大規模追跡データで性格特性と認知機能の関連を見たら、やはり神経症傾向と誠実性が関連していた

投稿日: Mar 22, 2016 2:47:5 PM

Luchetti, M., Terracciano, A., Stephan, Y., & Sutin, A.R. (2015). Personality and cognitive decline in older adults: data from a longitudinal sample and meta-analysis. Journals of Gerontology, Series B: Psychological Sciences and Social Sciences,in press. doi:10.1093/geronb/gbu184.

(Abstract)

性格特性は認知症のリスクと関係しているとされているが、認知機能の変化とどのように関連しているのかにつてはほとんど知られていない。本研究では、高齢者における性格特性の5側面と認知機能の低下について調べ、これまでの先行研究のメタ分析とともに検討した。4年間のフォローアップによる大規模サンプル(N = 13,987)において、性格特性、客観的・主観的記憶、認知機能を測定したデータを用いた。また、それぞれの性格特性の側面について、性格特性と認知機能変化の関連を検討した先行研究のメタ分析を実施した。その結果、神経症傾向の高さは、すべての認知機能や記憶能力の低さと関連しており、一方、誠実性と開放性の高さは、認知機能や記憶能力の低下の抑制に関連していた。外向性は、認知機能の低下の抑制と関連していた。少々ではあるが、これらの関連は、高血圧、糖尿病、精神病歴、肥満、喫煙、運動不足よりも、強い傾向が見られた。メタ分析により、神経症傾向と誠実性と、認知機能低下との関連が支持された。性格特性はこれまで報告されてきた医学的なリスクファクターと並んで、認知機能の低下に関連するものであることが示された。