投稿日: Jun 24, 2014 2:25:6 PM
DeSteno, D., Dickens, Y. L., & Lerner, J. S. in press Gratitude:A Tool for Reducing Economic Impatience Psychological Science, published online 23 April, DOI: 10.1177/0956797614529979
(Abstract)
人はすぐにもらえる報酬よりも後からもらえる報酬の価値を過度に割り引いて考える傾向にあり(遅延価値割引),それは「ホットな」感情プロセスが短期的な満足を求めるよう働くためであると考えられる。この見解を支持する研究として,近年,悲しみが,目下の経済的決定とは無関係であっても,経済的な焦りを悪化させるという報告がある。こうした報告は,「感情は常に(満足を求めようとする)焦りに抗うように抑制されるべきだ」,という見解を強めている。しかし,もし感情が正常に機能すれば,ある特定の感情が遅延価値に対する過度な焦りを低減させることが可能であると考えられる。本研究では,この仮説を支持する証拠を示すことができた。本研究では,(a)感謝感情が,実際のお金を賭ける場面においても,焦りを低減させる(b)そうした感謝の効果が,一般的なポジティブ感情状態の効果とは区別できる,ということを示すことができた。これらの知見は,我々がより辛抱強く適切な経済的決定をするために,自己制御をすることで,個々人は感情的反応を抑制すべきだとする知見に異議を唱えるものである。