老人六歌仙

老人六歌仙

作者は江戸時代中期の禅宗の僧という。 歳はとりたくないという気持ちが良く分る。

古文書を翻刻する場合の規則として、変体かなは助詞など特殊な文字以外はひらがなにするのが

一般的であるが、 敢て書下し文として変体かなをそのままとした。

書下し文

志王かよ流 本黒か出ける 腰曲る

頭まか者ける ひけ者白くな流

手ハ振ふ 足ハよろ川具 歯者抜る

耳者きこへ春 目ハ宇と具なる

身に添者頭巾襟巻杖目鏡

たん本 おん志やく 志ゆひん 孫の手

聞たかる 死とハむなかる 淋しかる 心ハ

曲る 欲深になる

くと具なる 気短ニなる 愚痴になる

出志や者りたかる 世話やきたかる

叉しても同し咄に 子を誉る 達者

自まんニ人者いやかる

古人の歌

仙 厓

読下し文

しわ(皺)がよる ほくろがでける 腰曲る

頭がはげる ひげは白くなる

手は振ふ 足はよろつく 歯は抜る

耳はきこへず 目はうとくなる

身に添は頭巾・襟巻・杖・目鏡

たんぽ・おんしゃく・しゅびん・孫の手

聞たがる 死にとうながる 淋しがる 心は

曲る 欲深になる

くどくなる 気短になる 愚痴になる

出しゃばりたがる 世話やきたがる

叉しても同じ咄に 子を誉る 達者

自まんに人はいやがる

古人の歌

仙厓

注 たんぽ: 湯たんぽ