消えたウエブページを見る方法

私大薬学部新設の際,学外のあちこち(各種協会,受験産業,出版社,学校等)から学部ホームページアドレス(URL)の問い合わせがあった.長年情報処理システムの管理や情報処理教育を担当してきた者としては,「未設置」.「設置予定」等と回答することはできなかった.そこで,取り敢えず研究室のホームページサーバ(Power Mac G5)に同居するかたちで学科ホームページを制作した(”一夜HP”).その後.標準的な広報のほかに,6年制薬学教育の詳細,教員組織,研究室紹介,薬草シリーズ,講義資料提供,情報処理演習予習・復習支援,情報処理設備の詳細などデータベース的な内容を加味したホームページとして運用を続けた.

最近,学科ホームページに掲載していた記事を見る必要があり,現在の学科ホームページにアクセスしてみたが,情報量の少ない形式的なホームページになっていて,当時掲載していた記事は存在しなかった.私が退職した後,学科主任クラスが引き継ぎ管理してくれるものと思っていたが,その通りにはならなかった.注)学科独自のサーバを導入しなかったために,利用しにくい面があったのかもしれない.

今回のように,消えたホームページを見る方法としては,サーバー管理者にハードディスクに残っているか否か問い合わせるのが早道であるが,面倒である.そのような時に役に立つサイトが世の中には存在する.

インターネットアーカイブ(The Internet Archive)とよばれるいるマルチメディア資料のアーカイブで,1996年にブリュースター・ケールによって米国で設立された非営利団体である.WWWのスナップショットだけではなく,ソフトウエア,映画,本,音源データなど幅広く無償で提供されている.

メニューは日本語対応ではないが,難しいことはない.

Internet Archiveにアクセスすると以下のトップページがあらわれる..

入力欄に,見たいホームページのURLを入力し,リターンキーを押下する.

収集結果が表示される.2006年1月から2013年10月まで41回コピーが保存されていることが分かる.

時間軸が表示され,各年に収集した月日の概略とカレンダーが表示される.以下は2009年の太線をクリックした例である.下部にカレンダーが表示される.2009年は4月と8月のデータが残っているので,適当な日を選択する.

トップページが表示される.以下は2009年8月の例である.

表示されたトップページのメニューから下の階層のページも閲覧することができる.

当時の情報ネットワーク構成図を表示させた例である.

現在,Internet Archive には4720億件のウエブページが収集されている (472 billion web pages saved over time) .一例として,熊大薬学部のホームページは1996-2016年の20年間に208回 (Saved 208 times between 12月 29, 1996 and 3月 24, 2016).,

「今月の薬草」に関しては,二百数十回のうち,19 回保存されている (Saved 19 times between 6月 18, 2004 and 3月 24, 2016).検索ロボットによる収集のため規則正しく収集されているわけではない.過去にさかのぼって「手作り時代」当時のホームページを見ることができる.最近は専門業者に制作を依頼し,画像や動画を多用して見かけはよくなったが,発信内容は変わっていない.

ウエブ上で質問を投げ掛け,解答を得る手法は問題解決法のひとつとしてなくてはならないものになり,そのためのサイトが数多く存在する.解答の中ににはURLを見るように指示しているものも多い,ところが,リンクを辿って行くと「404 Not Found」で行き詰ってしますことも多い.そのような場合に試してみる価値はあるかもしれない.

追記

今回の熊本地震では,熊大薬学部出身者等から,お見舞いや支援したい旨のメールや電話をもらった.その際,私のメールアドレスを知るために,古いホームページ等を調べて情報を得たと書いている研究室出身者がいた.

参考資料

Internet Archive“Wayback Machine” | 世界のウェブアーカイブ