顔身体学領域・東京外国語大学AA研共催第6回公開シンポジウム
『トランスカルチャー状況下における顔・身体学の構築』
2021年12月11日、Zoomを利用して、第6回AA研公開シンポジウムが開催されました。
日時:12月11日(土)14:00 - 17:30(18:30まで延長)
会場:オンライン(Zoom)
参加者:83名
・発表者(発表順)
鳴海拓志(東京大学)
「変容する身体,呼応するこころ:アバタが作り出す新しい社会」
木村大治(フリー)
「束縛から遊びへ: 茶道の稽古における『型』と論理階型の上昇」
小谷弥生(中央大学)
「能楽のトポロジー:コロナ禍における喪失、獲得、そして変貌 」
丹羽朋子(国際ファッション専門職大学)
「他者の映像の中に入る身体:記録映像アーカイブの「仮構的再現」の試みから」
・コメンテーター
金沢 創(日本女子大学)
佐藤知久(京都市立芸術大学)
今年度で6回目を迎えた公開シンポジウム「トランスカルチャー状況下における顔・身体学の構築(第6回)」では、まずVR(ヴァーチャル・リアリティ)の実験で得られた考察を中心に、工学的視座からこれからの人の身体や自己/他者の境界、アイデンティティのあり方を探究した鳴海先生のご発表がありました。
次に、アフリカをフィールドに長年人類学的研究をなさってきた木村先生から、先生ご自身も嗜まれている茶道の身体所作における「型」の意味を、ベイトソンの論理階型論を足がかりに論じる報告がありました。
休憩を挟んで、本シンポジウム第4回から連続してご登壇いただいている小谷先生より、哲学的見地から、コロナ禍の「無観客」という非常事態による、能舞台における演者と観客の「共同演出」の喪失がもたらした課題、そこから改めて能を能たらしめるものは何かについての議論がなされました。
最後に、丹羽先生からは、民族映像、生物学映像、技術科学映像からなる映像アーカイブ「ECフィルム」(http://ecfilm.net/)の構築と、蓄積された複数の映像を単に表現されたものとして「型通りに見る」のではなく、ワークショップを通じて「語り合う」対象として利用することで、見る側の映像や映し出された現実の見方、そして自身の身体へのまなざしを解体し再構成するという試みが紹介されました。
その後、金沢先生、佐藤先生からのコメントに引き続き、フロアからの質問への4人の先生方の応答があり、盛会のうちに終えることとなりました。
本シンポジウムは、当日の録音に基づき、報告書(PDF)として東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・基幹研究人類学ウェブサイトに掲載される予定です。詳細は
http://coe.aa.tufs.ac.jp/kikanjinrui/をご覧ください。
共催情報
科研費新学術領域研究(研究領域提案型)「トランスカルチャー状況下における顔身体学の構築-多文化をつなぐ顔と身体表現」(研究代表者:山口真美(中央大学)課題/領域番号:1901)、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(AA研)基幹研究「アジア・アフリカにおけるハザードに対する『在来知』の可能性の探究―人類学におけるミクロ‐マクロ系の連関2」
(by Yutaka Yoshida, Tokyo University of Foreign Studies)