DC電源の点検

Inspection of the DC power supply.

1.DC電源の点検

  ハム無線に使用される12V5A仕様のDC電源が、送信電波にハムが乗るという依頼です。

二次側の電圧は24Vもあり、それを13.7Vまでトランジスタでステップダウン制御するというものです。何とも非効率な電源でしょうか。

 10W級の送信機は、1A程度の電流ということで、8Ω20Wの純抵抗器を付けて、動作確認をしました。

2.DC電源の内部

 今では珍しいトランスを使っており、整流器と電圧調整用のトランジスタは、大きな放熱器を備えた本格的なものです。

ただ大きさの割には、二次側が25Vの3300μFと2200μFの電解コンデンサーをパラ使用していますが、耐圧が危惧されます。また、平滑回路もπ型フィルターではないため、まず出力のリップルを疑うことにしました。

  なお、LCRメータで電解コンデンサーを測定したところ、並列分で、5240μFとなり容量は問題ありません。

また、ハムが出るという話なので、電源配線、トランス配線のループを疑ってみました。なおトランスから出る電磁誘導もあるかも知れません。

3.測定

 負荷電流1.7Aで、出力波形を測定したところ、リップルは、10KHz以上2mV以下であり、DCは10〜40mVの0.5ms間隔のパルスノイズが出力されています。

 それ以外は、ハムらしいノイズはなく、DC電源としては問題なさそうに思えます。

 ハムではなくてこの小さいノイズ(チッッ)のことかな?

4.とりあえずの対処

 とりあえずの対処として、電源配線のねじりこみと二次配線の配線を若干出力配線から離したぐらいです。

  これでパルスノイズが解消されたようです。電源の配線が回路に影響していたのでしょうか、よくわかりません。

 ハムノイズ対策は厄介です。大きなトランスを使っていることも有り、設置方法や、接続する機器間での回り込みも考えられ、電源部だけの対処も困難に思えます。

 本当ならトランスの遮蔽板も有効かと思いますが、接続する機器との関係があり、ヒアリング含め様子見としました。

 後日、依頼者に様子を確認したところ、無線機と離して使ったら問題なかったそうです。めでたし、めでたし