ある病気に対してリスクが高いと知覚すると,検索誘導性忘却(その病気について学習した情報と同じカテゴリーの情報を忘れてしまう)が起こる

投稿日: Mar 22, 2016 2:52:2 PM

Coman, A., & Berry, J. N. (2015). Infectious Cognition: Risk Perception Affects Socially Shared Retrieval-Induced Forgetting of Medical Information. Psychological Science, in press, DOI: 10.1177/0956797615609438

(Abstract)

話者が,選択的に自分が以前に学習した情報を検索,想起して話をするとき,聞き手は同時に自分たちの持ちうる情報の記憶を検索,想起する。この同時に起こる情報検索は,情報の記憶を強化し(リハーサル効果),さらに,言及されていないけどそれと限りなく近い情報の記憶を抑制する(社会的共有による検索誘導性忘却:SSRIF)。不安が恐怖に関連する情報への注意を喚起するという先行研究を基に,ここではそうした情報検索が,不安の高い文脈ではより促進されるか否かを調べた。対象者はまず髄膜炎菌性疾患に関するカテゴリーに分類された情報を学習した。その後,病気のリスク知覚の操作(low vs. high)を行った後,さきほど学習した情報が部分的に含まれているラジオを聴いた。最終的に行った想起課題の結果,リハーサル効果は2つのリスク条件間で同等であったが,SSRIFはリスクが高い条件の方が低い条件よりも有意に大きかった。メディアによるニュースが結論を誇張する傾向が,悪影響を及ぼす可能性が示された。