2022年11月12日(土)に顔身体学領域主催の公開シンポジウム「Body Schema, Arts, and Social Participation」が開催されました。参加者は延べ28名となりました。
開催日時:2022年11月12日(土)
開催場所:國學院大學渋谷キャンパス常盤松ホール
主催:河野哲也(立教大学)
提題者:
Tom Froese (OIST)
Minae Inahara (Kobe University)
Shaun Gallagher (University of Memphis)
Tomohisa Sato (Kyoto City University of Arts)
本シンポジウムは、河野哲也先生からのご挨拶と、本シンポジウム「Body Schema, Arts, and Social Participation」の趣旨説明から始まりました。最初のご登壇者は、OISTのTom Froese氏でした。ご講演「Enaction as irruptions and body memory」では、ギャラガー氏が区別した「身体図式」と「身体イメージ」の関係は、心身問題にかかわると指摘したうえで、心身問題に対する新しいアプローチとして「Irruption thoery」を提唱されました。稲原美苗先生(神戸大学)のご講演「A Dialogue between the Body Schema and the Body Image: A Case of Mild Athetoid Cerebral Palsy: Minae Inahara」は、脳性麻痺の生きられた経験の記述から、障がい学で用いられる標準的なふたつのモデル――医療モデルと社会モデル――を批判しつつ、身体図式と身体イメージの社会的な側面を指摘するものでした。次にShaun Gallagher先生(University of Memphis)によるご講演「Improvisation and habit」では、思考の単なる表現ではなく、運動そのものが知的な活動であることを、ジェスチャーを使った学習、身体全体を使用するシミュレーション学習、ダンサーのMarkingを例にして示されました。また、即興ダンサーを例に、即興を習慣を破り、アフォーダンスを生みだすものとして位置づけつつ、「習慣を破る習慣」の形成についても論じられました。以上のご提題に対して、佐藤知久先生(京都市立芸術大学)からは、絵の模写やWilliam Forsytheの「Improvisation Technollgies 1999」やPina Bausch「Kontakthof. With Teenagers over 14 2008」などを例にしながら、他者の身体図式を理解して、学習し、身体化することは可能か/いかに可能かという問題提起がありました。
その後、全体討論が行われました。今回は対面のみでの開催であったためか参加者は多くはないものの、その分、議論の内容は大変濃いものとなりました。
山口真美先生からは最期の挨拶として、日本のマスク文化と結びつけながら、プロジェクトの振り返りを行って頂きました。
コロナの感染状況も鑑みながら、感染対策を万全にした上でのシンポジウム開催となりました。参加者の方々にも感染対策にご協力いただきありがとうございました。
(by A. Watahiki, Tohoku University)
Dr. Tom Froese
Dr. Minae Inahara
Dr. Shaun Gallagher
All together with Dr. Tomohisa Sato