検証76
本ページで検証するサイトはいずれも金融庁のサイトで公表されている金融商品取引業者の登録リストに該当が見つかりません。日本居住者に対して勧誘が行われれば違法な無登録業者ということになります。
▼本サイトでの検証は名誉棄損に当たらないと考えます。→ 雑記1
「検証13」、「検証14」、「検証15」、「検証16」、「検証17」、「検証18」、「検証19」、「検証20」、「検証21」、「検証22」、「検証23」、「検証24」、「検証25」、「検証26」、「検証27」、「検証28」、「検証29」、「検証30」、「検証31」、「検証32」、「検証33」、「検証34」、「検証35」、「検証36」、「検証37」、「検証38」、「検証39」、「検証40」、「検証41」、「検証42」、「検証43」、「検証44」、「検証45」、「検証46」、「検証47」、「検証48」、「検証49」、「検証50」、「検証51」、「検証52」、「検証53」、「検証54」、「検証55」、「検証56」、「検証57」、「検証58」、「検証59」、「検証60」、「検証61」、「検証62」、「検証63」、「検証64」、「検証65」、「検証66」、「検証67」、「検証68」、「検証69」、「検証70」、「検証71」、「検証72」、「検証73」、「検証74」、「検証75」に続いて中国系と思われる詐欺グループによる可能性があるサイトについての検証64ページ目です。「検証77」、「検証78」、「検証79」にも続編があります。勧誘の手口などについては「検証13」の冒頭、さらにLINEのグループを利用する勧誘については「雑記2」を参照してください。このページで検証するのは以下のサイトです。検証対象は順次追加の予定です。
●Synovus Financial (Synovusファイナンシャル https://www.synovus.cc/)
Yahoo知恵袋に複数の質問が出てきたサイトです。「雑記2」で説明したLINEグループ (オープンチャット) を勧誘の場として利用する手口で勧誘が行われているようです。またこのサイトはアメリカの金融機関であるSynovus Financial (Synovusファイナンシャル https://www.synovus.com/) のサイトと非常によく似ており、このアメリカの金融機関のサイトの文章や画像を盗用して構築された偽サイトになっており、この検証ではニセモノと本物のSynovusファイナンシャルのサイトを互いに比較していきます。
まずこのサイトについてYahoo知恵袋に出てきた質問投稿を引用していきます。
質問の投稿者は松井隆司と名乗る先生、佐藤亜美と名乗るアシスタント、西村敬一と名乗る投資顧問が登場する「投資の知恵の共有」というLINEグループに加入してSynovusファイナンシャルでの投資を勧められ、入金したものの詐欺の可能性を強く疑っているようです。LINEのグループに加入した経緯が不明ですが、「雑記2」で説明した中国系と思われる詐欺グループによる詐欺の手口に合致するように思われます。入金先として指定された銀行口座が個人名だったことが詐欺を疑う根拠の1つのようです。少額を入金して出金出来ることは確認したものの最初は少額の出金には応じて信頼できるサイトだと思い込ませる手口はこれまでの詐欺被害の事例でも何度も確認されているのでこれだけで詐欺ではないと判断することは出来ません。またアプリ経由で取引しているようでサイトのURLアドレスを確認出来ていないようです。
Synovusファイナンシャル株式会社について詐欺に遭っているのではないかと疑われるので情報を求めているだけの質問でどういう状況でこの質問をしているのか全く情報がありません。但し
>東京都港区芝2-28-11 芝MKビル
という住所だけ示されています。この住所は実在の住所のようですがこの住所に「Synovusファイナンシャル」が実在するという情報は検索しても見つかりません。但しこの住所は以下の2024年3月7日の質問にも出てきます。ここで質問している「Synovusファイナンシャル」という社名と住所が一致しているということから同じ件についての質問であることは間違いないようです。
LINE広告から自称・松井弁護士アシスタントのLINEを登録してしまったようです。当該のLINEグループには弁護士を自称する松井隆司、担当顧問役の川上智也、アシスタント役の自称・清水ユカといった面々が登場していたようです。複数回入金もしているようですが、個人名義の銀行口座を指定されて入金するというパターンに不審を感じているようです。
Synovusファイナンシャルがアメリカのジョージア州に本拠を置く老舗金融サービス企業であり、日本にも拠点があって契約書に書いてあった連絡先は
>東京都港区芝2-28-11 芝MKビル Synovus Financial 株式会社
となっていたようです。この住所は上で引用した2024年3月1日付の投稿に登場していた住所と一致します。社名と住所が一致していれば同じ投資先に関する質問で間違いないでしょう。
そしてLINEのグループに参加して当初はFXのことを学び、「syvuf」というFXの取引ツールを紹介されてFX取引をやっていたようですが最近になって天然ガスの取引を勧められ、承諾してもいないのに勝手に取引を予約されてしまい、1万ドルの追加入金を一方的に要求されているようです。さらに追加入金に応じなければ違約金を請求するとも言われているようです。追加入金に応じるつもりはないけれどもどう対処してよいのか困っているということでこの質問を投稿しているようです。そして詐欺に遭ったことを認識して警察に対処を相談するということになったようです。
この投稿は投稿者が「ID非公開」となっていて確認出来ないのですが上で引用した2024年3月7日付の質問の投稿者と同じ投稿者による質問かもしれません。やはりLINEグループに加入したところ、Synovusファイナンシャルでの投資を勧められ、当初はFX取引で殆どの取引で利益が出ていたようです。FXの取引の勝率が高すぎることに不審を感じているようです。上の添付画像はよく分かりませんが、FX取引の経歴のようです。そして現在は承諾なしに天然ガスの取引を予約されてしまい、3月15日までに1万ドルの追加入金を要求されているようです。そしてこの質問に対して以下のような回答が寄せられています。
この回答の投稿者も同様の状態にあるようで既に免許証を提出してしまったことで悪用されることを心配しているようです。
この質問の投稿者もLINEグループで勧誘されてSynovusファイナンシャルでの投資を始めてしまったようでさらに天然ガスプロジェクトへの投資を勝手に予約されて入金を迫られているようです。顧問担当の川上と名乗る人物からSynovusファイナンシャルが信頼できる投資先であるという主張が繰り返されているようです。アメリカのNFAに登録があって登録番号が0560834であるという主張もされたようですが、この点に関してはまた後述します。さらにSynovusファイナンシャルが信頼できる投資先であるという主張の一環でしょうけどLINEグループで以下の記事が公開されていたということです。
>http://saitama-ken.com/pr/27397/
このリンクは以下に示す埼玉ネット (http://saitama-ken.com/) という一見すると地方新聞のサイトの記事に繋がっています。
▼SNV社が戦略的な協力協定を締結し、世界展開を支援し、重要な成長目標を達成します (2024年1月21日)
この記事には「Synovusファイナンシャル」は登場しませんが、代わりに「SNV社」という会社が出てきます。これが「Synovusファイナンシャル」を意味するのかどうかは確認出来ませんが、少なくともSynovusファイナンシャルでの投資を勧めているLINEグループでは「SNV社」が「Synovusファイナンシャル」と同一であるという主張と思われます。
しかしこの埼玉ネットという一見すると地方新聞社のサイトに見えるサイトについては以前の検証でも見たことがあります。すなわち他の詐欺と思われる案件でステルスマーケッティングに使われていたことが分かっている実在しない新聞社のサイトであることが分かっているサイトであり、姉妹サイトの「雑記3」にまとめがあります。これらの偽の新聞社サイトは埼玉ネットを含めて16個確認されており、最近出てきたカナダの研究所の報告によれば全てが中国の深圳にある「深圳市海卖云享传媒有限公司 (Shenzhen Haimaiyunxiang Media Co., Ltd.)」、別名「Haimai (ハイマイ)」(http://hmedium.net/) というPR会社が運営していると指摘されています。
そこでこの記事を調べてみると上に示した記事冒頭に見える画像と非常によく似た画像が山梨県にある電溶工業という会社の公式サイト (http://denyojp.com/) にある2020年1月19日付の「立地協定調印式」という記事の中にあることが分かりました。
この電溶工業の記事によれば壇上の人物は左から中村法道長崎県知事、中村章男電溶工業社長、園田裕史大村市長と思われます。そして左下がこの電溶工業のサイトの記事に出てくる中村法道長崎県知事らが調印している場面の画像、右下が埼玉ネットのSNV社の記事の冒頭に出てくる画像です。
3人の男性が着席している長机の前の役職や氏名を記した垂れ幕?が埼玉ネットの記事の画像では消失しているなど画像編集ソフトによる編集の形跡も見られますが、同じ画像が元になっていることは間違いないでしょう。この記事の内容は全く信用出来ません。
さらに、姉妹サイトの「雑記3」で説明している埼玉ネット以外の15個の偽新聞社サイトに同一内容の記事があるかどうか確認してみました。例えば以下は福岡新聞 (http://www.fukuoka-ken.com/) というニセの新聞社サイトの1つに掲載されていた記事の画像です。
▼SNV社が戦略的な協力協定を締結し、世界展開を支援し、重要な成長目標を達成します (2024年1月21日)
文章も画像も埼玉ネットの偽記事と一致しています。これ以外の偽の新聞社サイトについても同じ内容、同じタイトル、同じ掲載日 (2024年1月21日) の偽記事が確認されました。以下に記事のリンクを並べます。
これまで確認されている16個の偽の新聞社サイトの内、SNV社に関する記事が確認出来なかったのは唯一、明治発展日報 (http://www.meiji-mura.com/) というサイトだけで残りの15の偽新聞社サイトには同じ文章、同じ画像を掲載した偽記事が確認されました。
過去に中国系と思われる詐欺グループによるステルスマーケッティングに何度も利用されてきたことが確認されているこれらの偽の新聞社サイトの記事が勧誘に利用されているとなればやはりこれは中国系と思われる詐欺グループによる詐欺の疑いが濃厚です。
そしていよいよSynovusファイナンシャルのサイトについて検証したいところですが、上で引用してきたYahoo知恵袋への投稿や実在しない偽の新聞社サイトの記事にもSynovusファイナンシャルのサイトのURLアドレスは示されていません。例えば2024年3月7日付の投稿の投稿者は「syvufというツール」をダウンロードするように指示されてアプリを介して取引しているようです。詐欺サイトの正体を隠しておきたいという意図が感じられます。
ともかくYahoo知恵袋に出てきた投稿にある情報、例えば
>Synovusファイナンシャルがアメリカのジョージア州に本拠を置く老舗金融サービス企業
という情報から検索してみると確かにSynovusファイナンシャルというアメリカの金融機関のサイトが見つかりました。以下にサイト冒頭部の画像を示します。
▼Synovusファイナンシャル (https://www.synovus.com/)
しかしこのサイトが詐欺サイトとは思われません。このSynovus Financial (Synovusファイナンシャル) はアメリカのニューヨーク証券取引所に上場している上場企業であり、YahooファイナンスやWikipedia (英語版)にも項目があり、公式サイトのURLアドレス (https://www.synovus.com/) が確認出来ます。怪しげな投資勧誘が行われているのはこのサイトを模倣した偽サイトである可能性が高いということで探してみると表題のサイトが見つかってきました。やはり以下にサイト冒頭部の画像を示します。
▼Synovusファイナンシャル (https://www.synovus.cc/)
URLアドレスは異なりますが、サイトの見かけは全く区別がつかないほどに似ています。さらにこれら2つのサイトが互いに似ているのはこの冒頭部だけではありません。以下は冒頭部に続いて出てくる「What's on your mind?」と題された業務内容を説明している部分の比較です。正規のSynovusファイナンシャル (https://www.synovus.com/) → 偽サイトと思われるSynovusファイナンシャル (https://www.synovus.cc/) の順で画像を示します。
さらに以下は近所の支店を検索できる部分の比較です。やはり正規のSynovusファイナンシャル (https://www.synovus.com/) → 偽サイトと思われるSynovusファイナンシャル (https://www.synovus.cc/) の順で画像を示します。
やはり全く同じ画像が並んでいるようにしか見えません。尚、この部分から検索できる支店網を見るとアラバマ州、フロリダ州、ジョージア州、サウスカロライナ州、テネシー州というアメリカ南東部の5州に限られています。日本に支店があるとか日本に進出しているといった記述は見つかりません。
ともかくこれら2つのサイトはトップページの相互比較で全く見分けることが出来ません。
しかしサブページには2つのサイトで異なる部分があるようです。以下は「Contact Us (連絡先情報) 」のサブページの比較です。正規のSynovusファイナンシャル (https://www.synovus.com/) の「Contact Us」のサブページ → 偽サイトと思われるSynovusファイナンシャル (https://www.synovus.cc/) の「Contact Us」のサブページという順で画像を示します。
2つのサイトで連絡先情報を見ると一致している部分と異なっている部分があるようです。例えば住所はいずれも以下のようになっています。
>P.O. Box 120, Columbus GA 31902
しかし電話番号は異なります。
Synovusファイナンシャル (https://www.synovus.com/) : 1-888-SYNOVUS (1-888-796-6887)
Synovusファイナンシャル (https://www.synovus.cc/) : 1-999-SYNOVUS (1-999-789-654)
アルファベットの形で電話番号が表記されているのですが、2番目のニセモノと思われるSynovusファイナンシャル (https://www.synovus.cc/) のサイトを構築した人物はアメリカの電話機の文字盤、アルファベットで電話番号を表記するシステムについての知識が無いようです。
アメリカの電話機の文字盤では2~9の8つの数字にはそれぞれ3~4個のアルファベットが割り当てられています。
2:ABC
3:DEF
4:GHI
5:JKL
6:MNO
7:PQRS
8:TUV
9:WXYZ
この数字とアルファベットの変換表を知っていれば「SYNOVUS」を数字に直せば「7966887」になるということが分かるという仕組みです。アメリカの企業の広告などで電話番号を覚えて貰う為の手段としてこうしたアルファベットと数字の変換を利用したアルファベットでの電話番号表記が用いられます。
参考サイト
▼アメリカの広告で目にしたアルファベット表示の電話番号のかけ方とは?
▼アメリカ生活羅針盤:アメリカ アルファベットの電話番号とは?
「1-888-SYNOVUS」が 「1-888-796-6887」に変換できる法則を知らない人間が偽サイトを構築しているから「1-999-SYNOVUS 」と「1-999-789-654」に変換できるような形で連絡先電話番号を書いてしまっているものと思われます。アメリカ人なら一般常識として知っているはずの常識を知らない人物が偽サイトを作っているからこんなおかしなことになっているものとしか思えません。偽サイトに記されている連絡先情報はおそらくデタラメでしょう。
さらに2つのSynovusファイナンシャルのサイトの脚注部分には公式のSNSアカウントへのリンクがあります。左下が正規のSynovusファイナンシャル (https://www.synovus.com/)、右下が偽サイトと思われるSynovusファイナンシャル (https://www.synovus.cc/) の脚注にあるSNSアカウントへのリンクです。
4つのSNSアカウントへのリンクが用意されていますが2つのSynovusファイナンシャルのリンク先は同一のようです。リンク先のURLアドレスを以下に示します。
Facebook: https://www.facebook.com/Synovus
Instagram: https://www.instagram.com/synovusbank/
X (Twitter): https://twitter.com/synovus
LinkedIn: https://www.linkedin.com/company/synovus
そして例えばX (Twitter) のアカウントの冒頭部を以下に示します。
このX (Twitter) のアカウントの冒頭部を見ると緑色の枠で囲った部分にSynovusファイナンシャルの公式サイトへのリンクがあって当然ですが、正規のSynovusファイナンシャルのサイト (https://www.synovus.com/) へのリンクになっています。
さらに以下は偽サイトと思われるSynovusファイナンシャル (https://www.synovus.cc/) のWho Is 情報です。
まず黄色の枠で囲った部分に記されているサイトの登録・開設日は2023年12月17日となっています。この検証を書いている2024年3月中旬時点でサイト開設から3ヵ月未満という新しいサイトであることが分かります。これに対して画像は省略しますが正規のSynovusファイナンシャル (https://www.synovus.com/) のWho Is 情報に記されているサイトの登録・開設日は1995年9月28日となっていて開設から28年半ほどが経過していることになります。
さらに上に示したWho Is 情報で赤枠で囲った部分に記されている登録者の情報を見ると殆どの項目が非開示ですが、わずかに所在地が
>JIAN PU ZHAI, KH
であるということだけ示されています。この内、「KH」はカンボジアの国別ドメインです。さらに「JIAN PU ZHAI」はカンボジア国内の地名ではないかと思いましたが、検索してみるとどうやらこれは中国語でカンボジアを意味する柬埔寨 (jian pu zhai) の意味だと思われます。所在地がカンボジアでもこのサイトの運営者は中国系のグループである可能性が高いように思われます。本項で検証対象とした偽サイトと思われるSynovusファイナンシャル (https://www.synovus.cc/) はやはり中国系と思われる詐欺目的のサイトである疑いが濃厚と考えます。
そしてSynovusファイナンシャルでの投資を勧誘されても応じることは全く推奨できません。特にネット広告からLINEのグループ (オープンチャット) に誘導されて先生役などとして登場する人物に勧誘されるという「雑記2」で説明した手口で勧誘が既に行われ、被害者がかなり出ているようなので同様の手口で勧誘された場合には非常に危険と考えざるを得ません。