霧ケ峰 Ⅲ 車山で出会った植物 (2)
2022.08.21
表紙絵 ハナイカリ
これは、2022.08.21に霧ケ峰高原を訪れた時に撮影した画像をもとに編集したものです。
午前5時16分。諏訪湖SA。前日の大雨はやんだものの、どんよりとした曇り空。前方正面遠くに霧ケ峰高原が雲間に見える。これからあそこに行こうとしている。
午前6時00分。朝食ランチ(500円)を軽くいただいて、霧ケ峰高原車山方向に向かう。
標識。沢渡り、八島ケ原湿原方向に進む。視界は悪いが一度歩いている道なので不安はない。霧が晴れることを願いながら観察開始。
標識が読めない。霧のせいではなく、ピンボケのせい。
キク科 ノコギリソウ属
草丈は50~100㎝の宿根草。葉は掌状に中~深裂し、裂片には鋭い鋸歯がある。花期は7~9月。頭花は密な散房花序を作る。花は5~7個の舌状花。
花期は8~10月。淡紫色の花を付ける。花は頭状花序で、花の大きさは径4㎝。
葉は3~6枚が輪生する単葉で、長さ7~20㎝の披針形。花期は7~9月。茎先や枝先に淡い紅紫色の頭花を散房状に多数付ける。
山地や丘陵の日当たりのよい場所に生える。高さは70〜80㎝。花期は8〜11月。総状の黄色い花を多数付ける。
葉は互生し、茎の下部では先端がとがる楕円形、上部では披針形になっている。
キク科 ヤマハハコ属
高さは30~70㎝。茎には灰白色の綿毛が密生する。葉は無柄で茎に互生し、形は線状披針形。葉の表面はつやのある緑色だが、裏面は茎と同じ灰白色の綿毛が密生する。葉脈は3本あり、縁は全縁でやや裏面に巻き込む。花期は8~9月で、茎の上部に淡黄色の頭花を散房状に付ける。白いカサカサした花びら状のものは総苞片。
キク科 アザミ属
日当たりのよい山野や草原に生えていて、花期は5~8月。早くから咲き、高所等では10月頃まで咲き残るものもある。葉は羽状に中裂し深く切れ込んだ葉の縁にはとげがある。花色は赤紫色や淡紅色のほか、まれに白色もある。
ヤマトリカブトを基本種とする亜種とされる。形態的変異が著しく、茎は草原に生えるときは直立し、林内や林縁に生えるときは斜上し先端は垂れる。草丈は長さは60~150㎝になる。今回一株だけ見つけたもの。トリカブトに注意して観察したが、他に見つけることは出来なかった。
北関東と長野県中北部に分布し、山地や草地に生育する。草丈は10~30㎝。基部から複数茎を立ち上げる。葉は10~25㎜で楕円~狭倒卵形で縁に黒点があり、葉表の面に赤い点が見られ、時に黒点が混じる。花期は7~9月。花は2出集散状に付き、径1~1.5㎝、花弁と萼の面に黒点と明線、時に黒腺があり、縁に黒点が見られる。
オトギリソウ科 オトギリソウ属
未設定
同定は現地パンフによるが、オトギリソウはどれもよく似ていて同定は難しい。
全国に分布。山地~亜高山帯下部の日の当たりの良い湿った草地に生える。草丈は10~40㎝。根出葉は柄があってハート形。花茎には葉が1枚と花を1個付ける。葉は茎を抱いている。花期は8~10月で径2㎝の白色の花を咲かせる。北海道と本州中部地方以北の高山帯にコウメバチソウが分布する。
日本固有種。北海道、本州中部地方以北、四国、九州に分布し、山地~高山帯の湿った草地に生育する。(近隣・中国地方にはよく似たノギランがある)花期は4~7月。葉の間から高さ20~40㎝になる花茎を伸ばし、小型の葉を付ける。花茎に総状花序を付けやや多数の花が付く。花には短い花柄がある。花被は黄緑色で、長さ6~8㎜のつぼ型になり、下部は合着し先端は6裂する。
キク科 ウスユキソウ属
全国の低山~亜高山帯に分布する。高山に分布するミネウスユキソウと同種だが、環境の違いによる多少の差異が認められる。花期は7~8月。小さな花が集まった頭花で、茎の先端に付き、その下に苞葉が広がる。頭花は周囲が雌花で、中央に両性花があり、雌花が結実する。
キキョウ科 ツリガネニンジン属
全国に分布。日当たりのよい山野や山地の草原で草刈り等の管理された所に多い。花期は8~10月。茎頂部に円錐状の花序を形成し、淡紫色の鐘形の花を下向きに咲かせ、数段に分かれて葉と同じように茎に輪生する枝の先に少数ずつを付ける。
全国に分布し、山地帯から亜高山帯の日当たりの良い場所に生育するが、個体数は少ないようで、近隣(中国地方)で出会った記憶はない。 茎は直立して高さは20~60㎝。緑色で細く4稜があり、やや分枝する。葉はごく短い葉柄があり対生する。葉身は長楕円形で先端がる。縁は全縁、3つの主脈がはっきりと見える。
花期は8~9月。茎の先端および葉腋に集散花序を出す。花柄はは細い。花冠は淡黄色でやや緑色を帯び、深く4裂し、長さ6~10㎜になり、各裂片の下部は特徴的な線形の距になり、長さ3~7㎜になる。萼は緑色で深く4裂し、裂片は線形でとがり、長さは花冠の半分~3分の2ほどになる。
リンドウ科 ハナイカリ属
未設定
「なんじゃ、こりゃ。初めて見た。」と発して、「ん。ハナイカリ?」と言葉が続いた。多分、図鑑等を見ていて頭に残っていたのだろう。この地点では蕾の状態。
日当たりのよい山地に生える落葉性の半低木。細い枝を多数枝垂れずに分枝し、高さ1~2mになり、こんもりとした樹形になる。葉は長さ2~12㎝の3出複葉で互生し、小葉は質はやや厚く、長さ2~4㎝の楕円~倒卵形で全縁、先は円くしばしば先端がへこむ。花期は8~10月。葉腋から基部につく葉より短い総状花序を出し、長さ1~1.5㎝で紫紅色の蝶形花を2個ずつ対に密生して付ける。旗弁は幅が広くて長く、翼弁と竜骨弁はほぼ同長で小さい。萼は4深裂し、裂片は萼筒より長く先が針状にとがる。雄しべは2体。
全国の山野に生える。茎は太く、高さは1〜1.5mになり、時に枝を分ける。葉は互生し、長い柄があり、広くて大きい2回羽状複葉となり、広三角形で、ほぼ水平に広がる。葉柄の基部に小托葉がある。小葉は柄がないか短い柄があり、卵形〜長楕円形、縁に細鋸歯がある。花期は8~9月。散形花序が複総状に集まり、大きな花序となる。花柄には褐色の綿毛が密生する。花弁は5枚、淡緑色、長卵形で、先は鋭形、萼より長い。雄しべは5個、子房は下位で5室に分かれ、各室に1個の胚珠が下垂する。花柱は5個、花柱と雄しべの間に花盤がある。
ウコギ科 タラノキ属
鹿など野生動物の食害から植物を守るための電気柵が設置されている。これもなんだか不自然な感じがする。野生動物たちも生きづらくなっているようだ。
茎は直立して上部で枝分かれする。葉には根出葉と茎葉があり、根出葉には翼がある長い葉柄が付き花時には枯れる。茎に付く葉は互生する単葉で、長さ13~19㎝の長楕円形で、短い葉柄がある。花期は8~10月。茎の上部に多くの頭花が散房状に付く。頭花は径1㎝ほどで舌状花はが白色。長さ3~3.5㎜の筒鐘形の総苞が付き、総苞片は2~3列。花序には短い毛が密にはえる。
イネ科等への半寄生植物。高さは25~60㎝。葉の下部は対生し、上部は互生し、狭卵形で先はとがり、縁に規則的な重鋸歯がある。花期は8~9月。茎や枝の上部に広卵形で、苞葉状の小さな葉が密に付き、その腋に花を付ける。萼は2片に裂ける。花冠は紅紫色で長さ2㎝になり、一方にねじれて2裂した唇形になる。上唇は筒状で、先は鎌形に曲がったくちばし状にとがり、下唇は斜めに広がり、浅く3裂し中央の裂片はその両側の裂片より小さい。雄しべはは花冠上唇内に4本あって、下側2本がやや長い。
茎は直立して高さは25~100㎝で、上部は多く枝を分ける。葉は対生し、葉身は長楕円~長楕円状披針形で、先端は鋭形、縁には不規則なとがった鋸歯があり、基部はくさび形になり短い葉柄となる。花期は7~9月。花は茎上部の葉腋から単生し、白~淡紅色をしている。花弁は4個あり、広倒卵心形で長さ4.5~7㎜になり、先端が2浅裂する。雄しべは8個、うち4個が長い。雌しべの柱頭は球状にふくらむ。果実は4稜形の細長い蒴果で直立し、長さ3.5~7㎝になる。熟すると先端から裂開する。
アカバナ科 アカバナ属
名は、花の色ではなく、秋に赤くなる葉の様子を言い表してのことによる。
「なんだ、これは。」と驚く。聞いてみると、写真に写っている人たちが、霧が晴れるのを待ちながらと2時間かけて〖石積み一点バランス〗に挑戦した結果だそうです。
これなどはなんとも言えないバランス。「すっげー」としか言いようがない。
セリ科の植物はどれもよく似ていて、後で同定しようと思ったらもうおしまい。茎、葉、花等の部分もしっかり撮っておいた方がいい。
花期は7~8月で終えている。頭花は周囲が雌花で、中央に両性花があり、雌花が結実する。
実際には、ササ類と比較して分かるようにかなり小さい。
山頂に近い所に生える個体は、よく開花していた。秋は高所から訪れるのであろう。
現地パンフ、資料等をもとにトガクシコゴメグサとしたが、調べれば調べるほど違うような気がしてならない。
花期は8~10月。紅紫色の頭状花序は径3~4㎝になり、数個枝別れした枝先に上向きに付く。総苞は長さ25㎜の広卵状球形で、総苞片は7列で瓦状に密接して付き、外片は広披針形で、中片から内片にいくにしたがい小さくなり、片の先端は鋭く刺状になる。頭花は筒状花だけで構成されており、周辺の一列の小花は長さ25~28㎜になり、3~5裂し、雄しべ、雌しべが無く結実しない。中の筒状花は長さ22~26㎜になり、両性花で結実する。花柱の先は2分して反曲する。
茎は直立し、高さは30~60㎝になる。茎には毛はく、上部に少しくも毛があり、下方は角ばり紫色を帯びる。根出葉はさじ形、縁には鈍い鋸歯がある。茎葉は10個ほどあって互生。下部のものの葉身は広倒披針形。花期は7~9月。頭状花所は6~13個が散形状に付き、頭花の径は3~4㎝、花柄は長さ5~16㎝になる。総苞は長さ5~8㎜になる鐘形。花冠はは橙黄色で、舌状花冠は10~15個あり、長さは17~22㎜、幅2㎜で、反り返った形状は特徴的である。
キク科 オカオグルマ属
「おっと、コウリンカだ。」と思うほどうれしい花だ。盗掘などもあって個体数はかなりに減少しているらしい。
ツリガネニンジン属は個体差が大きい。当地のものはハクサンシャジンを思わせるほど、釣鐘型の花がふっくらしている。
マメ科 ソラマメ属
全国の山野に生える。高さ30〜60㎝。茎は直立して稜がある。小葉は2個しかないので、属の特徴である偶数羽状複葉のようには見えない。また巻きひげもほとんどない。小葉は長さ4〜7㎝、幅1.5〜4㎝で、ふつう卵形だが変異が多い。花期は6~10月。花は総状に集まって付き、紅紫色で長さ1.5㎝。豆果は長さ3㎝で、種子は3〜7個。別名フタバハギ。
バラ科 シモツケ属
本州と四国、九州に分布。日当たりのよい海岸近くから山地の草原や岩場に自生する。花期は5~8月。花径は3~6㎜の小花が100個以上、小枝の先でブーケ状に集まって咲く。花色は淡い紅色、薄紫、白等がある。花弁は5枚で雌しべは5個。雄しべは多数あり花弁より遥かに長く、花には微香がある。