死の顕在化には「概念の活性化」と「死の不安」があって,「概念の活性化」は促進的,「死の不安」は予防的にさせる

投稿日: Mar 22, 2016 2:41:13 PM

Huang, Z. & Wyer, R. S. (2015). Diverging effects of mortality salience on variety seeking: The different roles of death anxiety and semantic concept activation. Journal of Experimental Social Psychology, 58, 112-123. http://dx.doi.org/10.1016/j.jesp.2015.01.008

(Abstract)

死について考えることは,死に対する不安を誘発するのみならず,死と関連する概念の活性化につながる。死の顕在化のこれらの効果は,人の判断や行動に対して異なる方向の影響があると考えられる。本研究では,多様性追求行動を調べることによって,この効果の違いを示した。4つの実験から,死の顕在化により誘発される死の不安は,死とは無関係のものの選択における行動場面で,選択の多様性を下げることが示された。一方,死の概念のみを活性化させることは,多様な選択行動につながった。また,認知的負荷をかけることが,死の不安の効果を低減させた。どのように死の顕在化を誘発させるかにかかわらず,死に関連する概念の活性化は,多様性追求課題における選択幅を広げる。しかしながら,「このままでいたい」という現状維持の願望につながる死の不安の効果,特に自分自身の死について考えたときに誘発される不安は,概念を活性化させる効果を上回ることが示された。