秘伝~笑わせるコツ~
20081019
笑学校イン秋田 秋田市遊学舎
今日は一応、笑学校ですので、一校時くらいは、授業らしい風景をつくらないと
「看板に偽りあり」と言われそうですね。
そこで、7校時目は演台などを用意しまして、ちょっと雰囲気を変えたいと思います。
2年前の8月20日アルヴェで笑い学会みちのく支部主催のイベントがあったんです。
おもしろそうなので、冷やかし半分で参加しました。
そしたら、どぎもを抜かされましたね。まず「支部長あいさつ」と司会者が言いました。
支部長がマイクの前にきましたね。
そして、いきなり、全身で「わっはっは」と30秒も笑い続けた。どぎも抜かれました。
ところがそれで終わらないのですよ。
それから、参加者に「まねをして全身で笑いましょう」と言うのです。
しようがないから、私も立ち上がり、恥ずかしいので小さな声で「わっはっは」と笑いました。
そしたら、いきなり雷が落ちました。
「声が小さい、もっと大きな声で腹の底から笑いましょう」と言われました。
もう、すっかり覚悟しました。
恥も外聞も捨てて、これまでの人生で経験したこともないような大声で笑いました。
そしたら、何ともいえない、いい気分になったのです。
山口県防府市(ほうふし)の小俣地区(おまたちく)に笑い講というお祭りがあります。
鎌倉時代から800年余り続いているそうです。
お酒飲んで宴たけなわのところで、紋付き袴の二人がサカキの枝を手にして、3回大笑いをします。その地区の長老がいて、笑い方が足りないと何回でもやり直しがかかります。
一回目の笑いは今年の収穫を喜びます。
2回目の笑いは来年の豊作を祈願します。
3回目の笑いは今年の苦しみや悲しみを忘れるためです。
これは、皆さんも実際やってみればわかりますが、
大声で腹の底から「わっはっは」と笑っているときはどんな悩みや苦しみも忘れてしまうのです。
こうやって大笑いするということは、本当に心身の健康には、すごくいいことだと思います。
皆さん、健康のためにジョギングする人って多いでしょう。健康にいいですよね。
ある医師がいっていましたよ。
笑いというのは、内臓器官のジョギングだって。ジョギングだから健康に良いわけですよね。
今日のイベントに、2年前に「わっはっは」をやり、私が笑い学会に入るきっかけをつくってくれた東北支部も仙台から応援にかけつけてくれました。ありがとうございます。
これ、何か、わかりますか。 私の名刺です。
とにかく人星亭喜楽駄朗を県内に売り込むためには、派手な名刺をつくらないといけない。
それで、7色を超えて12色の名刺を作りました。
若くてきれいな女性にはピンクですね。
もうすぐおばちゃんになりますよ、気をつけてね、という女性には黄色信号ということで
黄色の名刺。
誰が見てもおばちゃん、という女性にはオレンジ色。
青年には青色。 中年には茶色。 白髪が多い人には白い名刺。
最近、名刺つくりにはまっておりまして、何と金色と銀色の名刺をつくっちゃったんです。
金色の名刺はですね。歌会始に招待されたら、皇族に渡そうかと思っています。
それから、着ている服の色によって、渡すこともできますね。
緑色の服を着ていたら、緑色を渡すとかですね。
今日一番笑ってくれた人には、皇族並みに金色の名刺をあげますよ。
金色の名刺なんて、世界中で私くらいですよ。
もし、もらった方は金庫にでもいれてくださいね。
今日の私のテーマは秘伝・笑わせるコツです。
とにかく、県民の皆さんがここに来てくれなければ、笑い学会秋田県人会に明日はない。
このテーマなら絶対に人は集まると思いましたけどね、、、
私、笑いに関する研究に没頭するために逢喜多健立笑い幸学研究所を設立しました。
文部科学大臣の認可も秋田県知事の認可も受けていない無認可研究所です。
建物総面積はすごいですよ。14,616平方センチメートルもあります。
あまりに広くてピンとこないかもしれないですね。
面積は横84センチ縦174センチ です。たたみ一畳もありますからね。
研究員は何人いるかとか、そういう野暮な質問はしないでくださいね。
他人を笑わせるコツをこれから話すのですが、まずですね。
肝心の自分の顔に笑顔がないと、駄目なんですよ。
口をへの字に結んで恐い顔をして冗談を言っても、誰も冗談とは受け取らないし、
内容がおもしろくても、笑う気にはならないです。
ですから、まず、笑顔の作り方から説明します。
ここに割り箸があります。これを軽く噛むのです。
しばらくしてから、割り箸をゆっくりと引き抜きます。
ほら、この顔ですよ。 笑顔がすてきでしょう。
笑顔って唇が上限の月のようになります。
ところが、笑顔のない人はいつも下弦の月なのですよ。
だから、割り箸の助けを借りて、下弦の月を上弦の月に無理矢理もっていくのです。
笑顔が絶えない人には、自然に人が集まるものですし、いつもブスッと怒ったような表情の人からは人が遠のいていきます。
上戸彩さんのポスターがあったので、持ってきたのですが、笑顔素敵でしょう。
これが上弦の月ですね。
それでは「他人を笑わせるコツ」を説明します。
1 通常使われている言葉を他の言葉、つまり自分に都合のいい言葉に置き換える。
そこに笑いが生じる。 これを応用すると、どんな場面でも使えます。
安楽案策伝というお坊さんが書いた「醒睡笑(せいすいしょう)」という笑いの古典に
次のような話があります。
「おまえ盗んだろう。」
「盗んでなんかいませんよ。ただ、人の見ていないときにポケットに入れただけですよ。」
「それが盗んだということだろう。」
「だから、ポケットに入れておいて、盗まれないように自分が隠しておいたのです。
明日の朝は、ちゃんと元通りにしておこうと思っていたんです」
これはすごいですね。
盗むという行為を 「人の見ていないところでボケットに入れただけ」と
自分流にアレンジしているのですよ。
さっそく、これを応用しますよ。
先生「こら、授業中に眠っちゃいけない。ちゃんと授業を受けなさい。」
生徒「僕、眠ってなんかいませんよ。上の瞼と下の瞼をくっつけただけなんですよ。
こうすると、眠気が取れるんです」
妻「あなた、おならしたでしょう。」
夫「おならなんかしてないよ。ちょっとお尻から空気が漏れただけだよ」
妻「あなた、最近、毎晩ビール飲んでいるわよ。たまには休肝日にしたら。」
夫「うん、わかった。今日はビールやめるよ。
その代わり、泡のある麦のジュース飲ましてよ」
妻「あなたって、ああいえばじょうゆうね。一本だけよ。」
笑いでビール一本飲むことができる。
ところがストレートな夫婦の会話になるとどうなるか。
妻「あなた、最近毎晩ビール飲んでいるわよ。たまには休肝日にしたら。」
夫「自分の体くらい、自分で責任持つよ。今日は暑いからビール飲ましてもらうよ」
妻「あなたの健康を考えているのに、、、もう知らない。ご自由に飲んだら」
夫「ああ、飲むよ」
こんな険悪な状態で飲むビールって、ちってもおいしくないと思うのですが、、、
だから、こういうテクニックを知っているといいんですよ。
相手の顔を立てながらも、しっかりと自分の目的を果たせる。しかも和気藹々とね。
2 人間以外の対象を人間と思って会話するのです。
・ たとえば、小さな虫がこの部屋に入ってきたとします。
このときにどうコメントするかなんですよ。私なら
「私って人間だけでなく、虫からも好かれるよ、嬉しいね。
虫さん、虫さん、あなたは、雄、それとも雌、どっちなの。
あれっ、返事しないよ、無視されちゃった」
・ うっかりして、テーブルにぶつかったとします。
普通は自分の足を押さえて「ああ、痛てて、、、」ですよね。
テーブルを人間と思えば、どういう風になるか。
「テーブルさん、痛かったでしょう。ごめんなさいね。
今、エアサロンパスをしゅっしゅっしてあげますからね。
痛いの痛いの、飛んでいけ!」
・いろんな場面で対象物を人間扱いして会話するだけで、おもしろみがでてきますね。
3 ものごとを大げさにしゃべると笑いになります。
・ 「あなたのデジカメすごくきれいな写真が撮れるね」
「そうだよ、何せ1千万画素だからね、
このデジカメで写せば、女性はみんな松嶋菜々子のようにきれいに撮れるんだ」
・キャンプなんかで、仲間がスコップで穴を掘っていたら、
「おいおい、そんなに深く掘らないでよ、ブラジルまでいっちゃうよ」
50センチ掘ったら、ブラジルなんですよ。
真面目な人は常識がじゃまするんですね。
地球の直径は6000キロ、中心部にはマグマがあり、、、
そんなことは、わかっているけど、一切考えないのです。
とにかく、50センチでブラジルというこの飛躍的な発想が瞬時に思い浮かべば
笑いをとれますね。
4 普段考えていることと違うことが起こると、人は笑うという習性があるのです。
・ ペットボトルからコップにお茶を注ぐと当然、コップのお茶を飲むことを
想像しますよね。 普通は、
ところがそうしないでペットボトルに入っているお茶を飲む。
・ 冷蔵庫を開けると普通はスイカなどが入っているのに、
冷蔵庫開けたらバスケットボールがあったとかね。
・ ごつい顔の男性がどういうわけか、女性のようなかわいい声で
しゃべったときなどもつい笑いますよね。
・ 私の趣味は「飲む、打つ、買う」です。
というと、酒を飲む、ばくちを打つ、女を買う。こういうことを想像しますね。普通は、
こうやってドーンと花火をぶちあげておいてから、やおら、
飲むは、高血圧の薬を飲む、
打つは、碁を打つ、
買うは市場から花を買う。
通常予想される場面とは違う場面になったときに人は笑います。
落語に手おくれ医者という話がありましたね。
患者を診るとなんでも手遅れだという医者。
そういっておけば、治らなくて、もともとだし、治れば儲けもの。腕がいいと誉められる。
「先生、大変だ、大変だ、こいつが屋根から落ちたんです。診てやっておくんなさい」
「あぁ、おまえがたの前だが、これは、手遅れだな」
「へぇ、落っこってすぐに連れてきたんですがねぇ、それでも手遅れですかい」
「ああ、手遅れだとも。屋根から落ちる前に連れて来なくちゃいけない」
この話は、ケガをした。直ちに医者に連れて行く。これが当たり前です。
ところが、この医者は、屋根から落ちる前に連れてこい。
ケガをする前に医者に行く人はいないでしょう。予想外のことだから笑いがとれる。
5 比較にならないものを比較する。
・結婚式のスピーチについてのコメント
よく言われるのは、「スピーチとスカートは短ければ短いほどいい」
スピーチとスカート、そこには何の関連も脈絡もないのです。
ただ、しいて言えば、頭にスがあって、次がピーとカーで、4文字だということかな。
でも、こう言うと何かすごい説得力がでてきますね。
これを聴いたある人がさらにおもしろいことを言いましたよ。
「両方とも、ない方がもっといい」
・これと似たようなものにこういうのがあります。
ラクダは 一週間飲まないで 働くことができる。
人 間は 一週間働かないで 飲み続けることができる
猿は木から落ちても猿だが、代議士は落ちればただの人
これのおもしろさは、代議士というすごい立派な人と猿を
比較するから、おもしろさがでてくるんですね。
フランスにこんなことわざがあるんですよ。
「ケチと豚は死んでからがおいしい」
お年寄りになってから、お金があるにもかかわらず、ケチケチしている人って、
あまり好かれないですね。
先が短いのに貯めてどうするのかと思うのですが、ケチな人は、
貯金通帳の残高をみているだけで、にやにやと笑っているんでしょうね。
まるまると太った豚は死んでから、その肉をおいしくいただきますよね。
ケチは、一銭も使わないで、ため込んでばかりいるから、
死んでしまうと、お金があっちこっちから出てくる。
だから、おいしいということなんでしょうね。 お金は貯めすぎるのはよくないですね。
6 追い討ちという笑いのテクニックがあります。
人を笑わせるようなおかしなことを言った後で、それに関連したおかしなことを
もう一度言うことによって、強いおかしさが出る。
江戸小話に次のようなものがあります。
ある兄弟の弟の方が、夜、庭で物干し竿を振り回している。
それを見た兄が「おい、何してるんだ」と聞く。
弟が「竿で星を落とすんだよ」と言う。
兄は「おまえは馬鹿だなあ、そんなことで星が打ち落とせるものか。
屋根にあがらなきゃだめだよ。」
これは落語によく出てくるのですが、
ある人が「釣り人って本当にひまだね。
一匹もつれないのに朝から晩まで沼に糸をたれているんだから」
友人が「どうして一匹もつれなかったことが分かったの」
ある人「だって、あっしは、釣り人を朝から晩までずっと見ていたんだもの」
以前、春日三球・照代という夫婦漫才がいた。
照代が「飛行機は石油を燃やして公害を出すからいけないんだよ。
電気で飛ばしたらいいのにね」
それを受けて三球は
「飛行機を電気で飛ばすには長~いコードがいるんですよ」と言って笑わせてから、
さらに続ける。
「ソケットがはずれたら、大変なことになるよ」と言ってさらに大笑いさせた。
この追い討ちは、日曜の午後5時半からの笑点大喜利でもよく出題されますよね。
泥棒に入って「こういうドジ踏んだ」と親分に報告する。
「で、どうなった」と歌丸が問いかける
すると、もっとおかしいことを言って笑わせる。
7 ぼかしというテクニックもあります。
これはどういう事かというと、
はっきり言わない。ぼかして言うことでおかしみが出る。
7月に夫婦で、京都の保津川下りを楽しんだんですよ。
そのときに若い船頭さんがおもしろいことを言いました。
急流にさしかかったとき、
「しっかりとロープにつかまっていてくださいね。
昨日は急流を下り終えたら乗客3人減っていましたよ」
ここで乗客がどっと沸いた。
この船頭が
「昨日は急流をくだったら3名が川に落ちました」
と直接に言ってしまったら、「あっそう」で終わりです。
ものごとをストレートに言わない。ぼかして言うから、
連想ゲームでおかしく感じてしまう。
有名なローズガーデンに多くの外国人がバラを見るために押し寄せる。
そこの観光案内人が言った。
「中には、はさみを持ってくる人もいます」
これもぼかし表現のうまいところだ。
「バラが美しいのではさみで切り取って持ち帰る人もいます。」
こうストレートに言うと、おかしさが消えてしまう。
このぼかしで人を笑わすというのは上級の部に属するかもしれないですね。
8 人を笑わせるには、自分の失敗談を話すんですよ。
そうすると笑いがおきますね。 なぜか、他人の失敗って、すごく楽しいんですよ。
自分は失敗していない、あいつが失敗した。
こっちが優位に立てますからね。笑いが自然におこるんです。
昨日ね、温泉にいって、タオル忘れて風呂に入っちゃってね。困ってしまいましたよ。
「えっ、それでどうしたの」
「身体と頭は、タオルなくても、手でどうにか洗ったんですがね。
風呂から上がるときにタオルがないと、身体を拭けないじゃないですか。
びしょぬれでは、シャツも着ることができない。」
しようがないから、露天ぶろでラジオ体操しました。
遠心力で水と体から飛んでいきましたよ。
これとは逆に自分の成功談をしゃべってみてください。しらーっとしますよ。
自慢げに「俺の息子がね、今年、秋田県でただ一人、東大法学部に現役で
入ったんだよ」
回りの反応「あっそう」これで終わりですよ。
はっきり言って、他人の成功って、ちっとも楽しくないんですよね。
今日の話を復習しますよ。
1 言葉を自分の都合のよい言葉で表現する。
2 人間以外のものを擬人化する。
3 物事を大げさにしゃべる。
4 予想される場面をくつがえす。
5 比較にならないものを比較する。
6 追い討ちをかける。
7 直接言わない、ぼかして言う
8 自分の失敗談をしゃべる。
こんなことを意識して会話しようとすれば、日常生活のなかで笑いがとれますね。
今日はあまり時間がなくて、駆け足で笑いのテクニックのさわり部分のみを
説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
笑い力向上のワークショップをやると楽しみながらテクニックが身につくと
思いますね。 そのうちいろいろなイベントを企画していきたいと思います。