熊本城に近寄ってみると

熊本地震から2ヶ月が経ち,余震はかなり少なくなり,6月26日はこれまでに最低の2回にとどまった.

この間,少しづつではあるが,被害額の概算や復興計画案や費用が示される事例も出始めた.熊本城の復興に関して,朝日新聞デジタル(2016年6月11日09時08分 )に以下の記事が載っていた.

熊本城、石垣修復に350億円 文化庁試算

熊本地震で被害を受けた熊本城の石垣の修復について、熊本市の大西一史市長は10日の市議会定例会で、文化庁が約350億円の費用が必要と試算したことを明らかにした。文化庁は1平方メートルの修復に150万円かかると見込んだという。

市によると、熊本城の石垣は、一連の地震で総表面積約7万9千平方メートルのうち8千平方メートルが完全に崩落した。周辺やずれた部分なども含め、全体の約3割に当たる約2万3600平方メートルの積み直しが必要という。石垣は国の特別史跡に指定されている。

熊本城の敷地内はほとんどが立ち入り禁止のままで、天守閣などを含め建造物の被害実態は明らかになっていない。(池上桃子)

熊本城の修復には,10年超の期間と200億円の費用が必要というのが,これまで一般的であった.しかし,石垣だけでも350億円となると.熊本城公園全体の完全修復費用は庶民の想像を超える額になるのは必至である.注)熊本市は,文化庁の石垣修復費用に建築物の費用を加えて,熊本城の被害額は約560億円に上るとの試算結果(7日時点)を明らかにした.

ところで,熊本城の被災情況は,熊本市内に住んでいても報道資料に頼るしかない.そこで,自分の目で確かめるため,近くまで行ってみたが,お城への道はすべて通行止めになっていて,近寄ることができなかった.唯一,市役所から京町へ上る坂道の途中,KKRホテル熊本(国家公務員共済組合連合会熊本共済会館)付近から天守閣の屋根を見ることができた.望遠レンズに映し出された画像はきわめて悲惨である.1日から再開された夜のライトアップ画像からは想像できない姿である.梅雨が明けると,すぐに台風シーズンがやってくる.度重なる余震の中,大雨に傷めつけられた諸々の櫓や石垣は無事に秋を迎えることができるのだろうか,心配である.

以前,KKRホテルから撮影した天守閣と小天守

市役所前の長塀の被害も甚大だが,千葉城橋を渡ると左側に鎮座する熊本城稲荷神社,熊本大神宮の被害も大きい.神社の背後石垣上に在った東十八間櫓と北十八間櫓が崩落し,神社の建物の屋根を突き破る被害が発生していた.Wikipediaに掲載されている4月24日の画像とストリートビューに残っている被災前の画像を比較すると被害の大きさがわかる.

追記

・6月8日,復旧作業が整い,新堀橋〜加藤神社までの道路が開通した.新堀橋〜監物台樹木園〜加藤神社までの道は8:00〜17:00の間,通行可能である.

また,KKR前の棒庵坂は徒歩にて常時通行可能である.加藤神社への道が確保されたため,北側から熊本城を撮影することができる.

・熊本城二の丸公園駐車城は利用可能,二の丸公園からは西側からの撮影が可能である.

・熊本大神宮の写真は,撮影日時の早いWikipedia(熊本大神宮)に投稿されている被災前後の画像を利用した.