男性の方が女性よりも,危険な決断の下しやすさの加齢変化が激しい

投稿日: Mar 22, 2016 2:40:5 PM

Rolison, J.J., Hanoch, Y., Wood, S., & Liu, P.J. (2015). Risk-taking differences across the adult life span: a question of age and domain. Journals of Gerontology, Series B: Psychological Sciences and Social Sciences, 69(6), 870–880, doi:10.1093/geronb/gbt081.

(Abstract)

高齢者は,自分の健康や将来の経済問題や社会的環境について,重要で危険な決断を迫られることがある。ここでは,人生を通してさまざまな決断が必要となる側面で,危険な決断をするかどうかの年齢差を調べた。18歳から93歳までの528名を対象に横断調査を行い,領域ごとの危険な決断尺度(DOSPERT)を用いて,5側面における危険な行動を調査した。その結果,(少なくとも男性では)加齢に伴い,経済的側面での危険行動傾向は急激に低下することが明らかとなった。社会的側面では,若者から中年期にかけて少し増加し,高齢期に低下する傾向が認められた。一方,娯楽の側面では,高齢期よりも,若者から中年期にかけての方がより急激に低下していた。道徳面,健康面での危険行動は,相対的に加齢に伴って低下していた。本研究により,加齢に伴う危険行動の性差も明らかとなった。経済的な面での危険行動は男性においては顕著に加齢に伴って低下したが,女性ではこの傾向は認められなかった。そして,社会的領域における危険行動では,男性よりも女性において,より加齢に伴い低下する傾向が認められた。本研究の結果に基づき,領域ごとの危険行動と加齢の関係において,その根本的原因についての議論を行った。