今回のものは休耕地など足を踏み入れることが出来ない所に生えていた。マツヨイグサ属には、酷似のオオマツヨイグサ、メマツヨイグサ、アレチマツヨイグサ、マツヨイグサ等があって同定が難しい。マツヨイグサは、草丈が低く葉が細かいことから見た目だけで区別できる。安易に撮影して、いつも後で困ってしまう。

　花期は7～9月。雌雄同株。雄花序は、下方の葉腋から出て、多数分枝して長さ5～10㎝の円錐状になり、多数の雄花を付ける。雌花序は、上方の葉腋から数本または多数立ち、分枝しないで長さ20～30㎝に伸びて穂状になり、多数の雌花を付ける。

　オオハンゴンソウの筒状花が全て舌状花に変化したもので、主に観賞用に栽培されるが、しばしば逸出して野生化しているもの。写真のものも、旧民家近くで庭などに植えられていたものと考えられる。※　オオハンゴンソウは、明治中期に観賞用として導入され、野生化したもの。今では日本全国に定着していて、環境省指定特定外来生物に指定されている。

　花期は5～6月。装飾花が深く5裂して平開し、裂片の1個だけが小さく（人形）特徴的。写真は果実で核果。長さ5〜7㎜の楕円形。ふつう8〜10月に赤くなり、花序の枝も赤くなる。完全に熟すと果実は黒くなる。

ニガイチゴ（苦苺）

バラ科　キイチゴ属　

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　花期は7～8月。花は茎頂と上部の葉腋に総状花序に付く。花冠は青紫色で基部まで5深裂し、裂片は長さ10～15㎜の線形で平開し先端は反り返る。雄しべは5本で花冠裂片よりごく短い。花柱は花冠裂片と同じ長さであり、花冠裂片が平開し反り返っているため長く突出て見える。柱頭は3裂する。名は、花冠裂片の細裂のようすを神前に供える四手に例えたことによる。

　同属のコアカソ、クサコアカソに対して、アカソは葉の先端が3裂するなど明らかに異なるので区別される。コアカソ、クサコアカソも酷似するが、コアカソは➀大きく鋭い鋸歯（重鋸歯）があり、➁鋸歯は10対以下であり、また➂葉には三主脈が目立ち、➃光沢があり、➄葉柄が葉身に近いほどに長い等の特徴がある。

　アカソに似て葉柄も赤いが、葉が小さく卵〜卵状楕円形で、葉先は3裂せず尾状に尖る。縁には10〜20対の鋸歯があって、コアカソより鋸歯の数が多く、重鋸歯にならない。葉の基部は円〜ややくさび形。花期は7〜9月。葉腋から長い花柄を伸ばし、上部の葉腋に球状にまとまった赤褐色の雌花序を穂状に付け、下部の葉腋には黄白色を帯びた穂状の雄花序を付ける。

　花期は5～6月。枝先に長さ5～8㎝の狭い円錐花序を出し、長さ7～8㎜の芳香のある白い花を15個ほど垂れ下げる。萼片と花弁は5個、白色でほぼ同形。花弁は長さ7～8㎜で萼片より僅かに長く直立して開かない。雄しべは5個で花糸に毛がある。雌しべは1個。写真は果実。幅2～2.5㎝の扁平な矢筈形の蒴果。膜質で横に筋があってやや膨らむ。9～11月に褐色に熟すと先が浅く2～3裂する。種子は長さ4～5㎜の倒卵形、淡黄色で光沢がある。

　本州、四国、九州に分布し、山地の林縁や沢沿いなどに自生する。花茎の高さは50～100cm。葉は茎に互生し、茎の下部に付く葉には長い葉柄がある。葉柄の付く葉の形は広卵形で、花が付く茎の上部は広披針形になり、いずれも縁は鋸歯状になる。花期は8～9月頃で、青紫色の円錐状に近い鐘形の花を咲かせる。大きい株になると枝を数段に互生させ、多数の花を付ける。花の萼片は披針状で全縁。雄しべは花から突出しない。

　藪や道端等にふつうに生える。夏、中心部が赤紅色の白い小花を咲かせる。葉や茎など全草を傷つけると、悪臭を放つことからヘクソカズラと言われている。ママコノシリヌグイに続いて酷い名前の代表格。しかし、正式名はヤイトバナで、サオトメバナ　サオトメカズラとも呼ばれている。

　全国の山野に生える。高さ50〜80㎝。全体にやわらかな毛が密生する。根生葉は羽状複葉で、長さ10〜20㎝。頂小葉がとくに大きく、側小葉は大小ふぞろい。ふちには鈍い鋸歯がある。茎葉は3裂する。花は黄色で径1.5〜2㎝。雄しべと雌しべは多数ある。花柱に関節があり、ここでねじれている。花のあと花柱はのび、関節から上は脱落し、先がカギ形に曲がった痩果になる。その集合果は径1.5㎝の球形。花期は6〜8月。

　明るい林床や林縁に自生する。早春のまだ他の草が生えていないうちに、狭長の葉を球根から直接出して球根を太らせ、多くの草が生い茂る夏頃には一旦葉を落とす。7～8月になると花茎を 30〜50cmほど伸ばし、先端で枝分かれした先にいくつかの花を咲かせる。雌雄同花で花弁は橙色が6枚。よく似たオオキツネノカミソリがあって、本種は➀比べてひとまわり小さい、➁花被片が反り返らない、➂蘂が花被片から突き出ない、等の特徴がある。

　全国の道端や溝等の湿地にふつう。茎は立ち高さ15〜80㎝、斜上する毛があるかまたはやや無毛、多く分枝する。茎葉は短柄があり、3出複葉、上部のものは、単に3深裂。花期は4～7月。花柄は1.5〜6㎝。萼片は5、花時に反り返る。花弁は5、黄色の倒卵形。花糸は無毛、1〜1.5㎜。葯は1.5㎜。集合果は球形、花床に短毛がある。そう果は広倒卵または広卵形、やや扁平、無毛、多数あって長さ3.5〜4㎜、上部の縁は扁平となり、花柱は0.8〜1.2㎜、先がひどく曲がる。

　花期は7～8月。分枝した各茎先に集散状の花序を付け、黄色で径10～14㎜の花を多数付ける。萼5個、副萼片も5個あって萼片と同長かやや短い。萼片と同様に外側と縁に毛が生える。花弁も5個あり、広倒卵形で、先端は円頭がややへこみ、萼片よりわずかに長い。各花弁のすきまから先がとがった萼片が見える。雄しべはは20個あり、葯は黄色で小さい卵形となる。

　葉は互生し、長さ、幅とも5〜12㎝の円心〜三角状心形で先は長くとがる。（写真は典型的で分かりやすい）葉柄は長さ3〜7㎝で、基部に珠芽（むかご）は付かない。雌雄異株。花期は7〜8月。雄花序は葉腋から直立し、淡緑色の小さな花を付ける。雄花の花被片6個は平開し、完全な雄しべが6個ある。雌花序は垂れ下がり花をまばらに付ける。朔果は上向きに付き3個の翼がある。種子は長さ4〜5㎜の楕円形で、片側にだけ長楕円形の翼がある。

　本州近畿地方以西〜九州。西日本ではもっともふつう。茎は高さ1〜1.5mほど。葉は3全裂し、長さ幅とも5〜15㎝。花期は9〜11月。花は長さ3〜4㎝、散房花序に付き下から順に咲く。花柄には屈毛が密生する。上萼片三角形でくちばしが長い。花弁の舷部はややふくらみ、距は細く長い。雄しべは無毛。

　全国の山野に生える。茎は長く伸び稜があって、全体に軟毛があるが、毛の多いものからごく少ないものもある。小葉は10〜16個あり、やや厚く、長さ1.5〜4cmの長楕円形。巻きひげは通常分枝する。花は紅紫色で、長さ1.2〜1.5㎝。旗弁の舷部（反り返った広い部分）と爪部（筒状部）は同長。托葉は粗く裂ける。花期は8〜10月。果実は無毛、扁平で長さ2〜2.5㎝、幅5mm。

　日本には古くに渡来。落葉広葉樹の小高木で]、樹高は2～4m。葉は互生し3出複葉で、葉柄に翼がある。花期は4～5月。葉が出る前に3～4㎝の5弁の白い花咲かせ芳香がある。花後、径3～4㎝の球形で軟毛に覆われた緑色の果実を付け、秋には黄色く熟す。果実は食用になるが、種子多く強い酸味と苦味があるため、そのままでは食用には向かない。

　これは何なのか、不明。ヒメフウロは、北半球の温帯域に広く分布するが、日本では、伊吹山、鈴鹿山脈の北部の霊仙山、養老山地北部、四国剣山の一部地域のみに分布する。従って写真のものはヒメフウロとは言わないのだろうと思われる。参考☞は伊吹山のもの。

ヤイトバナ

　キツネノカミソリの変種とされている。山地の林の縁や山道等に生育する。花に先立って早春に生える葉は線形で、葉先は丸い。 葉はヒガンバナよりも幅が広い。花期は7～8月。茎先に淡いオレンジ色の花を付ける。 花被片は6枚。 基本種よりも花が大きく、花冠の長さは9センチ程ある。 また、雄しべが長く、花の外につき出すのが特徴である。

　樹高は3～7mに達するものもある。花期は3～5月。葉が伸びる前に淡黄色の総状花序に付ける。長さ3～10㎝になる花茎は前年枝の葉腋から出て垂れ下がり、それに一面に花が付くので、まだ花の少ない時期だけによく目立つ。写真は果実。径7～12㎜になる広楕円～卵形または球形で、緑色から熟すと黄褐色になる。名は、果実を染料の原料である五倍子（ふし）の代用として使ったことによる。