平成21年度春の園芸学会アスパラガス研究小集会は平成21年3月18日,明治大学駿河台キャンパス(東京都千代田区神田駿河台1-1)で開催されました.
お忙しい中ご参加いただいた皆様と,貴重な研究データをご報告いただいた演者の皆様にあらためて感謝申し上げます.
1. 「アスパラガスに関する最近の話題」
講演1 北海道立花・野菜技術センター 研究員 地子 立氏
「遮光フィルムを用いたホワイトアスパラガスの無培土栽培技術」
近年各地で取り組みが始まっている遮光フィルム栽培によるホワイトアスパラガス栽培技術について,取り組み当初の苦労話を交えて発表していただきました.地子さんのご尽力により,北海道ではかなり青果用ホワイトアスパラへの生産者の関心が高まっているそうです.遮光ホワイト栽培では,同じ品種を用いた場合,収量が同等もしくは増加するそうです.今後も青果用ホワイトは伸びそうな品目で,注目していただきたいと思います.
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講演2 福島県 農業総合センター 研究員 仁井 智己氏
「紫アスパラガス「はるむらさき」の育成およびその特性」
最近ときおり目にする紫アスパラガスですが,従来の品種は収量性が低いことが栽培拡大への大きな問題でした.福島県で育成された「はるむらさき」はグリーン品種並の収量性を持つ紫品種の育成に成功されました.この新品種「はるむらさき」の特性について発表していただきました.また,紫アスパラは「甘くてやわらかい」と良く言われますが,こうした特性を成分分析やさまざまな実験観察を通して学術的に明らかにされたデータについても報告していただきました.この優良品種が広く栽培現場に普及することを願っております.
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2. 「その他」
○ 研究発表 茨城大学 農学部 塩原由紀江氏
「アスパラガスにおける早期雌雄判別法の開発」
茨城大学の4年生,塩原さんが,卒業を目前に控えた忙しい時期にもかかわらず研究発表をしていただきました.アスパラガスの性判別マーカーを利用した雌雄判別に関する研究は世界中で盛んに行われておりますが,本研究では簡易的な遺伝子増幅法として注目されているLAMP法を用いて雌雄判別を高率で行うことが可能であるという報告でした.また,種子や実生についてさまざまな形質の調査を行い,幼苗段階での雌雄判定が可能かどうかの検討についても報告していただきました.
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アスパラガス研究小集会では,このように事前に案内したプログラム以外にも研究報告を行っていただくことも可能です.ぜひ話題提供したい!という方は世話人もしくは発起人までご連絡下さい.
○ 韓国のアスパラガス生産現場の紹介
発起人代表の北海道大学荒木肇教授が,国際学会で訪問した韓国において,アスパラガスの生産現場を視察されたということで,写真とともに概況の報告がありました.視察した場所は済州島の生産者で,さまざまな作型に挑戦している様子をご紹介いただきました.韓国は現在のところアスパラガス栽培はそれほど盛んではありませんが,今後栽培が増加する可能性は高いと思われます.
○ 秋季大会(秋田)での企画について
今年の園芸学会秋季大会は秋田で開催されます.秋田県はご存知の通りアスパラガスの大産地です.そこで,次回の小集会ではぜひ現地視察を行いたいと考えております.また,小集会には生産者の方にも多く参加していただきたいと思います.
【発起人】
荒木 肇(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター)[代表]
前田智雄(弘前大学 農学生命科学部 園芸農学科)[世話人]
尾崎行生(九州大学大学院農学研究院) 浦上敦子(農研機構 野菜茶業研究所)
園田高広(福島県会津農林事務所) 元木 悟(長野県野菜花き試験場)
佐藤達雄(茨城大学農学部)
(連絡先)
【世話人】 前田智雄 弘前大学 農学生命科学部 園芸農学科
〒036-8561 弘前市文京町3
電話/FAX 0172-39-3811
e-mail t-maeda@cc.hirosaki-u.ac.jp
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