「働いた分だけそれ相応の報酬をもらう」という分配公正性の感覚には文化差がある

投稿日: Mar 22, 2016 2:45:13 PM

Schäfer, M., Haun, D. B. M., & Tomasello, M. (2015). Fair Is Not Fair Everywhere. Psychological Science, in press. DOI: 10.1177/0956797615586188

(Abstract)

仕事にどれだけ貢献したかに基づいて,共同作業の利益を配分する,ということは,近代西洋文化圏では同然のことと思われている。しかし,そうした功績に基づいた分配の平等性は,社会的・経済的な集団の仕組みによって異なる,文化的に構築されるものである可能性がある。本研究により,異なる3つの文化圏の子どもたちがこの分配の平等性について全く異なる考え方を持っていることが示された。西欧文化圏の子どもは,働きに応じた報酬を受け取るべきであると考えているのに対し,長老支配制(高齢になるほど身分が上がる)の社会であるアフリカの子どもたちは,そうした分配に対する考え方を全く持っていなかった。狩猟採集民族の平等主義を持っているアフリカ文化圏の子どもは,他の2つの文化圏よりも,平等に利益を分配した。本研究の結果より,分配の平等性というものは,人類に共通のものではなく文化的に構築される行動であることが示された。