人間関係には他人の気持ちを「正しく理解する」ことより「何とかしてあげたい気持ち」が重要

投稿日: Mar 22, 2016 2:35:52 PM

Lauren A. Winczewski, Jeffrey D. Bowen, and Nancy L. Collins (2016). Is Empathic Accuracy Enough to

Facilitate Responsive Behavior in Dyadic Interaction? Distinguishing Ability from Motivation. Psychological Science, in press DOI: 10.1177/0956797615624491

(Abstract)

対人間の敏感さ-他者に理解されたり認められたり気にかけてもらえたと感じること-は,人の社会的相互作用や関係性の質を高める上では重要な役割を持つ。どうすれば,他者に敏感だと思われるのだろうか?本研究では,他者に対する敏感さは,相手の正しい理解だけではなく,共感的な動機付けが重要であると考えた。特に,本研究では,他者の気持ちや考えの「正しい理解」は,相手を何とかしてあげたいという共感的な関心があるときのみ,相手に対する敏感な行動の助けとなると仮定した。91名のカップルに,2人のストレスの原因についてディスカッションさせ,同時に相手の気持ちの理解の正確さ,共感的な関心,相手に対する敏感な行動を測定した。その結果,共感的な関心が高い人においてのみ,相手の気持ちの理解の正確さが行動に結びついていたが,共感的な関心が低いと,相手の気持ちの正しい理解は行動に関係しない(むしろちょっと悪影響)であることが明らかとなった。本研究により,相手に対する敏感な行動にとっては,共感の認知的・感情的側面が同時に機能する必要があることが明らかとなった。