずに言ってしまう。
『夜まで待てない』
『…私も』
この件に関してはとても正直な麻衣さん。遥か上空から、下を向きながら視線をそらして、恥ずかしそうに呟く。
後は何も言うことはない。
ウォークインクローゼットから、今日のサプライズを取り出す。
『わ!何この巨大なロールケーキみたいな物は?
う~ん…。なんだろう?お布団?』
『もしかして私に合わせてくれた特注?』
『えへへ…安かったので買ってしまいました』
お泊まりでは、いつも麻衣さんが布団に丸まり、僕は万年こたつという流れが、以前から嫌だったのだ。これから寒くなるのに脚を伸ばせない麻衣さんがかわいそうなのと、何より、終わった後そのまま二人で一緒に寝たかったのだ。
寝具サイトの特注のシミュレーションで、サイズを指定してみたら意外に安く頼め、勢いで注文してしまったのだ。
麻衣さんに、ゆったりと布団に入って欲しかったので、縦は2メートル70センチ。横もダブルサイズ。二人で入っても余裕があるはずだ。
『引いた?』
『ううん。興味津々…。これいくらしたの?』
広げた布団セット。
敷き布団で既にたたみ3畳分が占領されてしまう。
『でかっ!』
麻衣さんが思わず叫ぶ。
『私って本当にでかいんだね…』
呆れる麻衣さんに、どんな言葉をかけていいのか迷う。
『お部屋がみんなお布団になっちゃった』
洋服のまま横になる麻衣さん。
『あー!気持ちよすぎるー!何年ぶりだろうお布団で脚が伸ばせるなんてー!』
『近藤くんの策略にはまっちゃうー。ここに住みたくなっちゃうよー』
好評過ぎるくらいの反応でまずは一安心だ。
『自分の部屋もベッドを片付けてお布団にしよー』
横たわる麻衣さんは、顔を見上げる普段の麻衣さんと違って、顔や胸が間近に見える。小さな童顔と巨大な胸の物凄い対比。麻衣さんを見下ろすのはとても不思議な感じだ。
横になった麻衣さんは、本当に大きく感じる。縦に長い部屋の大半を隠す巨大な布団は、麻衣さんが横たわった途端にごく普通のサイズの布団に見えてしまうのだ。普通の布団を並べたら、きっとベビーベッドの布団に見えるだろうと思う。
仰向けになった着衣の麻衣さん。胸元はバスケットボールを二つつけたように大きく突き出してしまう。そして、その山脈は、揺らしたゼリーのように激しくぐらぐらと揺れ動き、ひとときもジッとはしていない。
余りの体積に左右に少し軸がずれただけで、シャツのボタンは弾けそうに引っ張られている。
僕の視線に、麻衣さんは自分の胸元を見直し、
『おっぱいもデッカいよね…。ホントに…』
自分の凄まじいサイズに改めて呆れるしかない麻衣さん。
『私、大学に入ってから、なんだか天地がひっくり返った気分なの。生まれてからずっとコンプレックスの源だった、デッカイ身体も、デッカイおっぱいも、急にみんなから誇っていいんだよって言われて』
『実際に身長も胸も、こんなに好きなひとから、熱い気持ちで見られたり、触ったりしてもらえて…。こんなあり得ない、変な身体なのに、ホントに愛されてるんだなって感じて…』
長い長い腕を胸の下に組み、これ以上ないほどに持ち上げる麻衣さん。麻衣さんの長い長い腕ですら溢れかえってしまう大きな膨らみは顔に覆い被さるばかりに激しく盛り上がり、タプタプと自己主張を止めない。
『好きにしていいよ。
好きな人にならもっと見て欲しい。こんなにエッチな身体』
麻衣さんは、バストの圧力に引っ張られ外しにくいシャツのボタンを、ゆっくり解放していく。
ブラは淡いピンクの水玉柄。かわいいデザインだが、その大きさは尋常ではなく、アンバランスさが際立つ。しかもサイズの合っていない少し前に誂えたもののために、バストが溢れてしまっているのだ。谷間や脇から溢れ出す更に豊満さを増してしまった麻衣さんの膨らみ。フィットしたブラより何倍もいやらしく感じる。
ブラを外しても、新鮮な卵の黄身のように、大きく盛り上がったままの麻衣さんの膨らみ。左右に大きく流れず、ボリュームを保ったまま盛り上がっているのだ。
洋服を脱ぐのももどかしくかぶりつく僕。
あまりに女性的な豊満すぎる乳房を抱えているのに、あり得ない長身をもて余す麻衣さん。
それなのに、ウエストは驚くほど細く、腹筋の形がうっすらと窺えるほど薄い皮下脂肪なのだ。でも、触れると弾力があってつまむと柔らかい。
『や、くすぐったい!』
身をよじる麻衣さん。
ウエストのすぐ上では、壮絶な対比で豊かで巨大な双つの膨らみが、ぐらぐらと揺れ動く。
麻衣さんの余りにも、女性らしい造形の不思議に驚かずにはいられないのだ。
無駄な肉は欠片もないのに、余りにも激しすぎるセックスアピールを放ち、男性を冷静ではいさせない、麻衣さんの完璧なスタイル。
そしてその肉体美は、常識を遥かに超えたギネス級の長身に実っているのだ。
子供のように麻衣さんの身体の上に馬乗りになるしかない僕。
近づけば一部しか堪能出来ない。離れれば、触れることが出来ない、もどかしさ。小柄な女性なら、一望の上に触れることさえ可能なパーツは、麻衣さんに限っては手を伸ばしても届かない場所にあるのだ。
結合部にいる限り、麻衣さんの下腹部から胸の下側しか目に入らないのだ。他の場所をまさぐりに行っても下半身の刺激を得るには、この場所に納まるしかない。
ボリュームは、バストもヒップも、横にだけ豊満な女性より遥かに超えているのに、決して太っているわけではなく、逆にウエストや首筋、ふくらはぎはスリムですらあるアンバランス。小柄な女の子のような顔立ちと大きさの、紅潮し恥じらうような表情。
口づけをするには、また長い道のりを這い進むしかない。大きな胸の間をかき分け、ひたすらに長い長い首筋を経て、漸く柔らかい頬と唇に到達する。
『お疲れ様』
囁くような少しかすれぎみな麻衣さんの声。
頬を合わせ、柔らかい唇を合わせる。
そしてまた柔らかい胸に実った小さな乳首を口に含む。
麻衣さんの背筋がピンと伸びる。
『んっ!』
全体の大きさに比べて小さな乳首はとても敏感で、押し殺したあえぎ声は、僕を激しく興奮させずにいられない。
もう一方の乳首を指でもてあそぶ。小指に足りないほどの太さと、第一関節に届かない程の長さ。しっかりと硬い乳首をもてあそぶ僕に、麻衣さんは負けじと僕の乳首をまさぐる。探り当てた途端に、人差し指を使ってツンツンと刺激を与えてくる。今度はこちらが悶絶する番だ。
くすぐったく、痛く、快い刺激に、下半身がビクリと激しく起き上がる。このままでは早々に果ててしまう。
体をよじり抵抗を表すと、残念そうに退散する長い指先。
悔しいが、興奮の度合いは麻衣さんには丸見えだ。麻衣さんの指先ひとつで僕は簡単に参ってしまう。
直接一物を掴んで上下動されることもある。僕はなすがままだ。
完全に麻衣さんが上位の立場のようだ。
数年前までは形もなかったであろうに、今は隠しきれないほどに激しく膨らみ、まだグングン成長中の大きな双球。男性のパーツにはない、とろけるような柔らかさに何度も顔を谷間に沈めてしまう。
長くてボリューム満点の脚も触りたい、豊満なバストも触りたい、小さな童顔にも口づけをしたい。
でも、その興奮が余りに高まりすぎていつも、欲求不満のまま事が終わってしまうのだ。麻衣さんはしっかりと満足してくれているかとても不安だ。
きっと物足りないに違いないと思うのだ。
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『来週から一緒にスポーツジムに行こ』
食事の最中に、僕が首を長くして、ひたすら待ち続けていた言葉が、麻衣さんから発せられた。余りがっついては引かれると思い、ジムの話は自分から一切しないでおいたのだ。
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ついにこの日がやって来た。
素肌を重ね合った仲でも、麻衣さんの競泳水着と、肉感的なトレーニングウエア姿、しかも激しく活動的な姿態を拝めるのは、特別な体験だ。暗がりでの行為とは違う、あからさまな肉体を見られる喜び。
先週のうちに、スポーツウエアを買いに行き、麻衣さんのアドバイスで水着や、キャップ、ゴーグル、シューズやパーカー、パンツなど一通り揃えておいた。
麻衣さんの家の最寄り駅にある大手のフィットネスクラブ。目立ちたくない麻衣さんに合わせて、クラブの中で待ち合わせ。
麻衣さんと、係りの人に教わりながら入会手続きを済ませる。
男女の更衣室に分かれ、ジムの前で再会。
初めて見る麻衣さんの服装はいつも新鮮で、ついポカンと見とれてしまう。
麻衣さんの格好は、白のインナーに、正面は淡いピンクで、腕と背中がブルーのパーカー、パンツはグレーの七分丈のジャージだ。上下とも当然のように特注だ。明らかに3分より長く突き出したふくらはぎの先にある、40センチの淡いピンクのスニーカーが一際大きく見える。パーカーは、ウエストの部分はゆったりとしているのに、胸元は少しきつくなっていて、バストの部分だけしっかりと目立ってしまっている。
何より、パンツ姿の麻衣さんは素晴らしい。脚の超絶な長さに、僕は息を飲まずにいられないのだ。
僕の目線のすぐ下まで続く長い長い脚。
ボリューム満点の太もももヒップも、体型ありのままを眺めることが出来る。
そして視線のすぐ上にそびえる二つの膨らみ。きつすぎる服のせいで、呼吸に合わせて、ゆったりと前に突き出す様子まで、よく見てとれる。
『ジムでは私、恥ずかしがらないって決めてるの。なにしろ、こんなギネスサイズの体を健康に維持するのは、本当に大変なんだから。特に脚力と背筋力。エアロバイクと、水泳はしっかりお付き合いしてね』
麻衣さんが現れると、係りの人が、1台のエアロバイクを調整し始めた。
サドルが交換できるエアロバイクが一台だけあり、その外国製のバイクだけ、超長身の人向けのサドルがあるのだ。
サドルの交換で210センチの身長まで対応出来るのだが、残念ながら麻衣さんの体型にはまったく足りない。
以前に、麻衣さんと佳世子さんが、自費でサドルだけ輸入してもらったのだ。軸が長すぎて一番下まで下げてもサドルは20センチも高いままになってしまう。そのために高山家の二人が来たときだけサドルを取り替えて、超長身者専用のエアロバイクになるのだ。
しかし、麻衣さんはその特別製のサドルですら30センチ近く足りないのだ。
子供用の自転車に大人が乗るように、脚が開いてしまう。
『がに股になって恥ずかしいんだけど…これ以上サドルを上げるとスポッて抜けちゃうから、これで我慢するしかないの…』
僕が乗ったらペダルが下に来ると爪先がかろうじて触れている状態なのだ。うっかりするとペダルが足から離れて、バイクから落ちてしまいそうになる。
まるで、大人用の自転車に跨がる子供のような錯覚を覚えてしまうのだ。
麻衣さんにはおさまりきらないペダルの長さも、僕には満足に漕ぐことさえ出来ない長さなのだ。
上半身も麻衣さんはハンドルの上に組んだ腕を乗せられそうなくらい余裕があるのに、僕が乗るとまるでスポーツタイプのオートバイに跨がった様に腰が突き上がり、腕を少し伸ばさないとハンドルに届かない。体格差がはっきりとわかってしまうのだ。
脚力をつけないと身長に負けてしまう麻衣さんは、エアロバイクと水泳を特に念入りにやり込む。
真剣な眼差しでペダルを踏み込む長身の麻衣さんは、
まるでアスリートのようだ。ただし、上半身は別の生き物のように激しく揺れ動き、ジムでもやはり、皆の視線は麻衣さんのもとに集中してしまう。なにしろ大きな麻衣さんは、それだけで大きく大きく目を引いてしまうのだ。
『時間も曜日もわざと決めずに来てる。いやらしいひとが何人かいて、私を見つけると、横に来てじろじろ見てくるんだもん』
『こっちは鍛えないと筋力が維持できないから一生懸命やってるのに、変な目で見てほしくないよ』
身体に比べて遥かに小さな顔、その頬を膨らます麻衣さん。腕は組みたくても大きな大きな二つの障害物があるので組めず、その下を通して肘の辺りを、互いの反対の手で掴むのが精一杯だ。
なんだか自分に言われているようで内心恐縮してしまう。でも麻衣さんを観賞する喜びは、何物にも代えがたいのも正直な気持ちだ。
何しろ見たこともない大きさの女性が、見たこともないような豊満な膨らみを重々しく揺さぶりながらトレーニングをしているのだ。異性でも同性でも興味を持つなと言うほうが難しいだろう。
でも僕にとっては、運動する2メートル37センチの豊満な姿態は、普通のひとが感じる好奇心などとは全く違う、純粋に長身女性の素晴らしさに恍惚としてしまう程に素晴らしい魅惑的な姿なのだ。どんなに強い意思をもってしても目をそらし続けることは困難だ。
そんな不埒な僕の視線をものともせず、真剣にトレーニングを続ける麻衣さん。
休憩を取りながらじっくり2時間のバイクのトレーニングが続く。下半身の肉感も、普通の女性に比べたら何十倍も激しく、太ももの上下に躍動する姿は、ぴったりしたトレーニングパンツを通して、しっかりと見てとれる。体格に比べれば華奢な40センチのスニーカーも、単体で見ればやはり驚くほどに大きく、激しい迫力で上下に動く様はやはり圧倒的だ。
身長237センチの超長躯を効率的に鍛えるには、ふくらはぎからヒップにかけての膨大な筋肉を鍛えるのが一番なのだそうだ。でも、常識を超えた大きさのバストや、身体に比べても余りに長すぎる脚を抱える麻衣さんは、走ることがとても苦手だ。だから、じっくりとエアロバイクやプールで脚の運動をするのが一番いいらしい。
『中学生の頃からこのジムに通い始めたの。2メートル、2メートル10センチ、2メートル20センチ、狂ったように大きくなり続ける自分の身体に、泣きながらトレーニングを続けたの。誰も私のことを十代も前半の中学生なんて思ってくれなかったけど…』
『なんで私だけがこんな苦労をして体を鍛え続けなければならないんだろう、って思ってた。しかもその頃からバストもグングン目立ちはじめて…』
『男性の嫌らしい視線や、眉をひそめて睨んでくるおばさんが本当に嫌いだった。好きで通ってる訳じゃない、筋力を付けないと動けなくなるよ、ってお医者さんに言われて嫌々やっているのに…』
バイクに腰掛ける麻衣さんの頭を、ぽんぽんと撫でる。背伸びをしないと、頭の上に届かない。
『ごめん。いつも麻衣さんの大きいことを喜んでばかりで、そんな苦労があるなんて真剣に考えたことなかった…』
『いいの。こればっかりは誰にも代わって貰えないし、今じゃ、体を動かさないと気持ち悪くなっちゃう。ただ、太もももおしりも、しっかり太くなっちゃったのと、腹筋が見えるくらいウエストがくびれちゃって、胸がこれでもかって位に目立ち過ぎちゃうのがイヤ。お姉ちゃんはスリムなままでズルいなーって…』
麻衣さんの悩みは尽きないようだ。
ジムにある他の機械のレクチャーを麻衣さんから受け、一通り、使い方を学ぶ。大胸筋を鍛えるマシンは麻衣さんには小さすぎて使えない。座高の関係と何より、バストが肘の長さにまで達してしまっているために機械に挟まれてしまうのだ。
ランニングマシーンも使えない。左右の幅が狭すぎて身体が入らないのと、手すりが低すぎて掴まれず危ないのだ。そして、何より、走ると上半身が大暴れして、視線の痛みと、揺れで起こる本当の痛みとが余りに激しいからなのだった。
『身長とバストのせいで、大半の機械は使えないの…。すごい恥ずかしい格好になったり、ひじやひざの長さが違いすぎて、無理にすると身体を痛めちゃう…』ガクリと頭を落とし、目の前に広がる胸元を見つめながら、ため息混じりに呟く。
『何しろこの子達が何をするにも邪魔をして、本当に大変なの。身長の大きさだけでも一生懸命鍛えなければならない体型なのに、さらにこのおっぱいが、「大きさ」で鍛えるのを邪魔して、「重さ」で腰に負担をかけまくるの。バストのせいで背筋をさらに鍛えなきゃならなくなっちゃった』
麻衣さんは、悪いことをした子供の頭を軽く叩くような感じで、バストの横の部分を指先でぐっと押した。その部分だけブルンと揺れ、やんちゃな二人の膨らみを叱るような麻衣さんの仕草なのだった。
20分ほどの小休止。水分補給とクールダウンのあと、加温プールに移動する。それぞれ更衣室に戻ってスイムウェアにお着替え。1階の25メートルプールに集合だ。
競泳水着の麻衣さん。メッシュの黄色いスイムキャップにゴーグルをのせた、可愛い麻衣さんの顔。そしてそこから下が、圧巻だ。ストラップから後ろが赤、正面は濃紺の水着。ストラップから股にかけて白いラインが走り、そこから後ろにかけて、ヒップと、背中でクロスするヒモが赤の生地だ。白いラインはストラップから大きく左右に広がってバストの稜線をなぞり、急激にウエストから、内ももにくびれていく。派手なデザインではないのに、麻衣さんの素晴らしい肉体を嫌でもアピールしてしまう。ギネス級の超長身に全く負けない、女性らしい肉感を激しく発散する麻衣さんの奇跡のような姿態。
いつもの僕の茫然自失をさすがに照れたような表情で受け止める麻衣さん。麻衣さんは、僕の視線を外そうと、急いで僕の手を取り、プールサイドに案内していく。
『麻衣さんは世界一美しいよ』
堪えきれず、呟く僕に、
『ありがとう…近藤くんのお陰でコンプレックスがどんどん小さくなってくよ』『コンプレックスの真逆だよ。自信を持ってみんなに見せつけてやればいいんだよ』
遥か上空から僕より小さいかもしれない小顔が降りてきて、ちょうど90度ずれた角度のキスを交わした。互いが近すぎる時は麻衣さんは横に身体を傾け、僕は顔を横に向けて背伸びをすると唇が重ねられることを最近発見したのだ。
『私にはちょうど脚だけがプールに入るから、筋力を付けるのに都合がいいんだ』
プールに入ると、麻衣さんは言葉の通り、水面からヒップがすっかり飛び出してしまう。胸元近くまで来てしまう僕とは余りに対照的だ。浅瀬にいる大人と、深みにはまる子供のような情景になってしまう。二人でその情景を苦笑しながら、大きく見下ろし、大きく見上げながら、お互いを見つめ合う。
プールは泳ぐ人と歩く人のレーンに分かれていて、プールサイドに立つ人に近い位置に麻衣さんの顔がある。足元を見なければ麻衣さんはプールに入っていないようにも見える。
僕が前に立つと麻衣さんを待たしてしまうので、二人は別々に歩くしかない。
10分ウォーキング、2分休憩を繰り返し5本で1時間。その後は、背筋を鍛えるために普通の水泳。
ハードではないが、休みなく続くトレーニングに、普段スポーツをしない僕はすっかりバテてしまった。
『女の子に負けちゃダメだよ』
『いままでサボってたから、しっかり体を鍛え直すよ。明日の筋肉痛が心配だけど』
『うん、一緒に頑張ろ』
ようやく麻衣さんのいつものメニューをこなして終了。
男性用、女性用の風呂に浸かり、疲れを取って、受付で落ち合う。風呂上がりの麻衣さんはいい香りがして、やはりどんなに大きくても女性らしい女性なのだった。
『これからどうする?』
『近藤くんの家に行っていい?』
『だってジムにいる間中ずーーーっと私の色んなところを、エッチな目で見てて…。いままで会った嫌らしい男の人たちなんか可愛いくらいのストーカーぶりだったわ!』
『えっ、スッゴい我慢して、ほとんど見ていないつもりだったよ』
『超ガン見だったよー!近藤くん、ジムが終わった後、絶対に我慢できなくなるだろうなぁって思ってた』『それは大正解』
『そんなことばっかり考えていたら、私までだんだん我慢できなくなって来ちゃったじゃない!』
小顔の麻衣さんが眉をハの字にしながら、身をよじる。両腕に挟まれた巨大なバストは嫌らしく形を変えさらに前に突き出す。その姿は、自制心が壊れるスイッチが入るのには充分な、艶かしい仕草だった。
『近藤くんのせいなんだから、ちゃんとエスコートしてね!まずは外食がいいかな』
『…美味しいラーメンでよろしいでしょうか?』
『わーい!でもつけ麺以外でね!』
『電車に二駅くらい乗るけどいい?』
『ラーメンには代えられないかな。座れないと目立ってやなんだけどな』
どんなに大きくても、やっぱり十代の女の子だ。現金な笑顔が上空から降り注ぐ。
『エッチなストーカーとおんなじ気持ちになっちゃうなんてすごく恥ずかしいよ。もう、嫌』
上気したような麻衣さんの顔は、少しの恥じらいが含まれていて、
『近藤くんと頻繁にするようになってから、落ち着き始めてたバストの成長がまた激しくなりはじめて…、今着けてるブラが軒並み小さくなり始めてるんだからね!』
『確かに、いつも服を脱がした時のバストの谷間がグンと盛り上がってるね。ブラの跡もバストにくっきりつくようになってる』
『もう!分かってるじゃない。近藤くんがいっぱい触るからだよ。私のブラはデパートのフルオーダーのお店で作ってるからとんでもなく高いんだから』
『私とお姉ちゃんの服と靴はほぼ全て特注だから全部デパートにお任せしてるの。いままででデパートに支払ったお金は、郊外に一戸建てのお家が建つくらいだって…』
上空で大きなため息をつく麻衣さんの顔は、
『何しろ普通のひとが100円ショップで買えるものが数千円、数千円で買えるものが2万円~5万円、1万円超えるようなものは十数万円もかかっちゃう。靴やコート、披露宴に着ていくようなドレスとか…。最高額はやっぱり成人式の振り袖一式。中古車ならハイグレードクラスは買えたってお父さん半べそで言ってたよ』
『私働きはじめてもきっと洋服代だけで赤字になっちゃう。一生独立出来そうもないよ』
歩きながら麻衣さんを見上げるのはいつもワクワクする。饒舌になればにるほど両手がよく動き、頻繁にバストにぶつかるのだ。重々しく揺れる洋服の中の巨大な膨らみを間近で拝めるのは幸福な瞬間だ。そして何より、60センチを遥かに超える身長差の快感。標準身長を80センチ近くオーバーしてなお成長を止めようとしない麻衣さんの奇跡のような長身。
なのに普通の身長の女性よりも、何十倍も女性らしい肉感的な麻衣さんの身体。この素晴らしい肉体と、今日も交わることが出来るなんて、僕はなんて幸福なのだろうと、歓びを噛みしめるのだった。
つづく