断片的に聴こえてくる会話。そこから判断すると、どうやら彼女が受験生らしい。
兄弟か親戚に、つきあってもらっているのだろうか。また彼女に会えるかもしれない。喜びが湧き上がる。 まだ、チャンスがあるかもしれない。 ついつい速まる足。彼女の、やはり、普通の女性にはあり得ない広く長い背中が近づく。 そして、再び俺は彼女に驚かされた。最初は胸元に何か抱えているように見えた。 右手で左腕の肘のあたりを掴んで大きな荷物を胸元に抱いていると思ったのだ。だが、 その荷物は柔らかいようで頻繁に見え隠れする。左側にいる男性の方を向いて歩いているために、 左側に大きく見え隠れするその荷物は体の動きにあわせて、ゆっさゆっさと揺れ動くのだ。 まさか! でも、荷物は丸く重々しく揺れ動き、なにより、ワンピースと同じブルーのストライプ。 そして、彼女の背中には20センチはあろうかというブラの背中のホック、10センチ近い肩へ伸びる二つの ストラップがしっかりと透けて見えるのだ! ストラップは両肩から肩甲骨にかけて痛々しいまでに食い込み、ブラの本体も左右の脇にきつく巻かれ、 精一杯大きく重たい荷物を支えている。細いウエストに近づくほど、サイドのホックはきつく締め付けられているのに、 後ろから見ても二の腕で隠しきれずに左右に重々しくはみ出た膨らみが窺えてしまう。 今にして思えば、彼女は右腕で余りに重すぎる胸を支えていたのだ! なんと言うことだろう。
彼女は、少なく見積もっても身長2メートル20センチ以上、バスト150以上、 しかもウエストは思い切り引き締まった、信じられないほどに肉感的な超長身女性だったのだ!そして、その顔。 どちらかというと丸顔に近く、長身女性にありがちな男性的な顎の尖った容貌には程遠い、幼さの残った小さな顔なのだ。 それなのにどこまでもアンバランスな超長身と肉感的な姿態。 ゆっくりとした動きは余りに大きすぎ重すぎるバストを抱えているせいだったのだ。 それでも胸の揺れは決しておさまることはない。 既に後ろ姿は何枚か、こっそり写真を撮ってしまった。どう写っているか心配だが、必死にシャッターを切る。 西門をくぐり、キャンパス内へ入った。さらに長い道を通り抜けようやく建物に近づいてきた。 広場の端にたどり着き、とうとう掲示板が見え始めた。平地になり、彼女の異様と言わざるを得ない程の長身と、 余りにも大きな膨らみが、周囲の注目を嫌でも集めてしまう。なにしろ、 背の高い若い男性も多くいる数百人の人たちの中から、抜きん出て大きく顔(と上半身)を現してしまっているのだ。 それがかわいく小さな童顔で、しかも驚くばかりの大きな胸元をゆっさゆっさと揺らして歩いているのだ。
既に掲示板には番号が張り出されていて、あちこちから嬌声やざわめきが聞こえている。 何年も憧れてきた大学なのに、理想の女性が現れたら、途端に意識の大部分がそちらに行ってしまった。 俺は自分でも可笑しくなるくらい欲望に忠実な男のようだ。 もちろん自分の結果も気になる。しかし、これからの自分の大学生生活にとって、彼女の結果も相当に重要なことだろう。 なんと、彼女は俺と同じ理工学部に向かってくる。そして、同じ学科の前へ進んでくるではないか。 自分の番号は…あった!そして間髪を入れず、
『やったー、これでおにいちゃんと一緒に通えるー』
大喜びの彼女。まるで子供のように飛び上がる。2メートルを遙かに超える大きな大きな女性が、 まるで小学生のように、喜びのあまりぴょんぴょんと飛び上がっているのだ。 当然のように淡いブルーのワンピースを突き破らんばかりに隆起させている二つの巨大な頂は、 激しい地震のように上下左右にゆっさゆっさと重々しく豪快に暴れ出して、周りに居る者の目は釘付けになってしまう。 彼も思わず
『麻衣、大暴れしてるぞ』
『もー!見ないで』
『それは無理だよ。ここまで自己主張されたら…』
周りの人たちも相当納得したようで、笑いが沸き起こってしまった。 彼女はそこで多くの人から注目されていることに気づいたらしく、急に真っ赤になって、 自分のバストを手で覆い隠す。しかし、柔らかで巨大な膨らみは、大きな大きな手ですら覆いきれずに、 長い指先の間から、こぼれ、はみ出してしまう。
『……おにいちゃん!早く言ってよ…』
愛らしい表情に、また笑いとともに周囲に柔らかい雰囲気が漂う。 掲示板の数字を指さし満面の笑顔で男性のカメラに向かう彼女。背の高い男性でも絶対に届かない位置なのに、 彼女の細く長い指には簡単に届いてしまう。 当然、俺も掲示板を撮る振りをして彼女の姿を堂々と収める。バストショット、全身像、男性との身長差の比較、 長い長い腕、番号を指さす長い指先、バストだけ、脚だけ、巨大な靴、男性とのツーショット、 男性の顔に近づこうと体を90度に折り曲げ膝も思い切り曲げて、それでも背が高い彼女のけなげな仕草。 興奮のあまり、鼓動が体全体にドクドクと脈打ち、膝がガクガク震える。一生分の運を使い果たしたんじゃないかと思うような、 長身女性好きにとって夢のような出来事。 こんなチャンスに遭遇出来るなんて! 今までの受験の苦労が、合格の喜びと彼女を目の当たりに出来、しかもこれからも会えるチャンスがあるんだという期待で、 本当に俺も飛び上がりたいくらいに有頂天になった一日だった。 そう、彼女が指差した番号はまさしくこれから俺が通う第一志望の学科なのだ! もちろん、彼女の写真(と動画)は公開されることはなく、俺専用の秘蔵コンテンツとして長く 保管されることとなったのだった。
つづく