アスパラガスは北海道で古くから栽培されている作物であるが、近年、様々な要因により生産性が低下している。その要因の一つとして株の老朽化があげられるため、新しい品種の導入や新植畑の土壌改良技術、育苗法の改善によって対応がなされている。
1) 品種に関しては一昔前はメリーワシントン500Wが大半を占めていたが、現在ではバイトル・ウェルカム・ガインリムなどへと変遷している。
2) 育苗法は従来の仮植1年養成株を定植する慣行栽培法から、早期成園化を狙った育苗法(鉢利用育苗本畑直接定植栽培)へと移行しつつある。
以下に北海道におけるグリーンアスパラガス露地春どり作型の栽培技術体系を簡単に述べる。
1.育苗
育苗はポリ鉢・紙筒・セル成型ポットを利用する。4月上旬に播種し、発芽までは28℃を目標に加温し、発芽後は無加温ハウスで管理する。育苗期間は表1にまとめた《平成12年 北海道指導参考事項 グリーンアスパラガスの育苗法改善による早期成園化参照》。
図1 育苗(4月)
2.施肥・定植
全面土壌改良が基本であり、元肥は10a当たり窒素10kg、リン酸20kg、カリ 10kgとする。リン酸資材及び堆肥10t/10aを60cm幅に作条施用し、深さ50cmに深耕して混和する。定植には雑草抑制と地温保持のためにマルチフィルムを使用し、幅10cm位の十文字状の切れ目を入れ、ポット上辺がフィルム面から5cmとなる深さに植付ける。この時覆土はしない。定植当年は株養成に努め、支柱・フラワーネット設置による倒伏防止措置や病害防除を行う。定植2年目以降の施肥量は窒素20kg(うち春肥5kg)、リン酸 15kg、カリ 15kg(うち春肥10kg)とする《平成12年 北海道指導参考事項 グリーンアスパラガスの育苗法改善による早期成園化参照》。
図2 定植(6月) 栽植密度は畦幅120~150cm、株間20~30cmとする。
3.収穫
定植2年目から収穫可能となる。5月上旬より萌芽が始まるので、若茎の長さが21cm以上に伸長した頃、頭部が開く前に地際から切り取って収穫する(低温期は1日1回、高温期は1日2回)。定植2年目は株に負担がかからないように7~10日間の収穫期間を設ける、定植3年目は30~40日間の収穫を行い、定植4年目以降は前年秋の地上部の生育量(GI)と10月下旬以降の根中糖度の値により収穫期間を決定する、収穫期間の設定基準は表2に示す《平成6年北海道指導参考事項 アスパラガス安定生産のための収穫期間設定基準と新植法参照》。
4.収穫打ち切り後の栽培管理
夏秋の地上部生育の良否が翌年の収量に影響するので、倒伏防止措置と病害防除を徹底することが望ましい。収穫打ち切り後、速やかに追肥を行い、支柱・フラワーネットを設置する。茎枯病・斑点病発生圃場であれば、1週間以内に最初の防除を行い、その後2週間間隔で防除を継続する。
図3 収穫打ち切り後(7月) 支柱・フラワーネット設置による倒伏防止処理を行っている。
( 北海道立 花・野菜技術センター 研究部 野菜科 地子 立・植野玲一郎)