雪斎雑記(鎌田右内随筆)

雪斎雑記

作者は現在の滋賀県草津近辺に住んだ鎌田右内という医者(号 雪斎、1744-1802)で、日常見聞した事を随筆風に記録している。 解読したのは一部であるが、幾つかの話が題目なく一つ書きで留められているので、見やすくするため話題の冒頭に括弧で適当な題を付けた。

天明期頃の世相が興味深く読み取れ、特に天明の飢饉に際して暗躍した悪徳商人や悪代官の話は当にTVドラマの水戸黄門の世界である。 田沼意次は重商主義を推進した歴史上有名な人物であるが、裏にこのような人物(井上伊織)が拘っていたという事は貴重な史料である。

叉一般に甲賀、伊賀共に忍者集団だったと云うのが通説であるが、ここでは全く異なる事が説明されている。 時代、地域共に近い作者が云う事であるから、これが正しいのかも知れない。