顔身体学領域・中央大学人文科学研究所共催
顔身体学領域・中央大学人文科学研究所共催
中央大学駿河台記念館にて、新学術「顔・身体学」領域心理班合同ワークショップが開催され、約40名が参加しました。心理学領域の各計画班および公募班の研究者計19名が、進行中のプロジェクトを含めた研究の成果や今後の研究計画を発表しました。また、講師としてOlivier Pascalis先生(University de Grenoble Alpes)と北山忍先生(ミシガン大学)をお招きし、ご講演いただきました。
Pascalis先生のご講演では、聾話者が手話の使用によって、対象への視線の動かし方や視野の広さが健聴者とは異なることを示されたうえで、顔の表情認知スキルやその発達的な変化のパターンが聾話者と健聴者でどのように異なるか等、ご自身の豊富で興味深い実験データを紹介していただきました。北山先生のご講演では、ご自身が提唱された文化的自己観をベースに、ネガティブ表情のプライミングがその後の行動や脳活動に与える影響の大きさが文化によって異なるといった、インパクトのある研究データを紹介していただきました。文化差を形成するメカニズムの解明や、欧米とアジアの比較を超えたより広範囲における文化差の検討の必要性も示され、今後の研究に有益な示唆を与えていただきました。Pascalis先生と北山先生には、フロアから出された多くの質問に丁寧にお答えいただくとともに、お互いのご発表についてそれぞれのご専門の立場からの質問とディスカッションをされる場面もみられ、その内容は参加者にとって大変貴重なものでした。
各班の研究者の発表では、講師の先生方からも質問やコメントをいただき、活発に議論がなされました。計7時間に及ぶ今回のワークショップは非常に濃密な内容であり、本領域メンバーが今後研究をすすめるうえで有益な場となりました。
(by M. Kawahara, Tokyo Woman's Christian University)