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論文が掲載されます(2020.8.20)
投稿: 2020/08/19 17:22、Megumi Tabuchi以下の論文が,「心理学評論」に掲載されます。田渕恵 先行世代の経験を次世代に活かす:高齢者と若齢者の世代間相互作用. 心理学評論. 63(1), 69-77. (2020).【Abstract】Utilizing the predecessor generation’s experience on the next generation is an important human behavior. In this paper, the author examines elderly people’s helping behavior, based on their experience, toward young people and the psychological characteristics that promote elderly people’s behavior. In addition, I discuss the psychological impact of intergenerational interaction on elderly and young people. The findings indicated that young people desire the “failure” experience of the predecessor generation, and that elderly people’s altruism is promoted when young people thank the tradition of their “failure” experience. Future studies should discuss the meaning of inheriting and utilizing predecessor generation’s experience from the perspective of interpersonal communication and from a wider perspective.Key words: elderly people, helping behavior, experience, wisdom, intergenerational interaction
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本論文では,高齢者が経験を活かして若齢者を助けるという行動と,その背景にある高齢期特有の心理的特徴,そして,そこに世代間相互作用がいかに影響するかについて論じることを目的としたものです。高齢者の行動の背景にある,高齢期特有の心理的特徴について概説した上で,若齢者との相互作用を考慮した一連の研究から,高齢者の利他性が若齢者にうまく働き,両世代にとってメリットとなる仕組みについて考察しています。国立長寿医療研究センターの西田裕紀子先生にコメント論文を書いていただきました。
本研究に関する質問・コメント等,内容に関するお問い合わせ,いつでも受け付けております。
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論文が採択されました(2020.7.21)
投稿: 2020/07/20 19:25、Megumi Tabuchi以下の論文が,「老年社会科学」に掲載されることが決まりました。田渕恵・小島康生 (2020) 「乳児と視線が合うこと」が認知症高齢者の行動に与える影響. 老年社会科学【要約】本研究の目的は,認知症高齢者と生後12か月未満の乳児との交流場面において,「乳児と視線が合うこと」が認知症高齢者の行動に与える影響を明らかにすることであった。グループホームに入居中の高齢者5名(全員女性;年齢は83-97歳)を対象とし,5名の乳児(男児3名,女児2名;3-9か月)とのその親を研究協力者とした。高齢者5名が着座している場所に母親が乳児を抱いて近づき,1組ずつ高齢者と乳児が対面する場面(高齢者5名×乳児5名=25場面)を記録した。高齢者の4種類の行動(笑顔,発話,手を伸ばして触れる,なでる・あやす)の生起時間を,乳児と視線が合っている場合(視線あり)と合っていない場合(視線なし)に分けて測定し,視線の有無によって各行動の生起時間比率が異なるかを検討した。その結果,全ての行動において,乳児と視線が合っている場合の方があっていない場合よりも有意に行動が生起していた。2者間で互いに積極的な相互作用や言語的反応がなくても,乳児とただ「視線が合う」だけで,認知機能低下が認められる高齢者において自発的なコミュニケーション行動がより生起することが分かった。キーワード 認知症高齢者,乳児,アイコンタクト,世代間交流,世代性
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本研究は,生後12か月未満の赤ちゃんと認知症高齢者との交流場面において,視線が合うことによって認知症高齢者の行動にどのような変化があるのかを明らかにした研究です。赤ちゃんと視線が合っている場合と合っていない場合に分けて,認知症高齢者の行動を観察・分析した結果,「視線が合う」だけで,「笑顔」「発話」「手を伸ばして触れる」「なでる・あやす」という行動が活性化していることが分かりました。また,認知機能レベルが高い高齢者は「発話」が,低い高齢者は「なでる・あやす」という行動が生起しやすいことも分かりました。
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論文が採択されました(2019.4.22)
投稿: 2019/04/22 0:23、Megumi Tabuchi以下の論文が,「老年社会科学」に掲載されることが決まりました。田渕恵・三浦麻子 (2019) 創造的課題における高齢者と若年者の世代間相互作用の特徴. 老年社会科学【要約】本研究は,高齢者と若年者という異世代が創造的課題に共同で取り組む際の,世代間相互作用の特徴を明らかにすることを目的としたものである。創造的課題として積み木課題を用い,同世代間・異世代間の相互作用場面の会話内容に着目した。高齢者同士・若年者同士・高齢者と若年者の3群の2名集団により実験を行った。先行研究に従い課題遂行中の会話を4つのカテゴリ(「提案の要求」,「新しい提案」,「提案に対する反応」,「相手の行動に対する評価」)に分類し,各カテゴリに関する発話比率が条件間でどのように異なるかを検討した。その結果,高齢者では相手が若年者である場合の方が同世代よりも,「提案の要求(相手に提案を促す発話)」の比率が高く,若年者同士ではそのような傾向は認められなかった。異世代間の特徴として,高齢者が若年者に対して目的遂行のための新奇な行動を促す役割を担うという,世代による役割分担が明確に行われている可能性が考えられた。キーワード 高齢者,異世代間相互作用,創造的課題,会話行動,実験
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本研究は,Tabuchi & Miura(2018)の追試を行い,積み木課題を用いて異なる世代間の相互作用の特徴を明らかにした研究です。先行研究と同様,高齢者は若年者と組むと,「何を作りたい?」「どうしようか?」といった「相手に提案を促す発話」を多く行っており,異世代集団では世代によって役割分担が行われていることが分かりました。
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論文が採択されました(2019.4.8)
投稿: 2019/04/08 2:06、Megumi Tabuchi以下の論文が,「世代間交流学会誌」に掲載されることが決まりました。田渕恵・小西順子 (2019) 女性退職者の地域子育て支援への参加・継続動機. 世代間交流学会誌【要約】本研究では,退職後に地域の子育て支援を行う中・高齢女性の参加開始動機を明らかにすること,そして開始動機によって継続動機や心理発達が異なるのかを明らかにすることを目的とした。地域の子育て支援を行う1グループに所属する女性9名(61.56±4.16歳)を対象とし,質問紙を用いて,「子育て支援の参加開始・継続動機」,「世代性」について尋ねた。開始動機の類似性により対象者を分類したところ,「知り合いから誘われた」において得点が高い受動型と,「育児中の親の助けになりたい」「経験を活かしたい」等において得点が高い能動型に分類された。また,能動型は「社会の役に立っている」,「親との触れ合いが楽しい」という継続動機や,世代性の「コミュニティや次世代への貢献」が受動型よりも有意に高い結果となった。子育て支援への参加開始動機には個人差があり,それによって継続動機の種類や世代性の高低が異なることが明らかとなった。キーワード 子育て支援,退職後,参加開始動機,継続動機,世代性
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本研究は,地域子育て支援を行う1グループのメンバーを対象に調査を行い,支援への参加動機の個人差を明らかにすると同時に,その個人差によって継続動機が異なることを示したものです。
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「心理学ワールド[特集]老い」に寄稿しました。
投稿: 2018/07/20 5:35、Megumi Tabuchi『心理学ワールド82号』の「[特集]老い」に寄稿しました。高齢者が「次世代を支えたい」と思う心と,その利他性がどうすればうまく働くのか,どうすれば高齢世代と若者世代の良好な相互作用が実現するのかについて,これまでの研究を基に書かせていただきました。本稿に関する質問・コメント等,内容に関するお問い合わせ,いつでも受け付けております。