リチウム電池内蔵 その4

Built-in lithium battery.

1.LCRメータのリチウムバッテリー内蔵

 リチウム電池を内蔵して終わりにしようとしていましたが、液晶があるならバッテリー電圧の表示と充電出来る機能が必要だと言う話が有り、最後の改造をすることにしました。

 改造は、リチウム電池の充電機能と電圧表示、及び深放電をしないよう設定電圧で停止する機能を追加します。あとはファームの最新化Rev664に改造です。

 Makeができればそんなに難しくないのでご紹介します。

 なおドクターOKさんの改造されたLCRメータの回路図

紹介します。


 また、ドクターOKさんから3PINの測定端子を頂きましたので、PINジャックと並行に付けることにしました。トランジスタ、抵抗、コンデンサー等の小さな足PINでの測定に便利です。(Photo:参照)

2.改造手順

 3.7Vから7.2Vに昇圧して、LCR内部で5Vで使う無駄なことをしていますが、改造が外付けで簡単で、基板の部品変更をしなくても済むところです。

 部品は、5V USBバッテリーチャージャ(TP4056チップ:出力1A仕様 130mAから1Aまで変更が可能と、DC-DCコンバーター(MT3608チップ)を利用します。

 バッテリーは、古いガラ携の3.7V仕様の700mAH程度のものを利用しました。

 単純に配線をするだけですが、LCRメータへの電圧表示は、基板の改造とMakeファイルの修正が必要になります。また、ついでにLCRメータのスイッチに連動してコンバータがON/OFFするようにします。

USBバッテリーチャージャは、充電電圧が4.2Vになると電流カットオフになる仕様です。

このチャージャは強力で瞬間的に1Aをバッテリーに供給します。10分位で500mA程度になり30分も充電すれば、ほぼ満充電に近くなります。 (3.2Vからの充電)

またDC-DCコンバータは、バッテリー電圧が降下変動しても7.2V(設定電圧)を維持するため、深放電をさけるためLCRメータのチェック機能を利用します。

3.部品の取り付け

 バッテリーチャージャの取付けは、基板から電源コネクタを取り外し、その上に絶縁材料(この場合ダンボール)をあてがいます。

 バッテリチャージャの先がカバーネジに干渉したため斜めにカット、基板のプリント配線に影響無いように止めねじ用に穴を開け、ビス等で固定します。

また、ATmega328Pのソケット28番と抵抗(10KΩ)の間のプリント配線をカットします。

  回路図ではUbatからの入力位置になり、R11(10KΩ)の抵抗端がバッテリー電圧の検出用としてバッテリーの+に接続する改造をします。

 10Kと3.3Kの分圧でバッテリー電圧を測定しています。当方の場合は、電圧誤差は、0.1V程度でした。


4.電源コネクター箇所

 既存の電源コネクターとUSBミニプラグと交換になったため大きな穴になりました。何か穴から覗いている感じです。

 いまでは、USBマイクロかUSB-C端子になります。

なお消エネ対策のDC-DCコンバータのON/OFF制御のため、ICチップの4番と5番ピンの間のプリント配線を、彫刻刀でカットします。(項番6参照)

比較的簡単に切れます。また4番ピンからLCRメータのVCC端子に接続するため、DC-DCコンバータの基板に、タグを付けてから配線しないとICのピンが剥がれます。

 またファーム(Rev626→Rev664)の機能確認をします。

周波数ジェネレータの周波数固定から細かい調整が可能となりましたが、使うには、ロータリエンコーダが必須です。


5.ファームウェアのMakeファイルの修正

 ファームウェアは、 バッテリーモードを使うには、Rev664batファームをダウンロードしてライターで更新してください。

Makeファイルの修正箇所

 BAT_OUTパラメータ:電圧表示の誤差をmVの単位で指定します。LCRメータは精度的に小数点1桁までしか表示できないので、低めの補正をします。例+50 (+50mvの補正)

  提供ファームは、デフォルト値 0mvに設定

 BAT_POWERパラメータ:LCRメーターがこの電圧を検出した場合、バッテリーを深放電をさせないために停止させる電圧です。

例 2600 (2.6V設定:2.8V程度で停止見込み)

 なお 2V以下には絶対設定しないこと、充電時にトラブルが発生する可能性がある。

この2箇所でLCRメーターのファームウェア修正は終了です。


(注)ドクターに提供ファームRev664batは、3300設定(3.3V)にしてあります。

6.使用感

 バッテリー電圧が表示されるため、安心して使うことができました。ただ、消費電力が小さいためなかなか電圧変化が見られないのが残念です。

  この測定器の信頼性が確かで、測定中の ?マークや不明表示の場合は、不良部品だという判断にだんだん慣れてきました。

(PARTS NG表示以外の部品不良表示)

 電源コードがいらないのでテスターのように持ち回わしがよく、バージョンアップ等でさらに使い勝手がよくなりました。使わなくても、あれば便利なDelux版の出来上がりです。

 動作確認として3.3Vを設定して、LCRメーターがバッテリーEmptyが表示された後、電源OFFとなり使えなくなることを確認しました。

Photo:DC-DCコンバータのPin間カットしPinソケットを瞬間接着剤で貼り付け端子ラグとして利用