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江戸の水


江戸の水

化粧水の広告冊子で戯作者、式亭小三馬(1812-1853)、絵は歌川国貞(1786-1865)で豪華版の板本である。 小三馬は家は薬屋であり、家業を引継ぎ江戸の水という化粧水を売り出した時に、購入者に無料で配った由。 このような景品的な本を景物本という。

出版時期は物語の中に子三馬が生れて廿余年とある事から、天保初期(1835年頃)と思われる。

おしろいのよくのる江戸の水 小三馬作 国貞画

二―左

ここに神田の八丁ぼりにかのふや

ふく助といふものあり、あるとしの

はる、ねんしにあさくのほうへでかけし

ついで、ひごろぢないのおたふくべんてんハ

しんけうなれば、さんけいしミどうの

もとにてすて子をひろひ、ふくすけ

子なきゆへ、これまつたく

べんてんさまのおさづけならんと

こころづき、そだてあげて

かゝりむすめにせんとおもふ

「これハよい子だいきな子だ

十二や十三四でぢやアなく

十二日か十三日しかたゝねへ

水子だ

ふくすけは

あさくさでひろってきた女の

子をおふくとつけて、てうよはなよ

いふところもめでたいことがすき

なるゆへ、福よじゆよなどいふて

そだてける、月日にせきもりなく

あたかもたからぶねのはしるがごとく

たちまち十七のはるをむかへ

はなハひくけれどえくぼに

あいきやふがこぼるゝほどありて

おやのよく目にハ小町そこのけ

そとおりハはだしといふしろ *衣通姫(そとおりひめ)

もの、したく金千両やるからよめに

くれろとのぞむものあるか、ないし

ぢめんぢやしきのある大金もち

から、きりやうのぞミでもらひに

くるかといとど大きなあたまを

なを大きくして

まちけれどなんといひてもなし

これハおほかた人がしらぬ

からのことだ、こんないいむすめを

はこ入にしてをくハほんの

たからのもちぐされと何でもひとに

しれるやうにしやうと

人立おほき所へ水ちゃ屋をださせる

ふく助があたまときて大きなりやうけんちがひなり

あの衣むらさきのふりそでもおそれるの

おたきさんアノ娘の衣ハ中々おつだね

ほんにおつな衣だね

うさアねへ、かほよりハいせうがいゝ

ハヤミや

アノあまがつらハ大ふくもちを

ふんづぶしたやうだ

おふるまひでもくふきハねへ

三―右

さてもふく助ふうふハけふハよめにもらひにくるか

あすハむこになりてがあるか、とまつてもまつても

いつこうどこからもこぬゆへ、ごうはらにくだり

さうさうはたひた上方の役者のへらず口でハねへが

江戸の見物ハ目がねへ、こんな娘をミてくれぬ、とか

なんとかいつてぐつとぢれがきて、どの位な値に

なるしろものか目のきいた人にふんでもらハんと

女衒を呼んで値踏みをさせしに、二束

三文に付ける故、熱くなつていざこざを始める

ちうさんになるしろものハ引込ミかぶろの内に芸を

しこんで、ところてんでハねへがどつとつきだした

ねんいつはい

たかしれたものだ、どうしてもほかへハ

こんな玉ハむかねへよ、めくらにミせても

まアぶつつけよたかさ、それ

よりこうしなせへ

ミせものしへやつて両国か山下へ出すといい

かねもうけだ

福助「ほんに自慢ぢやねへが、おらが娘は

びいどろどこじゃアねへ、ぎやまんをさかさまに

したようだと、少しミそけでいるのに

よたかにしろの、両国山下へミせものにしろハ

なんのこつたへ、ばかばかしい

こう「ぽん八さん だいじの娘のことをそう

やすくいわれて世間体が悪い、ぜげんをかまわぬ

人だ、等と此かミさんとんだこじつけなしゃれを云う

「あの人ハ人の事をわるく云って大きなお世ハ、おちゃ

でもあがれ、あまざけでもあがれ、などとお福ハすきな

あまざけをのんでげらげらわらつていつこうへいきなもの

なり、おたふくがあまざけによつたとハ

この時より始まりける

ぜげんのぽん八ハこれハ夫婦ながら本気の沙汰でハないと

呆れ果ててかへりけれバ、夫婦ハため息をついて腹を

立てている、おふくハ二親にむかひ、にっこりと笑いながら

「あの女衒がむごく値を付けたとて必ず腹を立ち給ふな

今の間によめにほしい、むこになりたいとはやり芸者の

口掛るやうに、毎日毎日そこらぢうからもらいに来る

やうにしてお目にかけませう、とやたらにげらげらと笑い

けれバふしぎや虚空より大判小判こつぶ二朱ぎん玉

降り来り、足のふミどもなきゆへ、かねをミにてはかり

ミせぐら、をくぐらいつぱいつめて

*ちうさん、昼三 昼三分の高級花魁

*よたか 夜鷹 最低クラスの娼婦

*見世物師

以下略

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