イノシシ

(2014)

新Googleサイト移行のために自動変換されたファイルです.修正版をご覧ください(クリック).

先日,道の駅不知火へ行った帰りに,宇城市豊野のアグリパークに寄った.

道の駅不知火から11㎞,途中にある道の駅うきからは4㎞,松橋ICから車で約5分の距離にある物産館で,地元で取れた新鮮な野菜、果物などの農産物のほか、加工品・工芸品の販売を行っていた.何か珍しいものはないかと店内を一巡したら,道の駅では見なかったイノシシやシカの肉を販売していた.それも少し置いてあるだけというのではなく,結構な量が陳列されていた.

そのことを熊本市西区島崎に住む甥に話したら,家の周辺でもイノシシを見ることがあり,近くの空地に捕獲檻が仕掛けてあると言っていた.

イノシシの生息確認

2013年12月10日

立田山

森林総合研究所九州支所 撮影

熊本市ホームページの画像を利用

報道資料を調べてみると,昨年暮れから頻繁に出没するようになったようだ.

2013年12月10日 立田山内にある森林総合研究所九州支所の立田山実験林内に設置していた自動撮影カメラによって野生のイノシシが撮影された。

2013年12月22日 熊本市西区上熊本3丁目の井芹中の校地内に22日、イノシシ1頭が迷い込む騒ぎがあった。

2013年12月23日 午後、熊本市西部の住宅街にイノシシが出没し、網を使った捕獲作戦が繰り広げられた。

2014年 3月24日 熊本市西区島崎の石神山公園で男性がイノシシにかまれてケガをした。

熊本藩年表稿(細川藩政史研究会)を調べてみると,旧藩時代から猪の対策に苦労していることがわかる.括弧内は引用資料の略名.

万治2 (1659) 己亥(家綱) 綱利

7.24 来月15日藤崎宮神事に付き、神馬3疋、随兵頭乗馬1疋、その他3疋の馬 用意を中間・小頭に命ず(一日)。

是月 立田山に猪多く出て作物を荒すため、 中西伝兵衛に鉄砲打ちを命ず。また島崎谷尾崎にても同様に命ず(本)。

寛文4 (1664) 申辰(家綱) 綱利

3 藩主大津にて鹿狩を催す(玄察).

引用資料(玄察)の原文では大津山となっている.

此年の三月太守様大津山にて鹿狩被仰付候(渡邊玄察日記).大津山なら南関である.

寛文9 (1669) 己酉(家綱) 綱利

1.6 立田山の猪多く作物被害あるため猪狩を行う。猪3頭・兎など獲る(二日)。

此月 中根平兵衛与足軽、本妙寺谷より手負猪を切留め奉行所へ差出す(本)

延宝4 (1676) 丙辰(家綱) 綱利

8. 今月より鉄砲停止の所 、うさき谷に猪多く居るにつき鉄砲で打ち殺しし者あり(前日)。

元禄1 (9.30改元) (t688) 戊辰(綱吉) 綱利

是年 猪鹿等田畑を損した時は成丈け 追散し猥に殺生無用の事(大覚)。

元禄3 (1690) 庚午(綱吉) 綱利

11. 立田山近在、猪鹿出て作物荒す(肥)。

正徳1 (4.25改元) (1711) 辛卯(家宣) 綱利

4.26 作毛、竹薮を荒す猪鹿などの銃猟許可(林制43)。

享保11 (1726) 丙午(吉宗) 宜紀

9. 此月 立田山にて3日間猟師に猪を狩らせる(肥)。

宝暦5 (1755) 乙亥(家重) 重賢

4. 此月 松山手永網津村の内糠塚山は享保年来松井典礼の仕立山となりしが近年繁茂、猪鹿多く田畑を荒し下方迷惑の為下草等剪除くよう達し郡代井典礼留守へも通知す(年合)。

安永5 (1776) 丙申(家治) 重賢

3.1 治年、西山に猪を狩る(本・家譜続)。

寛政4 (1792) 壬子(家斉) ‪斉茲‬

12. 此月 立田山で家中の者,猪狩許可(林制254)。

最近生息していることが確認された立田山や男性が石神山公園を散策中に襲われた島崎等の地名が散見される.

高校1年まで島崎に住み,西山中学校では近くの山で兎狩を経験したが,イノシシに気を付けろと言われたことはなかった.

荒尾山の学校植林もしかりである.植林地の横を通り御萩山への遠足はイノシシ出没のため現在は実施していないと聞かされた.

戦後,食糧難の時代,猟師が退治していたという話も聞いたことはない.

内陸の九州山地では,ジビエ料理は珍しいことではないようだ.しかし,全国的にはかなりの数の猪や鹿等が処分されているが,食用に回されるは1割以下とのことである.今年3月,熊本県は県産のイノシシ及びシカの肉「くまもとジビエ」を地域資源として有効活用するため.衛生的に処理し,安全・安心で品質の高い肉として流通させることを目的に「熊本県イノシシ肉・シカ肉衛生管理ガイドライン」を策定し公表した.豊野アグリパークで販売していたジビエはそのような背景によるものである.

イノシシが増え市街地まで現れるようになった原因は何であろうか.

熊本藩年表稿には,「竹薮を荒す猪鹿等の狩猟許可」と書かれているが,イノシシが竹の子(根部分)を好むというのは300年経った今も変わっていない.山の手入れをする若者が少なくなり,山が荒れたことも一因かもしれない.

追記)

・最近は地域振興のためにジビエ料理に注目し,隣接する道の駅や物産館とは異なる特徴を出している.

・NHK総合11月9日19時30分放送の『ダーウィンが来た!生き物新伝説』で、イノシシの生態について放送された.

熊本県イノシシ肉・シカ肉衛生管理ガイドラインを策定(熊本県庁)

熊本県イノシシ肉・シカ肉衛生管理ガイドライン (PDF)