1. 会議の名称
和文名:第10回国際アスパラガスシンポジウム
英文名:The Xth International Asparagus Symposium
2.開催時期 平成13年(2001年)8月30日(木)~9月2日(日)(4日間)
3. 開催場所 新潟大学農学部 (新潟市五十嵐)
4. 主催機関等の名称
(1)主催 第10回国際アスパラガスシンポジウム組織委員会
(2)共催 新潟大学、国際園芸学会、園芸学会、理化学研究所、農業技術研究機構 野菜茶業研究所
(3)協賛 新潟大学農学部附属フィールド科学教育研究センター、東北インテリジェンスコスモス学術振興財団
(4)後援 新潟観光コンベンション協会、新潟市
5. 会議の性格と目的
本国際会議は、国際園芸学会アスパラガスワーキンググループ(Asparagus Working Group of International Society for Horticultural Science)が主催するアスパラガスに係わる世界で唯一の国際会議で、通常4年に一回の周期で開催されております。遺伝育種・分子遺伝・栽培生理・収穫後生理・植物病理・品種比較・世界各地での生産状況などの応用面から、植物生理活性物質研究・組織培養法や形質転換法などの技術開発、機能性成分研究など植物生理学、分子生物学、生化学などの純粋科学にわたる広範な分野における研究成果の発表・情報交換を行うことにより、植物科学の発展に貢献することを目的に開催されるものです。
アスパラガスは国際園芸学会の中で、唯一、単一作物でのワーキンググループが形成されている野菜です。これは、アスパラガスが単子葉類で多年生かつ雌雄異株という他の野菜にはない性質を持ち生産物及び種子の流通が比較的古い時代から世界的規模で行われてきたことから、国を越えた研究者間の交流が必要とされてきたことを物語っております。
本国際会議は、アスパラガス全般に関する研究成果の発表・討論および情報交換を国際的レベルで行うものであり、植物育種学・植物生理学をはじめ、近年発展の目覚ましい分子生物学等の広範な研究分野の研究者や、種苗・生産・市場・流通関係者が一堂に会して、分野を超えた討論を行うべく準備を進めました。
6. 日本開催の経緯
(1)日本開催にいたる経緯
本国際会議は、1979年の第5回大会まではユーカルピア(EUCARPIA:植物育種及び研究のためのヨーロッパ協議会)野菜部門の一部としてヨーロッパで開催され、その後、この国際会議の重要性の認識が高まり、1985年以降、国際園芸学会(ISHS)が本国際会議の運営の母体となりました。日本では、1994年に、園芸学会が主催団体となって第24回国際園芸学会議が京都国際会議場で開催された際、約20名の国内外の研究者が出席してアスパラガス研究交流会が開催されました。ここで発表された日本の研究状況は国際的な出版物であるアスパラガス研究速報(Asparagus Research Newsletter)に紹介され、国内外に活発な研究を印象づけるとともに、日本での国際会議開催の契機となりました。
この様に、日本においてアスパラガスの研究が活発に行われており、ヨーロッパ・北アメリカ・オセアニアでのみ本国際会議が開催されていたこと、栽培の増加が著しくかつこれまでの開催地とは気候条件の異なるアジア地域での開催が望まれていることなどの背景のもとに、第9回国際アスパラガスシンポジウムにおいて日本での開催が国際的に強く要請されました。その後、本分野の研究者で準備会を組織し、1999年4月に園芸学会との共催が決定、同年8月のISHS理事会において正式に日本での開催が承認されました。
(2)過去の開催状況
7. 準備および運営の組織
(1)準備の経過
1997年第9回国際アスパラガスシンポジウムにおいて日本開催を依頼され、荒木、尾崎、阿部および浦上を中心として、園芸学会アスパラガス小集会のメンバーの協力を得て、準備委員会を設置しました。1998年10月に準備委員会を開催し、会場を新潟大学、会期を2001年8月30日から9月2月にすることに決定し、準備作業を始めました。その結果、1999年4月には園芸学会との共催が、また同年8月のISHS理事会において正式に日本での開催が承認されました。引き続き、荒木肇委員長のもと組織委員会が組織され、準備・運営の実務を担当することとなりました。1999年5月25日に第1回組織委員会を開催しました。以降の準備作業はこの組織委員会を中心に行いましたが、経費削減のため、会議は、なるべく園芸学会年会会期中に開催し(*)、他は電子メール会議としました。
開催にいたる主な準備作業の日程を以下に示します。
1998年10月5日 準備委員会*(新潟大学)
1999年5月25日 第1回組織委員会(農業研究センター、つくば)
1999年10月9日 第2回組織委員会*(近畿大学奈良キャンパス農学部校舎)
2000年3月25日 第3回組織委員会*(神戸大学)
2000年4月 First circularを作成し、第9回国際アスパラガス会議参加者・(約200名)およびアジア地区のISHS会員(約200名)に配付郵送
2000年6月 プログラム委員会でinvited speakerを決定し、国際委員および組織委員会で了承
2000年8月 海外参加者参加費のカード決済業務をUCカード(株)に委嘱
2000年8月22日 第4回組織委員会(理研)
2000年9月 プレおよびポストツアー運営事務をJTB国際旅行事業部に委嘱
2000年9月25日 第5回組織委員会*(県立広島女子大学)
2000年10月17日 第6回組織委員会(新潟大学)
2000年12月 second circularを作成し、参加登録、論文発表を募集
2001年1月 登録事務開始
2001年2月23日 第7回組織委員会(理研)
2001年4月1日 参加者早期登録の締切、ホームページを開設
2001年4月3日 第8回組織委員会*(東京農業大学厚木キャンパス)
2001年5月1日一般論文アブストラクト締切
2001年5月18日第9回組織委員会(理研)
2001年6月 同時通訳運営事務を日本コンベンションサービス(株)に委嘱
プログラム委員会でポスターセッションの割り振り決定
2001年6月30日 ツアー関連登録締切
2001年7月 プログラム作成、アブストラクト印刷
2001年9月22日 第10回組織委員会*(弘前大学)、アスパラガス小集会にて第10回国際アスパラガスシンポジウム報告会を開催
2001年11月30日Acta Horticulturaeの写真製版用原稿締切
本国際会議の総予算を策定したところ、実質的な運営を目指して850万円と見積もられ、参加費、共催団体および協賛団体の助成金で賄う550万円の他は、企業からの寄付金を集める必要がありました。募金委員会を設置して、企業にご寄付をお願いする活動を開始しました。企業からの募金については、理化学研究所(特殊法人)を受け入れ機関として事務手続きを同研究所交流事業部推進室に委嘱し、研究寄付金の免税措置が受けられるようにしました。2000年5月までに多数の企業より寄付を頂いた結果、必要な運営資金の調達の目処が得られました。
(2)運営組織および構成メンバー
準備委員会
委員:荒木 肇、浦上敦子、菅野 明、尾崎行生、阿部知子、平田行正、元木 悟、古市崇雄、園田高広
第10回国際アスパラガスシンポジウム運営に係わる委員の構成
組織委員会
会長(組織委員長) 荒木 肇(新潟大学)
副会長 浦上敦子(野菜茶業研究所)
総務委員会委員長 尾崎行生(九州大学)
財務委員会委員長 阿部知子(理化学研究所)
募金委員会委員長 中村 浩(野菜茶業研究所)
プログラム委員会(scientific Committee)委員長 浦上敦子
(委員)伊藤喜三男(北海道農業研究センター)、菅野 明(東北大学)、小島昭夫(野菜茶業研究所)
国際委員:B. L. Benson(アメリカ)、M. A. Nichols〈ニュージーランド〉、A. Falavigna(イタリア)、C.-K. Chin(アメリカ)
総務委員会(委員長:尾崎行生)
委員:桶原征治・福山利範・伊藤道秋・児島清秀・中野優(新潟大学)、阿部知子、菅野明、平田行正(和歌山県農協連合会)、佐藤達雄(神奈川農業総合研究所)、フィールドツアー担当委員:園田高広(福島県農業試験場)、浦上敦子
協力:会津農林事務所 喜多方農業普及所
プレツアー担当委員会[委員長:小口伴二(長野県野菜花き試験)]
委員:丸山 進〈長野県専門技術員〉、塚田元尚・元木 悟(長野県野菜花き試験場)
ポストツアー担当委員:多田伸司・古市崇雄・牛田均・池内隆夫(香川県農業試験場)
財務委員会(委員長:阿部知子)委員:浦上敦子、尾崎行生、中野優
募金委員会(委員長:中村 浩)委員:浦上敦子、阿部知子、平田行正
プログラム委員会(委員長:浦上敦子)委員:児島清秀、菅野 明、阿部知子
Acta Horticultuae編集委員会(委員長:浦上敦子)委員:荒木 肇、児島清秀、菅野 明、尾崎行生、阿部知子
8. 参加者数および参加国名
参加者数および参加国名を下表に示す。
(1)参加者数
国内参加者:31名、同伴者 4名
海外参加者:51名、同伴者 10名
小計 82名、同伴者14名(+幼児3名)
合計 96名
(短期国内参加者:37名)
(2)参加国名(カッコ内、参加者人数)
オーストラリア(1)
中国(2)
グアテマラ(1)
イタリア (1)
ニュージーランド(6)
ポーランド(1)
アメリカ合衆国(11)
オーストリア(1)
フランス (3)
ホンジュラス(4)
日本(31)
ペルー(1)
スペイン (2)
チリ(2)
ドイツ(2)
インドネシア(1)
オランダ(7)
フィリピン(4)
タイ(1)
計 19国
9.会議の概要
【プレシンポジウムツアー】
8/28(火)高輪プリンスホテル発一東京卸売市場(太田市場)見学一江戸東京博物館見学-(昼食)一善光寺-ホテル国際21(長野市)泊
8/29(水)ホテル国際21発一飯山市常磐生産圃場見学-アップルシティー(生産技術交流会、昼食)一新潟オークラホテル着
【シンポジウム;於 新潟大学】
8/29(水)受付、ウェルカムレセプション(新潟オークラホテル)
8/30(木)開会式、オーラルセッション、新潟大学農学部附属フィールド科学教育研究センター見学、国際アスパラガス品種比較試験会議
8/31(金)フィールドツアー(福島県喜多方市生産圃場見学、会津若松市、新潟市)
9/1(土) オーラルセッション、ポスターセッション、バンケット
9/2(日) オーラルセッション、閉会式
【ポストシンポジウムツアー】
9/2(日)新潟空港一伊丹空港一三宮ターミナルホテル(神戸市)泊
9/3(月)三宮ターミナルホテル発一明石・鳴門海峡一香川県農業試験場(昼食、見学)一綾歌地域生産圃場見学一新都ホテル(京都市)泊
9/4(火)新都ホテル発一京都観光一新都ホテル泊
10.会議の成果
日本は世界的にもアスパラガスの生産・輸入・研究ともに活発な国です。日本において本国際会議が開催したことにより、海外育成品種の育成経過や各国で共通して行われている国際品種比較試験の情報に直接接することができました。また、西南日本で近年盛んに行われている長期立茎栽培に伴う問題や病虫害等の解決の糸口も各国研究者との討論の中で得られました。本国際会議は参加者数が比較的少ない割には参加国数が多く、生産者・種苗会社や流通業者など民間からの参加者が多いという特徴が認められます。今回も栽培が特に拡大している東南アジア・南米など、新興産地国の研究者・生産者の参加があり、これによって各地の情報がもたらされたことは、極めて意義が大きいものと考えられます。また、近年注目を集めている薬理作用・薬理活性天然物質に関する研究等の発表・討論は、これからの植物研究の方向性を示唆するものと考えられます。
一方、近年発展の著しい分子生物学・分子遺伝学・細胞生物学などの分野の新しい手法が、アスパラガス研究の分野にも導入され、新しい研究の展開が見られています。日本におけるアスパラガスの研究においても、従来行われてきた植物遺伝学・植物生理学的アプローチに加えて分子生物学等の新しい手法を取り入れた研究が活発に行われ、研究の新展開が図られつつあります。本国際会議を主催したことにより、日本がこの分野で世界の先導的役割を果たしてきていることが世界に広く認識されたことは、今後の諸外国との共同研究開発の契機となり、非常に意義深いものと考えられます。
11.援助金
本国際会議を開催するにあたり、下記の諸団体ならびに多くの企業の皆さまに大変なご協力を賜りましたことに村し、心から御礼申し上げます。
(1)助成財団、協会名簿
園芸学会、理化学研究所、東北インテリジェンスコスモス学術振興財団、新潟観光コンベンション協会
(2)寄付企業名簿(五十音順)
(株)アサヒ農園(株)、SDSバイオテック、カネコ種苗(株)、(株)高知前川種苗、(株)サカタのタネ、サントリー(株)、(株)タカヤマシード、タキイ種苗(株)、トキタ種苗(株)、(株)トーホク、トヨハシ種苗(株)、(株)日本農林社、野原種苗(株)、松永種苗(株)、(株)みかど育種場、(株)稔和、(株)武蔵野種苗園、北越農事(株)、(株)柳川採種研究会、(株)大和農園、(株)渡辺採種場、渡辺農事(株)
12. 出席者名簿
全日参加者
AUSTRALIA
Davis D. Bob
AUSTRIA
HARBICH Gerda
CHILE
KRARUP Aage
GONZALEZ Maria lries
CHINA
CHEN Guangyu
YE Jinsong
FRANCE
GARCIN JF Christophe
MOREL Christiane
SIMON Gerard
GERMANY
PASCHOLD Jurgen Peter
DETLER ULRICH
GUATEMALA
Lai Yi Rong
HONDURAS
COLINDREZ Antonio
RAMIREZ Denis
MENDOZA R. Carlos
MISELEM Enrique
INDONESIA
ONNGO T.M.
ITALY
FALAVIGNA Agostino
JAPAN
FUJIME Yukihiro
DUANGPAENG Archana
KANNO Akira
OCHIAI Toshinori
KAWAGISHI Koji
MATSUBARA Yoichi
URAGAMI Atsuko
ARAKI Haiime
OZAKI Yukio
SONODA Takhiro
BHOWMIK Pankaj Kumar
SATO Tatsuo
ABE Tomoko
KOJIMA Kiyohide
MARUYAMA Susumu
YOSHIDA Shigeo
OKUDA Nobuyuki
UENO Reiichiro
FURUICHI Takao
AKIYAMA Masaru
SUZUKI Takashi
MOTOKI Satoru
UESUGI Toshikazu
MAEADA Tomoo
II Yusuke
KAKUTA Hideo
KOHMURA Hiroyuki
NAKASHIMA Toshiki
HIRATA Yukimasa
CHIBA Kousaku
WAKUI Kiyoshi
NETHERLANDS
VERMAEGHAM. Joseph
LAVRIISEN J. M. Pierre
MULDER Hindrik Jan
HANS Kalter
CHRISTIAENS Peter
BOONEN Piet
TEEUWEN Math
NEW ZEALAND
NICHOLS A. Michael
WOOLLEY J. David
FALLOON G. Peter
WILSONR.Derek
SCHOFIELD E. Phillip
LILL E. Ross
PERU
CASAS V.Andres
PHILIPPINOS
GUETO G. Garlandino
GRANDE O. Emilio
SUMAGAYSAY C. Hernando
CANO C. Lydia
POLAND
KNAFLEWSKI M.
SPAIN
CERMERIO Sacrstan Prdro
GONZALEZ Castanon Maria Luisa
THAILAND
SOMBOONSAEN Narin
USA
MULLEN J. Robert
SNYDER R.Kenneth
WALKER. Scott
WALKER Sam
CHIN Chee-Kok
ROOSE L.Mikeal
STONE Neil
BENSON L.Brian
SCHREIBER Alan A.
DROST Daniel T.
GARRISON A. Stephen
同伴者14名
短日参加者 37名
13. 決算報告
自 1999年5月25日 至 2001年12月12日 (単位: 円)
第10回国際アスパラガスシンポジウム収支決算書
*印:国際園芸学会のシンポジウム論文集であるActa Horticulturaeの出版はISHS本部で行なう。編集委員会で現在査読作業を行なっており、出版は来年度末(予定)であるため、予価である。また、それに伴う経費の一部についても予算額である.