投稿日: 2020/09/15 8:03:13
八極拳には、「貼山靠」という技法が存在します。
基本的には、体当たりの形態をとります。
当流においては、「六大開拳」と呼ばれる開法原理を練習する套路(型)の第1に学ぶ技です。
この「六大開拳」の開法原理には、出勢法、開門法、制敵法の3つの技法に分類され、それぞれに複数の秘訣をもちます。
この技法の運用法の一例として形作られている套路が「六大開拳」です。
この「貼山靠」は、一般的には体当たりとして使うと考えられています。
しかし、当流においての「貼山靠」は、体当たりではありません。
体当たりの形態を、一つの象徴とした制敵法として運用します。
ただし、この「貼山靠」の訓練の第一段階では、体当たりの訓練を行います。
これは、「貼山靠」という技法を運用するためには、体当たりの威力が、少なからず必要だからです。
そのための体当たりの訓練であって、体当たりという打法によって打つ事ではないという事です。
中国の武術は、套路(型)を中心に訓練します。
この套路(型)は、そのままの形で使うという事は、一部の門派(流派)や技法を除いて、ほとんどありません。
特に、当流の「八極拳」や「内家拳」などと呼ばれる、一般的に高級技法と呼ばれる技法を内包している門派(流派)では、形のまま使うという事は、ほとんどありません。
「貼山靠」に限らず、套路(型)を運用するには、形として捉えるのではなく、形の中に内包されている意味を、把握しなければならないのではないかと思います。
また、当流の「八極拳」には、頂肘と呼ばれる技法も存在します。
「頂心肘」とも呼ばれる技法です。
この技法は、肘打ちの形態をとります。
当流の「八極拳」の「六大開拳」には、「挑打頂肘」と呼ばれる技法として存在します。
この技法も、「頂肘」や「頂心肘」と呼ばれる、肘打ちと同じ形態をとります。
しかし、「六大開拳」の「挑打頂肘」という技法は、肘打ちではありません。
確かに、「小八極拳」や「大八極拳」などの「頂肘」や「頂心肘」と呼ばれる技法は、基本的には肘打ちの訓練です。
しかし、「六大開拳」で行われる「挑打頂肘」は、肘打ちの形態から、開法原理を学ぶための套路(型)として存在します。
つまり、「頂肘」や「頂心肘」という形態を一つの例として使っているだけで、「頂肘」や「頂心肘」の形態でなければならない訳ではないという事です。
「頂肘」や「頂心肘」の形態で訓練するのは、「挑打頂肘」に内包する開法原理が、肘打ちの形態で表現しやすいためです。
また、肘打ちの形態の訓練から始めた方が理解しやすいためでもあります。
また、初期段階の訓練では、この「頂肘」や「頂心肘」の訓練と同じく、肘打ちから始めます。これは、威力の養成と形態からの原理の理解を促すためです。
また、当流の「八極拳」には、「虎撲」と呼ばれる技も存在します。
当流では、「六大開拳」の一つとして訓練します。
この「虎撲」という技は、両掌で前に打ち出す形態をとります。
「形意拳」や「心意六合拳」、「太極拳」などにおいても似た形態の技が存在します。
また、「形意拳」の名人である「郭雲深」は、この技に似た「虎撲子」や「虎撲手」などとも呼ばれる事がある技法を得意としていたと言われています。
「虎撲」の一般的な使い方とは、両掌によって相手を打つ事です。
しかし、少なくとも、当流で伝わる「虎撲」という技法は、両掌で打ち出す事ではありません。
この両掌で打ち出す形態は、「虎撲」という戦闘法を表す、一つの象徴でしかありません。
ただし、当流においても、「虎撲」を訓練する場合、始めは両掌で打ち出す訓練から始めます。
これは、「虎撲」という技法を運用するための、威力を付けるためです。
昔から、この段階の訓練は、俗に言われる「発勁」や「寸勁」の訓練に適していると言われます。
それは、「虎撲」という技法の形態が、正しい運用法を知っていれば、身体を纏め、力を集束させるのに適しているからです。
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