保育施設にて、窒息の事故が発生することが多々あります。東京消防庁によると、毎年約1,000人の乳幼児が窒息や誤飲により救急搬送されており、窒息は放置すれば死に至る危険な事故としています。また、令和2年から令和6年までの5年間に、5歳以下のこども5,285人が、窒息や誤飲等により医療機関に救急搬送されています。
シッティング中にお子さまのお食事の補助をしていただくこともあるかと思いますので、今一度十分に気を付けるようにしましょう。
【事例1】
1歳の男の子。保護者様より買ったお弁当を夜ご飯に食べさせてと渡されていた。保護者さまが外出され大泣きしてしまい、ぐずりながらお食事をしていたら、唐揚げがのどに詰まってしまった。
【事例2】
2歳の男の子。病後児保育でお預かり中、おやつにボーロを食べる。喉の奥にボーロが引っかかってしまい、泣いた勢いで嘔吐。病み上がり時には喉越しの良い食べやすいおやつにするべきだった。
【事例3】
4歳の女の子。保護者さまご在宅時の保育。保護者様より飴をもらって舐めていたら、遊びに夢中になり飴がのどに詰まった。一瞬苦しい顔をしたのでヒヤリとした。
【事例4】(実際のニュースより)
保育施設で、小さく切ったリンゴを食べていた女児が眠そうな様子だったため、保育士が口に指を入れてかき出した。女児はその後ぐったりし、意識不明で病院に運ばれ、入院中に死亡。死因は低酸素脳症で、誤嚥(ごえん)による窒息が原因。女児が眠くなった時点で食事を中止しなかったことや、指を口に突っ込んだ対応が問題だった。家庭ではすりつぶしたリンゴを食べていたことが施設側と情報共有されていなかった。
1.事前面談でお子さまのお食事の内容を確認
シッティング中に食事の介助が含まれる場合、お子さまが何をどのように食べるのかを保護者さまと確認しましょう。
シッティング中の食事はいつもとは違うものが用意されている場合もあります。また、手作りではなく、テイクアウトしたものや出前、外食になる場合もあります。その場合は事前に保護者さまも味見や確認等ができていないため、食べられなかった場合どうするか、食材を小さく切るために調理用ハサミの場所の確認や、利用の有無を確認しましょう。
始めて食べるものだとお子さまも上手に食べられない可能性があります。今までに食べたことのあるものでお願いするとより安全です。
2.実際のお食事タイム。意識する3つのポイント!
①お食事の内容
当日実際にご用意いただいたお食事は、お子さまの成長、発達に合った形状、大きさ、硬さですか?
【事例1】でもあるように、保護者さまがご用意されたものだから大丈夫だろう、という判断は危険です。介助者であるシッターがきちんと確認してお子さまにお食事を差し上げることが大切です。
②声掛け
姿勢よく、よく噛んで食べることに集中してもらえるような声掛けをしてみましょう!マスクを着用したままのシッティングの場合もは、例えば手を動かしながら「もぐもぐ、かみかみ」と話して「よく噛んで食べようね」ということが伝わるようにしたり、マスク越しにシッターさんもお口をお動かして一緒に食べているような仕草をしたり、工夫してみましょう。
③お子さまのそばを離れない
目を離しているうちに一気にたくさん口に入れたり、口に食べ物を入れた状態で走り出したりすることがあります。特に小さいお子さまは目を離さないように気を付けましょう。お子さまの些細な変化にも気が付けるように、しっかり見守りましょう。
3.危険のある食事介助
・あおむけに寝た状態で食べる
・歩きながら、遊びながら食べる
・放り投げて口で受けて食べる
・急停車する可能性があったり、揺れたりする乗り物の中で食べる
・食べ物を口に入れたまま走る、笑う、泣く、眠る、びっくりする
※事例からもわかるように、普段と違う様子の時(病児、眠たい、泣いているなど)にのどに詰まりやすい傾向にあります。落ち着いて食事をとれる環境を整え、眠たい・泣いている等の時の食事は避けましょう。また病児の時は食べやすい形態の食事を準備してもらいましょう。
4.「特に」注意すべき食べ物
令和3年1月20日公開の消費者庁調査によると、窒息死事故につながる要因として多いものは以下が挙げられております。
・菓子類(マシュマロ、ゼリー、団子、あめ、など)
・豆・ナッツ類
→0~5歳までのこどもには、固いナッツ・豆類、粘着性が高く飲み込みづらい食材(もち・白玉団子など)や、弾力性があり噛み切りにくい食材(いか・こんにゃくなど)は、窒息のリスクがあるため、使用を避けましょう。
・果実類(りんご、ぶどうなど)
→球形や大きさから、気道に入り、つまりやすい食材(ミニトマト、ぶどう、さくらんぼ、個装チーズ、うずらの卵など)は、4等分して形や大きさを変えたり、皮を取り除くなど工夫しましょう。
・パン類(ホットドッグ、ドーナツ、菓子パンなど)
・肉、魚類(焼肉、唐揚げなど)
・その他の食品(餅、寿司、チーズ、そうめんなど)
乳幼児は、食品をかみ砕く力や飲み込む力が未発達なので、硬いもの・小さいものでも窒息することがあります。また、複数人シッティングの場合はシッターさまが気を付けていても、別の子供から乳幼児に食べ物を与えてしまうこともあるので、注意しましょう。
KIDSNAシッター重大事故防止マニュアル「3.食事中の事故と保育中の誤嚥・誤飲・窒息防止 p20」を見て、事故防止に努めてください。
窒息が起こると、お子さまに以下のような症状が見られます。
・のどを押さえる、口に指を入れる
・声を出せない
・呼吸が苦しそう
・顔色が急に青くなる
多くの場合、窒息が起こってから、3~4分で顔が青紫色になり、5~6分で呼吸が止まり、意識を失います。
そして、心臓が止まり、大脳に障害が起こり、さらに15分を過ぎると脳死状態になります。
そうならないためにも、下記の手順で応急処置を行いましょう!
・消費者庁 食品による子どもの窒息・誤嚥(ごえん)事故に注意!
―気管支炎や肺炎を起こすおそれも、硬い豆やナッツ類等は 5歳以下の子どもには食べさせないで―
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/child/project_002/contests_001.html
・日本小児科学会 ~食品による窒息 子どもを守るためにできること~
https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=123
・日本医師会 「誤飲、異物が詰まってしまった場合」
https://www.med.or.jp/clinic/kega_goin.html
・東京消防庁 乳幼児の窒息や誤飲に注意!
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/nichijo/children_tissoku.html
・子ども家庭庁 窒息・誤飲事故
https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety-actions/handbook/content-1
■どんなに小さい事案でも、ささいな気づきでも報告を!
皆さまの小さな気づきを保護者さまに共有いただくことで、大きな事故の予防にも繋がります。
必要に応じて事務局にもご報告ください。
▼お問い合わせフォーム(シッティング相談/報告 )
https://forms.gle/DUWmhnQDfcxQU3Ty9
▼報告フォーム(匿名)