トランジスタテスター

LCRメーターの作成その1(2015〜版)

Creating LCR meter.

1. LCRメーターの作成

 かねてより抵抗は、テスターで測定ができるものの、L(インダクター)、C(コンデンサー)はその値を測定するのに、適当な測定器がありませんでした。特に Lについては、まったくのあてずっぽで導通すればいいぐらいのものでした。

 最近のおもちゃは、表面実装タイプの部品が多くなり、その値の見極めはより一層困難なものになりました。

そこで、海外ネットで面白い測定器のキット($12程度)を見つけました。$13ちょっとでケース付きのもあります。

 正式名は「DIY Multifunction Transistor Tester Kit For LCR ESR Transistor PWM Signal Generator M328 」ですが、これが簡単に作れて程よい性能と多機能ぶりを発揮します。

 LCRは、もちろんトランジスターテスト、発信器等の機能もあります。 ネット販売で、入手し早速作ってみました。

電源は、内蔵用に9V積層電池ですが、5.5V〜12Vの外部電源も可能です。

2.測定器の回路図

 AVRのATmega328マイコンをつかっており、部品点数は、比較的少なく、またプログラムソース等も公開されています。

自分でAVRDUDE(AVRの開発プログラム)があれば、機能改造することも可能なようです。

ISP経由の回路がマイコンのアップデートです。

  (kitには付属していません。)

<補足>

1.現在では、キット以外に「トランジスタテスター」として既製品の商品が比較的安価に市販されています。ここではあえて、キットでファーム等に改造に挑戦しています。

. キットの購入時では、プログラムのファームのアップデート方法も記載されています。

. 購入キットでの作成マニュアル(日本語版)です。

. この商品は、Chinese clonesと呼ばれ、 回路上では、初期は、LT1004CZのツェナーダイオードが使われるはずが、2.5Vを得るのに、3端子レギュレータが使われていました。なお販売時期により使用される部品等が異なることがあります。

3.LCの測定

 組立て後、容量50V100μFの電解コンデンサーを測定、108.4μFと瞬時に表示されました。

大容量でも2秒程度で測定ができます。

いよいよ、Lの測定です、手元にある、Lを測定してみました、0.5mH、6.5Ωと表示されました。

簡単に測定できると、測定値の精度はともかく楽しくなります。

 測定規格

 抵抗 0.5Ω(±0.01Ω)〜 50MΩ

インダクタンス 0.01mH〜10H

コンデンサ 30pF(±1pF) 〜 100000μF(±10μF)

分解能は、小数点2桁まであり、精度は、かなり良さそうです。接続するPINは、基本は1PINから接続します。基板上のコンデンサーも「C+ESRメニュ」で測定できるようです。


4.トランジスタ等の測定

 中国製のトランジスタは、PNPなのか、NPNなのか、またその足の並び方は何なのか不明なものが多いものです。

この測定器は、適当に3つの足をPINに接続してテストすると、PNP、NPNなのか表示されます。

かつ接続PINの123の並びに、C(コレクタ)、B「ベース)、E(エミッタ)を表示し、Hfe等も測定してくれます。

 ちなみにLEDの測定(基板外しものは、どちらが+かわかりにくいもの)や、3端子レギュレータなども測定できました。

FETも測定できそうなので、表示される内容を理解すれば、いろいろな場面で活躍できそうです。

 この測定器の原理を考えたのはロシア人で、その測定器用のプログラムを作ったのがドイツ人だそうです。それを安価に生産化したのが中国だそうです。中国が世界のグローバルサプライヤーのきっかけになりました。


5.ケース付のイメージ

 このキットは、別売で専用ケースが販売されています。

キットに組み込む方法として、ユーザがそれぞれにちょっとした加工しています。

  サイズ D 82 X W 82 X H 2.5mm


6.ファームの変更(ここからは、備忘録)

 メニューを自分の好きなように変更するには、まず、

ファームをネット先(ドイツ)から商品ごとに合うものをダウンロード(trunkがカレント)します。最新版であれば、C(コンデンサー)の測定が1PFまで測定できる精度を持っています。

 バージョンがいくつかあり、もう世の中が中国と縁が切れたのか最新は2年も更新されていません。

 ATmega328にCD(チェンジディレクトリ)して、Makefileを好みに合わせて変更し、「make steril 」と入力すると、.hexと.eepファイルが、生成されます。

 ファームダウンロード先:

  Mikrocontroller-net/transistortester

7.ARVISPMKⅡの接続

 ライターにAVR用のARVISPMKⅡを使います。

 ブレッドボードにマイコンとISP接続します。なおライターにはVCC電源が供給されないので外部から取ります。

USBASP 2.0ライターの場合は、購入時のプログラムを参照してください。(winよりlinuxの方がドライバーに苦労しないかも)

8.AVRDUDEで端末からコマンド入力

 ライターのコマンドは、AVRDUDEのコマンドで、端末から、(Linuxの場合)

sudoで入力します。

 また、Bパラメータ(書込み速度0.5μS)を追加しないと、失敗することがあります。

  コマンドは、avrispmk2のものですが、usbaspを使う場合は、この名前に変更します。

参考:makefileの設定例( make設定項目の説明 )