感情の分類と心のコントロール
感情とは何かを、生成AIの感情の分類を通じて考える
生成AIは、膨大な情報を要領よくまとめて、平均的な情報を提供してくれます。しかし、論争のある話題については保守的で、時に意図的な操作が行われます。感情とは何か?の問題も定説がないので
<「生命言語理論」による検討の視点>
1.感情の機能・役割が理解されているか?:高等動物の生存活動において、感情とは、欲求充足行動(生存活動)における価値判断反応であり、活動を促進または抑制し、欲求が充足すれば休止する。人間の感情を大別して、まず以下の3つに分類されているか。
① 肯定的(ポジティブ)感情:欲求が充足されるとき、満足や喜びの興奮の後に沈静化する。
② 否定的(ネガティブ)感情:欲求が充足されないとき、不安や憎悪が起こる。
③ 意志的・観念的感情:人間では、欲求が言語的思考によって創造・拡大された場合(願望や信仰、善美など二次的欲求)、欲求と想像的観念が結合して無限や永遠への時間的空間的世界への広がりを求めるときにこの感情が起こる。
2. 欲求と感情が的確に分離されているか?:感情は、欲求実現行動のための価値判断的反応であると共に、行動を実現し推進する力となる。しかし行動には否定的推進(不快、憎悪、悲哀等)があり、それが強いと行動抑制(挫折)の要因ともなる。また、欲求が引き起こす行動の動因と、感情が引き起こす行動の動因があるが、これによって両者が混同されていないか。例えば<性的欲求>が、性的<快楽>の感情と分離されずに感情に分類されている(27分類の場合)。
3.欲求と意志的感情の区別があるか?:上記2とも関連があるが、人間の欲求や感情には言語的創造観念に由来するものがあり、夢などを求める願望、永遠を求める祈り、正義、意欲、忍耐、信念等の感情は、快・不快、愛・憎等々のような肯定と否定の判断を引き起こす対立的感情反応ではない。むしろ、人間特有の二次的欲求と関わりのある観念的感情であると言える。
《以下の■A.~■ E. の引用はgoogle geminiによる感情の分析にコメントを加えたものです。Google 検索の「AI モード」では、Google が開発した最新のマルチモーダル大規模言語モデルである Gemini が使用されています。その内容は平均的にまとめられたもので、デジタル化された文献の情報に依存しており、wikipediaのレベルを超えるものではありません。しかし、要領よくまとめられており、わかりやすく参考になります。そこで、AI geminiの力を借りて、その不十分なところをわれわれの「生命言語理論」で補うことによって、感情やそのコントロールについて解説を加えてみます。
なお、■A.~■ E. の質問項目と【コメント】の解説は、引用者によります。引用上わかりやすくするため見出し等の改変部分が有ります。【引用者検索日:2026/02/03】 人間存在研究所 大江矩夫 》
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■A. 人間の感情にはどのようなものがありますか?
<AI geminiによる概要>
人間の感情は非常に多岐にわたりますが、心理学の世界ではいくつかの代表的な理論によって整理されています。主な分類方法は以下の通りです。
1. ポール・エクマンの「6つの基本感情」
表情研究の権威であるポール・エクマンは、文化に関わらず共通して見られる感情として以下の6つを定義しました。
· 喜び
· 悲しみ
· 怒り
· 恐れ
· 嫌悪
· 驚き
【コメント】
ポール・エクマンの分析「6つの基本感情」は極めて不十分です。後の追加分を含めて、「不安や希望」そして「信仰や恍惚」などの宗教的感情への言及がありません。また、特に「驚き」は、喜怒哀楽など様々な感情刺激の初期反応として生起するものであって、特定の感情に分類するべきではありません。乳幼児における「驚き反応」の観察によってもわかるように、「驚き」は感情ではなく、成長と共に感情分化する以前の肉体的生理的反応と言うべきです。成人の「驚き反応」の場合も、分化した感情を生起させる刺激に対する興奮(反応)状態であって、喜怒哀楽の感情のような分化した内的持続性をもつ感情ではないのです。喜怒哀楽を含めてほとんどの激しい感情反応は、それらの刺激に慣れるまでは驚きがあって、その理解とともに喜び、悲しみ、怒り、恐怖、嫌悪などさまざまな感情が生起します。他文化の見慣れない習慣や行動(挨拶など)が、まず驚きを持って見られ、様々な感情が起こるのはそのためです。驚きの背景には、「感情の価値性」が含まれ、宗教上の理由でタコやイカ、牛肉や豚肉を食べることに驚き、激しい嫌悪感情を示す場合等はその典型例です。
2. ロバート・プルチックの「感情の輪」
心理学者のロバート・プルチックは、感情を「色」のように捉え、8つの基本感情と、それらが混ざり合って生まれる「二次感情」をモデル化しました。
· 基本8感情: 喜び・信頼・恐れ・驚き・悲しみ・嫌悪・怒り・期待
· 混同感情(二次感情)の例:
o 喜び + 信頼 = 愛
o 怒り + 嫌悪 = 軽蔑
o 恐れ + 驚き = 畏怖
【コメント】
心理学者ロバート・プルチックは、感情を4つの対極(喜び-悲しみ、信頼-嫌悪、恐れ-怒り、驚き-期待)の8つに分類しました。 <喜び・信頼・恐れ・驚き・悲しみ・嫌悪・怒り・期待>これらの感情は強弱があり、組み合わせることで複雑な感情が生まれるとしています。エクマンと大同小異であすが、<驚きと期待>の分類が特徴的であす。「驚き」はエクマンについて批判したとおりですが、「期待」については次のバークレー校の分類にある「感嘆、崇拝、感謝」と同じく、なんらかの望ましい存在や想像に対して、「依存(従属、獲得)したい」という「人間的欲求」に近く、「意志」「願望」のような力を必要とするため、「意志的感情」として分類するべきであると思われます(参照:感情とは)。なお、犬や猿などの動物でも「期待」や「従属」の行動(待ち従う行動)を取りますが、これは情動反応と言うよりも、行動反応とするべきでないでしょうか。
またエクマン同様、「驚き」は、多くの感情の初期反応であるので、感情の分類に入れるべきではない。同じく、安心・不安の感情は、生命感情として基本的なもので不可欠であると思われます。
3. その他の現代的な分類
研究が進むにつれ、より細かな分類も提唱されています。
【コメント】以下のA.B.の説は、次の質問■B.C.で・・・。
A.27種類説: カリフォルニア大学の研究チームは、ビデオ映像に対する人々の反応を分析し、感情は「困惑」「懐旧」「性的欲求」などを含む27のカテゴリーに分けられると発表しました。
B.快・不快の軸: ジェームス・ラッセルは、感情を特定の名前で分けるのではなく、「快・不快」と「活性(興奮)・不活性(沈静)」(強・弱)の2つの軸上の度合いで捉える「次元説」を唱えています。
(※引用者原論文より追加)
One particular dimensional approach, termed the circumplex model of affect, proposes that all affective states arise from two fundamental neurophysiological systems, one related to valence (a pleasure-displeasure continuum) and the other to arousal, or alertness (James A. Russell, 1980).
(感情の円環モデルと呼ばれる特定の次元的アプローチは、すべての感情状態が2つの基本的な神経生理学的システムから生じ、1つは価数(快不快の連続体)に関連し、もう1つは覚醒または注意力に関連すると提唱している。google翻訳)
■B. 27の感情カテゴリーについて教えてください
<AI geminiによる概要>
2017年にカリフォルニア大学バークレー校の研究チーム(アラーン・コーエンとダッシャー・ケルトナー)が発表した「27の感情カテゴリー」は、従来の「喜び」「悲しみ」といった少数の基本分類を超え、人間の感情がいかに繊細で連続的であるかを解明したモデルです。
この研究では、800人以上の被験者に2,000本以上の短いビデオクリップを見せ、その反応を統計的に分析することで、27種類の独立した感情の状態を特定しました。
27の感情カテゴリー一覧
研究で特定された感情は以下の通りです(英語原題の日本語訳)。
│カテゴリー(和訳)│英語名 │カテゴリー(和訳)│英語名 │
│1 感嘆・賞賛 │Admiration │16 恐怖 │Fear │
│2 敬愛・崇拝 │Adoration │17 ホラー・戦慄 │Horror │
│3 審美的鑑賞 │Aesthetic Appreciation│18 興味・関心 │Interest │
│4 面白がり・愉快│Amusement │19 喜び │Joy │
│5 怒り │Anger │20 懐旧 │Nostalgia │
│6 不安 │Anxiety │21 安堵・安心 │Relief │
│7 畏敬 │Awe │22 ロマンス │Romance │
│8 気まずさ・困惑│Awkwardness │23 悲しみ │Sadness │
│9 退屈 │Boredom │24 満足 │Satisfaction │
│10穏やかさ・平穏│Calmness │25 性的欲求 │Sexual Desire │
│11混乱 │Confusion │26 驚き │Surprise │
│12切望・渇望 │Craving │27 共感的な痛み │Empathetic Pain│
│13嫌悪 │Disgust │28 共感・思いやり │Sympathy │
│14恍惚・うっとり│Entrancement │29 勝利 │Triumph │
│15興奮 │Excitement │30 嫉妬・羨望 │Envy │
この研究の重要な発見
1. 境界が曖昧で連続的である:
感情はそれぞれが孤立した「島」のようなものではなく、例えば「畏敬」と「平穏」、「ホラー」と「悲しみ」の間には、色がグラデーションのように変化するような滑らかな移行(勾配)が存在することが示されました。
2. 多次元的なマップ:
研究チームは、これらの感情がどのように関連し合っているかを視覚化したインタラクティブな感情マップを公開しており、ある感情から別の感情へとどのように変化するかを体験的に理解できるようになっています。
3. 従来の説への挑戦:
長年主流だった「人間には6つの基本感情しかない」という説に対し、より豊かな語彙とカテゴリーが必要であることを科学的に証明しました。
【コメント】
上記の感情一覧表は、原論文ではアルファベット順であるにもかかわらず27番から乱れがあり、しかも感情語が27より3つ多くあげられている。原論文が提示してあるにもかかわらず、30の感情語を表示した理由がないのはAIgeminiの限界なのか?実験では34分類から27に選別処理されているが、当初の34分類自体の分類基準に問題がある。
まず問題なのは、科学的証明とあるにもかかわらず、その方法は、800人以上の被験者に2,000本以上の短いビデオクリップを見せ、その際に生じた感情を報告させることで、統計的に27の独立した次元を導き出しましたとされるが、そのビデオクリップ(インタラクティブな感情マップで誰でも見れる)自体が、感情刺激としてふさわしいのか検討の余地がある。例えば視覚情報では意志や願望はわかりにくいし、一種のビデオドラマを見せられているので、ノスタルジーやロマンスが分類されているが、これらは悲哀や愛情や悔恨などのヨリ基本的な感情が含まれているのではないだろうか。基本的感情を6~8に絞るのも問題があるが、感情そのものの意味を十分に検討せず、ビデオクリップ方式で感情を限定するのも限界があるのではないか。まずは、感情の生理心理的意味を考察する必要があると思われる。
具体的に、「27の感情分類」の場合、動因(動機drive)としての欲求(desire)が、反応としての感情(feeling、情動emotion)から、分離されていない。つまり、「25性的欲求」は明らかに「快感情」反応を求める動因であるにもかかわらず、反応としての感情に分類され、「快感情」が無視されている。感情は行動の動因となるが、あくまで感情反応の結果が動因となるが、それは行動の推進または抑制の働きなのです。アラーン・コーエンたちの感情分析は、基本的な「心の構造」や「行動の構造」が理解されていないことを意味しているのです(参照:心の構造)。その上で「25性的欲求」は、感情ではなく、快感情を伴うが種族を維持する欲求の分類に入るのです。
また「2敬愛・崇拝」「12渇望」「18関心」は、好奇欲求や安定・優越欲求を含み、単なる反応としての感情には分類しにくい。これを感情とするならば、人間固有の意志を含む信仰や願望、意欲や信念等の「意志的感情」(参照:感情とは)として分類するべきなのです。これらも欲求と感情の区別を無視した分類であり、人間の言語的観念にもとづく「意志的感情」を無視した議論であると思われます。さらに、上記のエクマンやプルチックの分類と同様に、「15興奮」や「26驚き」は、感情には分類するべきではありません。
<参照原論文 Self-report captures 27 distinct categories of emotion bridged by continuous gradients https://www.pnas.org/doi/full/10.1073/pnas.1702247114 >
■C. 心理学者ジェームズ・ラッセルの感情の「円環モデル」について
<AI geminiによる概要>
ジェームス・A・ラッセル(James A. Russell)は、カナダ出身の心理学者であり、感情の円環モデル(Circumplex Model of Affect)の提唱者として、感情心理学や認知科学の分野で非常に有名な研究者です。 特に感情を「快ー不快」と「覚醒ー沈静(活性ー不活性)」の2つの次元で整理したモデルは、現在の感情分析や感情工学の基礎となっています。
主要な研究・理論
1. 感情の円環モデル(Circumplex Model of Affect)
1980年に発表されたこのモデルは、感情を独立したカテゴリー(喜び、怒りなど)としてではなく、平面上の位置として表現します。
· 横軸(Valence:感情価): 快(Pleasure)〜 不快(Displeasure)
· 縦軸(Arousal:覚醒度): 覚醒(High Arousal/Active)〜 沈静(Low Arousal/Sleepy)
この2軸の平面上に、様々な感情が円状に配置されます。
· 高覚醒・快: 興奮、わくわく、ハツラツ
· 高覚醒・不快: イライラ、不安、動揺
· 低覚醒・快: リラックス、心地よい、満足
· 低覚醒・不快: 憂鬱、退屈、疲れた
2. コア・アフェクト理論(Core Affect)
ラッセルは後に、感情を「コア・アフェクト(核となる感情)」という概念で再定義しました(2003年)。これは、人間が常に感じている身体の内部状態(快・不快、および覚醒・沈静の度合い)を指します。
この身体的な状態が、その時の状況、記憶、認識(コンセプチュアル・アクティベーション)によって解釈された時、「感情(Emotion)」が生まれると主張しました。
3. 感情の構成主義
ラッセルは、感情は脳にプリセットされた独立したモジュール(基本感情)ではなく、コア・アフェクトに状況的な解釈が加わることで「構成される(作り出される)」ものであるという理論を支持しています。これにより、表情の普遍性(基本6感情など)を主張するポール・エクマンらの理論に批判的な視点(文化的・文脈依存的であるという視点)も提供しました。
影響と応用
· UX・感情工学: ユーザーの気分や体験を「快ー不快・覚醒ー沈静」の2次元で評価・分析する手法として、UX研究で多用されています。[UX(ユーザーエクスペリエンス)]
· 人工知能(AI): ロボットやAIに感情を理解・実装させるための感情モデルとして、ラッセルの円環モデルが基礎技術として利用されています。
関連キーワード
· 感情の平面モデル
· コア・アフェクト(Core Affect)
· Valence(快・不快)とArousal(覚醒・沈静)
· 構成主義的情動理論(心理学的構成主義)
【コメント】
ラッセルの分類は、感情を快・不快の二種に大分類し、感情が行動の方向を決める価値的な判断(valence、価値反応)であることを示し、それらに強弱をつけて覚醒と沈静の程度を設定しました。これは、「生命言語理論」とも共通する基本的に正しい方向です。ただし、横軸の快〜不快のレベル(Valence:感情価)を設けるのは異論がないと思われる。しかし、縦軸の覚醒度(Arousal)については、「感情反応の強弱」が、覚醒(Active)なのか沈静(Sleepy)なのかは異論がある。例えば、安心と不安の場合、人間なら意識レベルでの覚醒的な安心と不安があるが、無意識的レベルでの安心と不安にも強い安心というのがあり得るのではないのか。快・不快の場合でも、覚醒―沈静のような意識的反応ばかりではなく、本質的に無意識的・動物的・生理的と思われる感情状態があるので疑問が起こる。
また、好奇,希望,期待,願望、意欲、信念,義務,正義,挑戦,忍耐、祈り、抑圧退行など、欲求や感情に「言語的観念」が伴うようになった人間にとって、自己の意図や目的、欲求や希望の実現を促進するか、それらが実現したときの感情、充実感・達成感、祈り、感謝、または否定的な潜在的意志感情は、言語を持つ人間にもっとも特徴的な感情として、快不快軸の感情とは別に「意志的感情」として抽出し、追加的に分類すべきであると思われます(参照:「心とは何か」)。
ラッセルの「感情の円環モデル」は、快不快とその強弱によってより豊かで多様性に富む説明が可能になりますが、感情の背景や意味の理解は十分できず、感情の個人性や社会性や原因の区別や説明、そして無意識的な反応性(不条理性)への理解はできにくくなります。特に「不快・沈静次元」の感情とされる<惨め、落ち込み、哀しみ、憂鬱、退屈、けだるさ、疲れ>などの否定的感情は、沈静の場合があれば、覚醒の場合もあり、無意識の場合もあれば、意識される場合もあります。ラッセルの場合、おそらく感情の不条理性(無意識性)を抑えたところに、感情工学やAIへの応用が容易になった面があると思われます。
<参照ラッセル他論文 The circumplex model of affect: An integrative approach to affective neuroscience, cognitive development, and psychopathology
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2367156/ >
■D. 感情のコントロール方法について教えてください。
<AI geminiによる概要>
感情のコントロールは「感情を消す」ことではなく、「感情と上手に向き合い、振り回されない状態を作る」ことを指します。 日常生活で取り入れやすい心理学的なテクニックを3つのステップで紹介します。
1. 衝動を抑える「即効テクニック」
激しい感情が湧いた瞬間、理性を司る「前頭葉」が働くまでの時間を稼ぐ方法です。
・6秒ルール: 怒りのピークは長くて6秒と言われています。カッとしたら心の中で「1、2、3…」と数えることで、衝動的な言動を抑えられます。
・深呼吸(呼吸瞑想): 意識的にゆっくり息を吐き出すことで、自律神経を整え、覚醒した脳をリラックスさせます。
・タイムアウト: その場から物理的に離れ、環境を変えることで、感情を誘発する刺激から自分を切り離します。
【コメント】
一般的かつ一時的な感情抑制としては効果的なテクニックかも知れませんが、これで収まる程度の感情であれば、すでに「前頭葉」は働いていると思われます。怒りや憎しみや不安などの否定的感情が幼少期から無意識的に形成されている場合は、即効的効果は望めません。成人であっても衝撃(ショック)が大きく記憶に残る(根に持つ)ような場合、思いだしただけで激情が起こり、抑制することは困難になります。
感情は何らかの刺激に対する反応として起こります。 だから怒りが起こればその原因をなくして、できれば楽しい刺激(環境)状況を作るか、見つけることです。音楽を聴く、テレビを見る、運動をする、友達と話す、等々の「気分転換」や「ストレス解消」が当てはまります。
2. 感情を客観視する「言語化の力」
自分の状態を言葉にすることで、感情の渦から一歩外へ出ることができます。
・感情の数値化(スケーリング): 「今の怒りは10点満点中、何点か?」と自分に問いかけます。客観的な分析が脳の冷静さを取り戻させます。
・ジャーナリング(書く瞑想): 今感じていることをそのまま紙に書き出します。心の中のモヤモヤを可視化することで、自分が何に反応しているのかを把握できます。
・ラベリング: 「あ、今自分は不安を感じているな」と心の中でラベルを貼ります。感情を自分自身と切り離して観察する練習になります。
【コメント】
言語の機能の一つとして「言語化の力」はとても大切です。人間の言葉は一種の価値感情(好悪・善悪・快苦など)を含む刺激なので、「憎らしい」とか「愛らしい」とか感情を発言(内言、外言としてラベル付け)することで感情を発散(転換)できるし、また、「憎いけれども理解できる」「自分も悪いところがあった」などのように客観化(反省)してその感情を意味づけコントロールすることができるようになります。ジャーナリング(書く瞑想)のように、文字化することによって「感情の発散と時間稼ぎ」が可能になり、理性的な問題解決法を見つけることができるようにもなります。日常から自分の感情を、感情の正しい理解に合わせて理論化しておくことも大切です。「理論武装する」という言葉がありますが、心の三要素(欲求・感情・言語)理解は、心の全体像を理解できるのでさらに強力です。
3. 考え方のクセを見直す(リフレーミング)
出来事への「解釈」を変えることで、湧き上がる感情そのものを変化させます。
・「べき」の再点検: 怒りの多くは「~すべきだ」という自分のルールが破られた時に起こります。「~であれば嬉しいが、そうでなくても仕方ない」と許容範囲を広げる練習が有効です。
・ポジティブな解釈: 失敗を「最悪だ」と捉えるのではなく、「成長のためのデータが得られた」と枠組みを塗り替える(リフレーミング)練習をします。
【コメント】
感情は、快不快や好悪・善悪など幼少期から形成されてきた価値を含む反応で、犬や猿の喜びや怒りと同じように幼少期の経験や動物的起源を持ち、人間の場合は「~すべきだ」「~のハズだ」のように言語的に意味づけられているので、「喜んでもだめ」とか「怒ってはだめ」と言語的・理性的に抑制しても変容は困難です。それを変えるためには、上記のように考え方のクセや枠組みを変化させることが必要になりますが、動物的な部分や幼少期の経験は深層の記憶に残されているので、時間がかかります。
「許容範囲を広げる」ためには、寛容や忍耐に人間的成長を目指すような動機も必要です。読書や反省など自己変容が望ましいですが、カウンセリングを受けることで容易に自己理解を深めることもあります。どのような人間になるべきか、様々なリーダーやコーチ、先輩や友人、先生や偉人・賢人の言葉を参考に自らを見直していくのも一つの方法です。とにかく物事を否定的に見ない、自暴自棄にならない、自分を大切にするなど「ポジティブな解釈」をすることです。ただ不安症や強迫症など神経症的な症状のある場合は、自己変容は極めて困難です。神経科の医師やカウンセラーの治療が必要になります。
■E. なぜ、自分の状態を言葉にすることで、感情の渦から一歩外へ出ることができるのですか?。
<AI geminiによる概要>
感情を言葉にすることは、脳科学において「アフェクト・ラベリング(感情のラベル貼り)」と呼ばれ、脳の動作モードを切り替える強力なスイッチとして機能します。一歩外へ出られる主な理由は、脳内の「アクセル」と「ブレーキ」の主導権が入れ替わるからです。
【コメント】
上にも述べたように、人間の言葉は一種の価値感情(好悪・善悪・快苦など)を含む刺激なので、「憎らしい」とか「愛らしい」とか発言(内言、外言としてラベル付け)することで感情を発散(転換)できます。また、「憎いけれども理解できる」のように言語として客観化して、その感情を意味づけることによって抑制できるようになります。それは感情が刺激に反応する生理現象であり、人間においては言語化することによって、刺激内容を激化することも抑制することもできるからです。友人にウソをついて怒らせても、ウソだと謝れば怒りが低減することがあるのはそのためです。
1. 「感情の暴走」を物理的に抑える
感情に飲み込まれている時、脳の奥深くにある「扁桃体(へんとうたい)」という部位が興奮し、警報を鳴らし続けています。
しかし、「今の私は怒っている」と言葉にした瞬間、おでこの裏にある「前頭前野(ぜんとうぜんや)」という理性を司る部位が活発に動き出します。この前頭前野が動くと、扁桃体の活動にブレーキをかけ、鎮めてくれることが脳活動の測定(fMRI)によって証明されています。
【コメント】
扁桃体は怒りの刺激に反応するだけです。「今の私は怒っている」と言う言語刺激は、怒り刺激の対象を転換させるため怒りを静めることになるのです(感情・気分転換転換)。このことは特段脳活動を測定しなくても理解できることです。
2. 「感じる人」から「観察する人」への視点変更
言葉にするという作業には、複雑な「分析」と「整理」が必要です。
不明確な恐怖を特定する: 「なんだか嫌だ」という漠然とした不安(モヤモヤ)を、「納期が間に合わないことへの焦りだ」と言語化することで、脳は対象を「正体不明の怪物」から「解決すべき課題」として認識し直します。
客観的な距離感(ディスタンス): 感情を言葉として外に出すと、その感情は「自分そのもの」ではなく、目の前にある「観察対象」へと変わります。これにより、渦の中から抜け出して、高い視点から自分を眺めることができます。
【コメント】
怒り刺激という直接対象(入力:ウソをつかれた)を、言語化によって再対象化すると、その言語表現が新たな刺激(思考過程:ウソの理由の考察)となり、高い視点でなくても怒りの直接刺激から遠ざかり、怒り反応(出力)が和らぐことになります(思考回路の成立<冷静になる>)。
3. 「考える余裕」を確保する
感情が爆発している時は、脳のメモリがいっぱいいっぱいの状態です。言葉にして書き出したり話したりすることで、一時的にその情報を脳の外へ「移す」ことができます。これにより脳に空きスペースができ、次にどう動くべきかという冷静な判断が可能になります。
まずは、嫌なことがあった時に「私は今、〇〇(感情名)を感じている」と心の中でつぶやく練習から始めてみませんか?
【コメント】
脳のメモリがいっぱいいっぱい?
「脳のメモリがいっぱいいっぱい」なのではなく、否定的感情が爆発(興奮)すると、直接アドレナリン(興奮ホルモン)が分泌して外的行動の回路が働き(心拍数や身体の活性化)、思考(メモリー)回路に神経が集中できなくなり(問題意識の拒否)、入力自体を受け付けなくなるのです。つまり、思考回路は、問題意識(疑問)が起って初めて働くのであって、過剰な感情(爆発)は、適度な感情生起と異なり問題意識(思考回路)を超えて行動を誘発するのです。
【コメントのまとめ】
思考と言語とについて考えよう!
――単に言葉にするだけでなく、思想や行動として自己を確立しよう――
危険、抗争、空腹、病気、などの問題状況が起こったとき、われわれにはネガティブ(否定的)な感情(不安や恐怖、憎悪等)が起こり、それらの状況把握や問題解決が必要となる。その場合まず、直感的(知覚的)情報収集が行われ、次いで言語的・論理的情報把握が行われる。その上で、直感的解決が困難なとき、何がどうあり(what, how is it )、どう関係しているか(how is it related)、そして、どう解決する(How to solve it)かが言語的に思考(情報操作、what, how, why, solution)される。たとえば、クマが現れる。恐怖で身体が動かない。動悸が高鳴る。にらみ合う間に「状況を把握して」、撃退スプレーを取り出し噴射して難を逃れる。事情に慣れた人なら直感的にこのような動作ができるが、初めての経験の人にとっては「状況把握」過程から解決までが思考過程ということになる。思考過程では、言語とワーキングメモリーは、無意識過程であってもすでに密接に関係して短期記憶(スプレー所持等)と長期記憶(クマの生態等)が想起され、それらの直感的結合(無数の情報操作)がおこなわれ、課題解決される。
この場合、パニック(感情爆発)に陥れば、冷静な論理的(言語的)思考は困難になるが、それを「脳の空きスペースがない」と言う表現は必ずしも正しくない。もともと神経細胞は、生命活動であり、化学反応が反応条件によっては不安定なように、生化学的に萎縮・退行する傾向があるからである。脳神経細胞の反応の有限性・不安定性を、「空きスペース」に原因があるかのように表現するのは正しくない。言語的・論理的思考には、神経生理的な活動のゆとりが必要なのである。従って、短期記憶のような受動的な記憶保持に、ワーキング(情報操作・思考)のような能動的過程を組み込ませることは、脳機能の極在性を強調してしまうことになる。むしろ記憶・経験の中に思考(情報操作)の基準が含まれており、感情(否定的状況)が、思考・判断を推進していると考えるべきではないだろうか
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