寒冷地におけるアスパラガスの栽培

立地条件

アスパラガスは極端な寒冷地や熱帯地方以外であれば栽培は可能である。土壌は砂質土壌が理想的である。過度の粘土地や湿地は避けた方がよい。

さらにホワイトの場合は石、礫が多いと頭部が曲がってしまうので注意が必要である。栽培法は地域によって異なる。以下に述べるのは寒冷地を対象としたものである。

育苗

育苗は一般にペーパーポットを使用する。4月上旬に種子をまき、45日ほどで仮植床に移植(45x9cm)し、翌春まで苗を養成する。品種はカリフォルニア500W、HLA-7、ウエルカム、バイトルなどが多く使われている。

苗の植付け

根が十分伸びるように、深く掘り起こし、有機質をたくさん入れる(10a当たり堆肥10~15t)。グリーンはうね幅120~150cm、株間20~30cmとする。ホワイトは盛り土をする必要があるのでうね幅は180cmとする。元肥は10a当たり窒素10Kg、リン酸20Kg、カリ10Kgを植溝に施し、土とよく混ぜてから苗を植え付ける。苗はていねいに掘りとって、大きなものを選んで植え付けていく。深さは地表から10cmくらいがよい。浅植えは倒れやすい。

収穫

植え付けて3年目の春から収穫できる。グリーンの収穫は春先に若茎が次々と萌芽してくるので、長さが25cmくらいに伸びた頃、地際から切り取って収穫する。長く伸ばすと頭部が開いてしまう。

株の大きさにもよるが、収穫の1年目は2週間、2年目は4週間、3年目以降は8週間が基準である。暖地で株の生育が旺盛な場合は、収穫開始を早めてもさしつかえない。

なお、ホワイトの収穫については後述する。

収穫打ち切り後の管理

うね間に施肥し、除草して地上に出てくる茎を伸ばす。その後の生育の良否が翌春の収量に影響するので、病害虫防除などの管理をきちんと行うことが望ましい。

ホワイトアスパラガスの収穫法

春先、若茎が地表に出てくる前に、うねの上にかまぼこ型(高さ25cm)に盛り土(培土)をする。近年は培土機を用いている。

若茎が地表近くまで伸びてくると、頭で土を押し上げようとするので地表に小さな亀裂が生じる。1日に2~3回、畑を見回って亀裂を見つけ、収穫していく。

大工が使う「のみ」とよく似ているアスパラガスナイフを用いて、土の中に差し込み、若茎の根元を切り取り、手を添えて静かに引き抜く。頭が地上に出るとすぐに紫色または緑色に 変わる。それはペールと呼ばれ、等級は格下げとなる。亀裂を見逃さないように注意し、若茎が地中にあるうちに収穫することである。

北海道大学名誉教授 八鍬利郎 (食品加工総覧 第10巻 農文協 2001年)