薬学教育評価機構による評価報告書

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(6年制薬学教育,第三者評価,薬学教育評価機構,平成25,26年度評価結果)

国・公・私立大学(短期大学を含む)及び高等専門学校は,その教育研究水準の向上に資するため,教育研究,組織運営及び施設設備の総合的な状況に関し,7年以内ごとに,文部科学大臣が認証する評価機関(認証評価機関)の実施する評価を受けることが義務付けられている(2004年).

大学全体として評価を受けるのは機関別評価とよばれ,その結果が大学ホームページのトップに公表されているのをよく目にする.「大学評価基準に適合していると認定されました」等と書かれている.

機関別評価に対して,学問分野や職能などの区分を評価単位として行われる評価として,分野別評価がある.日本では,法科大学院の認証評価 (文部科学省に認証された機関による評価),任意団体である日本技術者教育認定機構 (JABEE) による工学系教育プログラムの自主的評価が先行している.

6年制薬学教育の評価は,分野別評価と位置づけられ,評価機関として(一般社団法人)薬学教育評価機構が作られた.米国では薬系大学教育認証機構 (Accreditation Council for Pharmacy Education, ACPE) による薬学教育の評価が長い歴史のもとに実施されて いる.

日本でも,6年制薬学教育評価機構が活動を開始した.そこのホームページを見ながら,6年制課程の設置を申請した際,カリキュラム上いろいろと指摘を受け,改善案を求められたことを思い出した.特に,卒業研究,発表会の実施,コア・カリキュラム以外の大学独自のアドバンスト科目の充実等々であった.

その後,平成19年,日本薬学会薬学教育改革大学人会議 第三者評価検討委員会によって,薬学教育 (6年制) 第三者評価の評価基準案が公表され,広く意見が求められた.その作成に当たっては,以下の点に留意したと,「はじめに」に述べられている.

1. 大学全体の認証評価である機関別評価との可能な限りの差別化を考えて 経営,運営などは簡略化した。

2. 大学設置の事後チェックとしての機能を重視した。

3. カリキュラム関連を重視した構成をとった。

4. 問題解決能力育成を重視し,PBL,卒業研究の義務化などを盛り込んだ。

5. 予備校化の防止をはかった。

換言すれば,「予備校化」を防止するために「国家試験合格率」は評価の対象にはしないということである.

しかし,これまで国試合格率に重点を置いてきた私立大学がどのような対応をしたのか大いに関心があり,評価機構による13大学の報告書(PDFファイル)を読ませてもらった.

まず,2014年3月末に,岡山大学,福山大学,日本薬科大学の三大学について評価結果が公表された.評価結果は文末に示す項目について,各大学37~38ページ程度に纏められている.

次いで2015年には,10大学の評価結果が公表された.各年度,1大学ずつ,判定を保留し「評価継続」となっている.しかし,「薬学教育評価 評価基準」に適合しているとされた大学も,その多くが「問題解決能力の醸成のための教育」で改善を求められている.

ある私立大学の例をあげると,総合評価としては,薬学教育評価機構が定める「薬学教育評価評価基準」に適合していると認定するが,「卒業研究の実質的期間が1年に満たないこと,卒業論文および問題解決能力の醸成に向けた教育に対する達成度評価に関して改善が必要なことなど重大な問題点があり、適合水準に達していない.」,また,別の大学においては「6 問題解決能力の醸成のための教育 本中項目は、卒業研究に対応する科目について、授業時間数と単位数の関係、時間割への配当、研究成果の評価方法と基準などに多くの重大な問題点があり、適合水準に達していない.」,「6 問題解決能力の醸成のための教育 本中項目は,「卒業論文実習」の実施期間が短く、研究成果発表と評価方法が不適切であると共に,問題解決能力を醸成する教育の目標達成度を評価するための指標を設定し,それに基づいて適切に評価していないなど多くの重大な問題点があり,適合水準に達していない.」等と指摘されている.

その他,適合水準に近い大学も「6.問題解決能力の醸成のための教育 本中項目は,おおむね適合水準に達しているが,卒業論文の作成方法,卒業研究の評価方法について懸念される点が認められる」等の意見が付けられている.

一言で言えば,「卒業研究」関連の教育が不十分,4年制課程の時と同じ国家試験対策中心の教育が実施されているということである.

このところの国家試験の低合格率は,卒業研究に充てるべき時間を国家試験対策に流用しても尚十分な成果が得られなかったということを意味していることになる.逆に言えば,現行の国家試験は基礎力のない人達を篩い落とす役目を果たしていることになる.しかし,今春の国家試験のように試験結果を見て下駄を履かせ救済するとなると,せっかくの評価も意味のないものになる可能性があるのではないだろうか.

薬大乱立による入学者の学力低下の状況から,予想できたことではあるが, 薬剤師教育の理想と現実を垣間見た感が強い.評価未実施の大学は,先行した大学の評価結果を見て,対策を講じているらしい.

2013(平成25)年度 6年制薬学教育評価の結果について

(1) 6年制薬学教育評価の結果、「薬学教育評価 評価基準」への適合認定を行った大学

(2014/03/31)

(大学名五十音順)

設置形態 大学名 機構の評価結果(PDFファイル)

国立 岡山大学 評価結果

私立 福山大学 評価結果

(2) 6年制薬学教育評価の結果、「薬学教育評価 評価基準」への判定を保留し「評価継続」となった大学

(2014/03/31)

設置形態 大学名 機構の評価結果(PDFファイル)

私立 日本薬科大学 評価結果

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2014(平成26)年度 6年制薬学教育評価の結果について

(1) 6年制薬学教育評価の結果、「薬学教育評価 評価基準」への適合認定を行った大学

(2015/03/31)

(大学名五十音順)

設置形態 大学名 機構の評価結果(PDFファイル)

公立 岐阜薬科大学 評価結果

私立 九州保健福祉大学 評価結果

国立 京都大学 評価結果

私立 京都薬科大学 評価結果

私立 就実大学 評価結果

私立 昭和大学 評価結果

私立 同志社女子大学 評価結果

私立 東邦大学 評価結果

私立 徳島文理大学 評価結果

(2) 6年制薬学教育評価の結果、「薬学教育評価 評価基準」への判定を保留し「評価継続」となった大学

(2015/03/31)

設置形態 大学名 本機構の評価結果(PDFファイル)

私立 千葉科学大学 評価結果

評価項目

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I. 総合判定の結果

II. 総評

III. 『中項目』ごとの概評

1) 教育研究上の目的

2) カリキュラム編成

3) 医療人教育の基本的内容

4) 薬学専門教育の内容

5) 実務実習

6) 問題解決能力の醸成のための教育

7) 学生の受入

8) 成績評価・進級・学士課程修了認定

9) 学生の支援

10) 教員組織・職員組織

11) 学習環境

12) 社会との連携

13) 自己点検・評価

IV. 大学への提言

1) 長所

2) 助言

3) 改善すべき点

V. 「◯◯大学薬学部に対する認定評価結果」について

1) 評価の経過

2) 「評価結果」の構成

3) 提出資料一覧

(調書)

自己点検・評価書

薬学教育評価

基礎資料

(添付資料)

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全体のページ数 37-38

参考資料

平成24年度から始まる薬学教育評価機構による本評価に先行して,平成18年度から平成21年度までの6年制薬学教育について評価基準に基づいた自己点検(「自己評価21」)が各薬系大学で実施された.

薬学教育(6年制)第三者評価 評価基準案 - 日本薬学会

薬学教育(6年制)第三者評価 評価基準(本評価版)

(2015.5.18)