江戸名所図会

江戸名所図会(板本)

東海道膝栗毛で有名な戯作者、十偏舎一九による序文と江戸各地の絵に一九の友人達による狂歌が書かれている。 序文で絵は素人だと云っているが、本職の絵師と変らないように思える。 只序文は難しい。

江戸名所図会

江戸名所画本

序文

画にかける楊貴妃、いミしき画師のかき

たりとも、毫の限りあれはにや、いと匂ひなしと、

少納言も云けむ、さらにあがざえなくして

もとより画の事ハ素人なり、しらぬ火の

つくしぬるたハけ(戯け)は、塗籠の壁にかける

わらハへ(童)の戯のひとしく、烏羽玉の夜のおさき

まくらに筆をそゝきて、玉くしけふたつの

冊子をいらなくも、かい(書)つけぬるものから朝

もよゐきまじめの人、わらへ(笑い)にあさミ給ハんも

いとおもなきわざとや、せめて、さハ画の料に

とて、あいろこいろ(彼方此方)の友とちに、あされたる

歌のいとめてたきを乞求めて、千早振

紙枚の拾余章をかさねつゝ、さち(幸)に

あらましの思ふ事なりぬ

文化拾年

酉のはつ春

十偏舎一九識


毫: 毛筆の毛

あがざえなくして: 吾才なくして

しらぬ火: 不知火、筑紫にかかる枕詞

つくし:尽し

塗籠: 平安時代は寝室、江戸時代は納戸の意味か

烏羽玉: =ぬばたま、 夜の枕詞

おもなき: 面なき=人に合わせる顔がない

あされ: あざる、 戯れる、 ざれる

千早振: 神の枕詞、ここでは紙にかけているか

日暮里

花の比(頃) けふも(今日も)

あすか(明日、飛鳥)ハ あさつても

あかぬ(飽かぬ) なかめに(眺め)

日くらしのさと

千里亭 藪風

桃 さくら

鯛より酒の さかなにハ

ミところ 多き

日くらしの里

高根 常霊

看板文字 なめしでんがく

千客???

後略