初日(2日)は新宿区牛込箪笥区民ホールにて、「現代における顔身体の変容」と題し、心理班が中心となり、共催の「多元質感知」領域からの協力もいただき、顔にリアルタイムでプロジェクションマッピングを行う技術展示を体験しながら、哲学班代表、心理班代表2名、登壇者2名が身体性についての議論を行いました。
翌3日は、会場を御茶ノ水のワテラスコモンホールに移し、様々なトランスカルチャーを研究する新進気鋭の若手の発表を中心としたシンポジウムとなりました。哲学班からはトランスジェンダーという性の境界に関する事例、文化人類学班からは、バリ島仮面劇における外国人の役の登場や、多人種ルーツを持つアジア系アメリカ人を事例として、解放される身体と拘束される身体、越境の苦しみに対峙しつつ新たな変容を生み出す過程について論じました。
両日とも50名以上と予想以上の参加者をお迎えし、シンポジウムは盛況のうちに終了いたしました。シンポジウム終了後の情報交換会も、多くの参加者が既存の班の枠を飛び越えて活発な議論をする場となり、新たな学術領域の創成を実感する会となりました。
<プログラム>
3月2日@牛込箪笥区民ホール(東京都新宿区)
Ⅰ 現代における顔身体の変容(共催:新学術領域研究「多元質感知」)
1. 趣旨説明 渡邊克巳(早稲田大学)
2. プロジェクションマッピングと流動化するリアリティ 渡辺義浩(東京工業大学)
3. プロジェクションマッピングによる顔表現の可能性 三枝千尋(株式会社 花王)
4. 現代における顔・身体の変容について 渡邊克巳・河野哲也(立教大学)・山口真美(中央大学)・渡辺義浩・三枝千尋
3月3日@ワテラスコモンホール(東京都千代田区)
Ⅱ トランスカルチャーとは何か
1. 趣旨説明 河野哲也(立教大学)
2. What is the transculture? 河野哲也
3. Two Ontological Turns: Around the Question of Naturalism 小林 徹(龍谷大学)
Ⅲ トランスカルチャー下での顔身体=自己変容
1. Mediation and Transformation in Balinese masked theater 吉田ゆか子(東京外国語大学)
2. Mixed Race Asian Faces and Haunting Whiteness ウォント盛香織(甲南女子大学)
3. Unmasking Ourselves: The Disclosure of Gender Expectations in the Encounter with the Trans-Other
Eric Chelstrom (St. Mary’s University)
Ⅳ ジェンダー変容下での顔身体=自己変容
1. The only court case, which has challenged Japan’s GID ‘legal treatment’ 吉野 靫(立命館大学)
2. How is the gender identity experienced? 古怒田聖人(大阪大学)
3. Hard Movements: A Phenomenology of the Body and Sexual Schemas in Transition Tamsin Kimoto (Emory University)
4. 総合討論(ⅡからⅣを通じて)
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