2.4GHz ラジコン(Turbo付) PWM換装

 2.4GHz radio control (with Turbo) PWM conversion.

1.2.4GHz ラジコン(Turbo付) PWM換装

 トイ・ストーリー4 リモートコントロールビークル ウッディ & RCの2.4GHzのラジコンが動かなくなったという依頼です。

ウッディ人形が乗っかり、ちゃんと動く本格的なラジコンカーです。

  このおもちゃの送信機は、電源スイッチがなく、リモコン操作するとLEDが点滅し点灯するとペアリングが完了し、受信機が反応しないとタイマーでスリープする仕組みのようです

2.分解

 Turboと送信LEDは点滅するもペアリングができません。2.4GHzの電波チェッカーで調べても、ラジコン送信機からどうも信号がでていません。分解してみると送信スイッチの接点がかなりすり減っています。ハンドル部の接触接点を若干づらしても、送信信号は出ていないようで送信モジュールの故障のようです。


3.PWM換装

 受信機モジュールとモータードライバーの間に、Turboのときだけ100%出力となるようにPWMのDuty比(ノーマル時70%設定)を変更するマイコンチップを追加することにしました。マイコンはATtiny13AというAVRの8bitマイコンが2つのPWM出力を持ち合わせており、単価が安いのでこれを利用することにしました。

 ATtiny13Aは、Arduino IDE(1.8.9以上)を使いLEDをアナログ出力(PB0、PB1 Pin)で点灯するような簡単なプログラムでPWM制御が可能になります。

<忘備用>

 モータードライバーには、同時入力(例:前進、後進スイッチの同時押下)のときHドライブがショートするもの(例:トラジスタ式のHドライブ)があり、同時入力時は、信号が出力しないように、ストップ機能を必要によりプログラムに仕込みます。

(このおもちゃのように、送信機のスイッチの形態や、受信機のモータドライブICがその機能を持ち必要ないものもある。)

 なおリモコンは、送信モジュール含めて消費電流が、5mA程度になるため、電源スイッチの追加が必要です。また、電波の届かないところや、リモコンのボタンを押下(ONの状態)で、リモコン側の電源をOFFにすると制御不能になる可能性があり、空きPinやタイマー等を利用し、受信モジュールの出力をコントロールする仕組みを追加し保険を掛けます。

マイコンチップは、基板を小さくするためsop8のSMDのチップを使いました。

4.  PWM波形

 ATtiny13Aのアナログ出力は、綺麗な70Hz程度のPWM波形(Duty比70%)で模擬実験では、モータの出力制御は問題ありませんでした。モータの出力制御だけでなく、LEDの調光制御にも使えそうです。

<忘備用>

 8pinのATtiny13Aは、5Pinを入出力に使うため、残りの1PinをPWM制御の可変用にすることも可能なので、今後のラジコンの通信モジュール換装するときの速度制御用に使います。また送信モジュールがPWM式の場合、速度は2段速になりますが、ATtiny13Aのアナログ入力でTurboを生成することとします。(Mode2)

追補:リモコン送信機の電波が届かない場所等に対応する受信機側の出力コントールの機能は、送信側と受信側のマイコンを利用しソフト的に追加します。


5. ラジコンカーの基板ICチップの取り外し

 今回、修理するラジコンカーは2.4GHzの送信モジュールだけでなく、受信モジュールも前輪と前進の出力系統の短絡です。良かったのはバックのみでした。

 また、モータドライブICチップ(MX612に交換)も前進の出力系統の短絡がありました。 (ICの出力PinがGNDに落ちている。)

 おそらく過電流で出力系統が破損したと思われます。普通は、モータの過負荷時はドライブICが破損しますが、この2.4GHzの送受信モジュールを使ったものは、どういう訳かこのICチップが破損します。受信モジュールICとドライブIC間は直結で保護抵抗がありません。受信モジュールのIC回路に出力インピーダンスを考慮していない等の不具合があるように思われます。

ICチップをそのまま残すと動作不良をおこすため、ハンダ付けの名手Hドクターが取り外します。

  特に16pinの受信モジュールのICチップは、ピン数が多いため取り外すのに厄介です。半田ごて先をナイフ型の長めのもので2pinずつハンダ付けを行い、全体のpinを暖め、ピンセットでチップを起こしたら、意外と簡単に外すことができました。

6.追加基板の取り付け

 元々の基板はそのままに、追加のおもちゃの受信モジュールとPWM基板を両面テープで空いてる隙間に貼付け、配線を行います。

 ほとんどの部品が換装されるため、新しい基板で作りなおした方がすっきりするかも知れません。配線後、動作確認し各部をホットメルトで固めて完了です。

おもちゃをお渡ししたお子さんは、大変な喜びようで感慨深いものがありました。

<忘備用>

 このおもちゃでの配線上の注意点として、基板上のモータドライブICチップVDD端子に細いフューズ線が貼ってありました。ドライブICを換装時にそれが外れたのを見落とし動作確認に時間がかかりました。SMDのフューズ部品だと良いのですが、こんなところに部品の省略化がされていました。