女筆年賀状
年賀状を読む
近世の教養ある女性の書簡の例として年賀状を読む。 女筆と言われるもので一般の近世古文書と比較して特長がいくつかある。
大抵の女筆で共通している事は、まず流れるような筆使いであり、「・・・です、ます」を丁寧に言う「まいらせ候」が記号の様な崩しで頻出する。 また「・・遊ばし」も頻出し、最後は「かしく」 又は「めでたくかしく」とこれまた知らなければ絶対読めないような優雅な崩し文字で結ばれる。 今回の文書は明治中期の文であるが、江戸期の文も変わらない。
猶々寒さ御厭遊し *追伸部分
候やうねんし上まいらせ候 *念じ上げ
御はやはや年始御文被下 *御文下され
ありかたく拝しまいらせ候
あら玉の御寿申納まいらせ候
仰のことく殊更寒つよく
おハしまし候得とも
御賑々敷御年重遊し *御年重ね遊ばし」
目出度限りのふ御悦
申上候、此方
同し御事ニ年をつミ
候まゝ、御気もし安く思召下され度
先ハ御祝儀御請かたかた
あらあら目出度かしく
一月三日 紀登より
御方々様