ゼロ城日記

その12以降のダイジェスト

<その12~その20(第2シーズン)>

世界の各地が『薄い虹色の膜』に覆われ、そこに入った人が消えてしまうという事件が起こる。そんな中戦場には同じく薄虹色の樹のような城が現れるようになり、中に入った勇者は現実感のない光景に出くわす。しかし共通して、赤茶けた羽根が舞い落ちてくるのを見るのだった。

一方、元いた城から遠く離れてしまったサッコは、魔王として戦場に出てくるであろうアイオーナに近づく手っ取り早い手段として勇者を名乗ることを選択する。果たしてアイオーナの城を見つけ、彼女と再会をするが、そこでサッコはアイオーナが『薄い虹色の膜』を操り世界を侵していたことを知るのだった。

『薄い虹色の膜』は人々を都合のいい『夢』の世界にとらえ、消化してしまうものだった。今はまだ局地的な事件だが、このまま放っておくわけにはいかない。サッコはアイオーナに真意を問うべく、なおも彼女を追い続けるが、アイオーナを斃すべきだとする者たちが現れ、邪魔をする。サッコはそれらに屈することなく再びアイオーナのもとにたどり着くが、彼女の中から吹き出した『薄い虹色の膜』にとらわれてしまう。

アイオーナの『夢』の世界で、サッコは彼女が、優しい世界を望んで行動しながらも全く何の成果も挙げられていないのに苦しんでいたこと、さらには幼い頃からずっと、自分が『選択』してきたことが全く自分自身を救ってこなかったと思っていることを知る。『夢』の世界のアイオーナは何もかもを周囲に決められ、それで満足するように心を書き換えられていた。だがサッコは彼女を説得し、『夢』の外へと連れ戻した。ところがその際、二人は『夢』の世界の真の支配者の存在に気づく。それは自分の領域をかき乱した二人を許すことはなく、これから先も追いかけてくるだろう。

かくしてアイオーナの城は崩壊した。その中から蛇のケイを救い出したアイオーナとサッコは、逃避行に出る。ゲーム的にはこれ以降最終更新まで放浪モードで過ごすことになる。

なお第1シーズンのラストで謎の退場をしたエッショ・ベーベは再び登場するが、恐らく最後にサッコがアイオーナを解放するタイミングで死亡する。

<その21~(第3シーズン)>

城を捨てて旅を続けるアイオーナたち。サッコはアイオーナに、自分をこの世界に呼び寄せ、かつてクアン・マイサをも連れてきたという『光』を探し、アル=ゼヴィンへと脱出しようと提案する。

ところが、そこに『夢』の世界の支配者の追手が迫る。戦いの中、支配者の正体はかつて四城半のストーリーでクアンを我が物にしようとした『灰色の世界の小男』であることが判明した。自分の心に自分でけじめをつけることをしなかった彼は、クアンと別れたあとの五百年間の中で自らの孤独と退屈とを肥え太らせてゆき、ついにはそれらを原動力に『夢』を自在に変化させられるようになったのだという。

『夢』の支配者の領域にとらわれたサッコとアイオーナは、やりたい放題をされて屈しそうになる。が、その時、ケイが口を大きく開けてアイオーナを丸呑みにしてしまう。ケイの腹の中に入ったことで『夢』から遮断されたアイオーナは自分の心の中を深く探っていく。

やがてアイオーナは、樹の城の中で動物たちが変異したことで生まれたしもべたちと共に戦っていた時期(試遊会のこと)に行きつく。実はあの出来事の間、アイオーナはまだコールドスリープを続けていた。眠っている最中に精神が『夢』の世界とにわかに結びつき、偽りの記憶が生まれたのだ。けれどそれはアイオーナの心を表すという点で真実でもある。あの時は天から延びる黒い手が樹や動物を変異させていったが、それはアイオーナの中に息づいていた暴力性を表していた。アイオーナは自分を守るために敵を殺そうとしていたのである。

そのことにアイオーナが戸惑ったのに気づいた『夢』の支配者はケイの腹の中にまで入りこみ、彼女に自我を放棄するよう促す。だが、ケイはアイオーナを助けようと、自分自身をも溶かしかねないほどの強力な酸を発して『夢』の支配者を攻撃する。ケイはアイオーナが抱くクアンへの想いと、五百年前に一度『夢』の世界に入りこんだクアンの残滓が組み合わさって生まれた存在なのだった。サッコも最後の力を振り絞り、外から手を延べてくる。

自分がどうあろうとも生かそうとする者たちがいる。自分は自分を大事にできる。その事に気づいたアイオーナはついに『夢』の支配者への徹底抗戦を決意する。そして死闘の末、二人と一匹は『夢』の支配者を打倒するのだった。『夢』の世界から脱出してきた先はかつてスーパーデプスと呼ばれていた場所で、水の中に潜っていくと『光』があった。アイオーナたちは迷うことなくその中へと飛び込む。次に目を開くと、そこは魔族の世界アル=ゼヴィンだった。

その後、アイオーナはクアンと再会を果たす。そのクアンの隣には、今や彼女にとって一番大切な人となったトトテティア・ミリヴェの姿があった。アイオーナは明るくなったクアンと、彼女を頼もしく支えるトトテティアを見て安堵する。アイオーナはアル=ゼヴィンの魔族として生きていくことになり、ケイを使い魔にして配送業で身を立てていくことになった。サッコもまた元の日常に帰っていくのだった。