2017年度哲学・倫理学外書講読(立命館大学文学部)
詳細は、シラバスをご覧ください。
イギリスの女性倫理学者フィリッパ・フット(1920-2010)の晩年の著作 Natural Goodness(邦題:人間にとって善とは何か)を読みます。
この本は、倫理学を植物から考えてみるというアイデアで書かれたものです。
まず、授業の進め方とアイスブレーク(ゲームなどして打ち解ける)を行い、フットが作ったトロッコ問題という思考実験を通して、倫理学の雰囲気をつかみます。そのうえで、英語のテキストを訳して読み進めてゆきます(テキストはコピーして配布します。邦訳もあるので参考にしてください)。訳文は事前にメールで送ってください。授業では、テキストを訳すだけでなく、その内容についてディスカッションを行います。
第1回 イントロダクション
自己紹介、アイスブレーク(商品企画プレゼン)、今後の予定
第2回 倫理学とは何か
グループ発表
第3回 フィリッパ・フットの生涯
第4回 講読1(Natural Goodness立命館訳プロジェクト)
G. E. ムーアの自然主義的誤謬と未決論法
フットの思想変遷
第5回 講読2
ピーター・ギーチの限定的形容詞と叙述的形容詞の区別
言語論的転回(飯田隆編『哲学の歴史 第11巻論理・数学・言語』中央公論新社、2007年、飯田隆「総論 科学の世紀と哲学」を参考にした。)
配布資料(形容詞の限定用法と叙述用法)
第6回 講読3
アリストテレス的必然性
心理的利己主義
実践的合理性に関するヒューム主義
第7回 講読4
道徳の中心問題(「倫理学入門」第11回を参照)
動機づけに関する弱い内在主義
第8回 講読5
錯誤説
動機づけに関する水力学モデル
第9回 講読6とレポート課題
第10回 講読7
マイケル・トンプソンの行為論
参考資料:村井忠康「生の概念は論理的か―トンプソンの分析的ヘーゲル主義の射程ー」日本大学人文科学研究所 第8回ワークショップ「ヘーゲル論理学の射程」 2015年3月10日(リンク)
参考動画:Interview: Michael Thompson(リンク)
第11回 講読8
マイケル・トンプソンの行為論の続き
J. M. E. マクタガートのA系列とB系列(とC系列)
配布資料:神崎繁「アリストテレス的自然主義の新展開−「自然誌的判断」と「行為の性向」の論理形式」、『理想』No.696「特集 アリストテレス−その伝統と刷新」、2016年、62-76頁。
第12回 講読9
目的論的世界観と機械論的世界観
参考:野矢茂樹「なぜ物は落ちるのか」、岩間輝生・坂口浩一・佐藤和夫編『高校生のための現代思想エッセンス ちくま評論選』、筑摩書房、2007年、72-77頁。
第13回 講読10
知性とは何か
参考:ジョン・ヴァーリイのSF
第14回 講読11
人間にとっての善
参考:杉本俊介、博士論文「'Why Be Moral?'問題の再検討」、京都大学大学院文学研究科(2015年度)、2015年、第10章。(リンク)
第15回 講読12