2026.03.04|Wed
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〈開催日:2025年11月26日/場所:台東リビング/協力:NPO法人自立支援センターふるさとの会〉
2025年11月26日、福祉社会デザイン学部社会福祉学科「社会福祉学総合演習Ⅱ」の授業の一環として、学生と利用者の交流を目的としたイベントを開催しました。本イベントは、ふるさとの会様のご協力を得て、コーヒーを楽しみながら学生と利用者の立場を超えたコミュニケーションをテーマとして実施しました。イベントには利用者の方々や山谷地域の方々含め30名を超える多くの方々にご参加いただきました。
ふるさとの会が例年開催しているコーヒーイベントの中で私たちは主に2つのミニイベントを企画しました。
1つ目は山谷地域マップづくりを実施しました。山谷地域にはふるさとの会が運営に携わっている施設が多く存在しています。普段山谷地域で生活している利用者の方に山谷の好きな場所を地図に書き込んでもらうことで居場所を視覚化し、山谷地域の魅力を再発見してもらいました。
2つ目は悩み相談会をクロストークと題して実施しました。イベントの中での利用者と学生とのコミュニケーションを通して互いに得るものが生まれるような企画を模索しました。その中で、予め学生から恋愛や将来の悩みなどを集めて模造紙に貼り付け、来ていただいた方に人生の先輩として学生の悩みに答えてもらうという形をとりました。背景として普段支援を施される側になってしまうことが多い利用者を「支援される立場」から一時的に離し、対等な関係でコミュニケーションをとりたいという意図がありました。実際に学生の悩みに対してアドバイスをしていただいただけでなく、好きな食べ物やオススメの居酒屋など日常的な会話もしたことで立場を超えて深く関わることができました。また、聴覚に障害のある方との関わりの中で手話を教えてもらう場面があり、手話を教えるコミュニケーションを通して「久しぶりに笑った」、「楽しかった」と言っていただけました。その方にとって普段は「何かをしてもらう側」であることが多い中、自分が誰かに教える立場になるという経験自体が肯定的に受け取られていたように感じました。
企画当初はそれぞれの立場が持つ力や関係性に注目しすぎるあまり、自分たちの立場を活かして互いに何かを得られる「意味のあるコミュニケーション」にしなければならないとばかり考えていました。しかし実際にイベントを実施する中でその前提は大きく覆されました。確かに私たちとのコミュニケーションを通して利用者の方に喜んでいただけた瞬間はありましたがそこに明確な成果や価値を見出そうとする必要はなかったのだと気づきました。
同じ時間と空間を共有し、ただ共に笑い、共に過ごすといった事実そのものに、すでに十分な価値があり、意味を生み出そうとするのではなく関係の中で自然と立ち上がる時間を大切にすることこそが新しいコミュニケーションの在り方であると学びました。
ふるさとの会の職員の皆様には私たちが興味のあることについて親身に寄り添ってくださり、背中を押していただきました。また企画をする上で主軸となった、それぞれの立場が持つ権力やコミュニケーション論については職員の方とのディスカッションを通して多くの学びがあり、無意識になっていたことに気づくことで世界の見え方が変わりました。今後の人生に活かせる学びの機会をいただきありがとうございました。
執筆担当者:向井優奈 川島孝明 片倉美咲(福祉社会デザイン学部 社会福祉学科2年)
【授業担当:孫 心悦先生】