アスパラガスはユリ科の多年生植物で、地上茎(茎)と地下茎がある。地下茎の先端にはりん芽群と呼ばれる芽の塊がついていて、茎を地上に伸ばしながら地下茎は少しずつ地中を水平方向に伸長する。
地下茎の下部にはたくさんの根が密生していて、太い根を貯蔵根、細い根を吸収根と呼ぶ。貯蔵根は地上で作った糖分(同化生産物)を貯蔵し、吸収根はもっぱら土から養水分を吸収する。
人間が食しているのは、りん芽群から伸び出した若茎で、前の年に貯蔵根に蓄えられた養分(糖)を使ってつくられるのである。前の年に地上部が良く繁って糖をたくさん蓄えている株ほど美味しい若茎がたくさん取れることになる。
夏に小さい花を多数つけるが、雌花だけをつける雌株と雄花だけをつける雄株とがある。収量は雄株が多いが、若茎の味には差がない。秋になると雌株に赤い実がつく。
八鍬利郎 (食品加工総覧 第10巻 農文協 2001年)